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楽天による独占禁止法違反問題が決着も…疑問と課題残る結果 新規出店の対応は?

一件落着も…残るいくつかの疑問

 “これにて一件落着”のように見えるが、いくつかの疑問が残る。

 例えば、楽天は「共通の送料込みライン」に同意しない出店事業者とは、契約を行っていない。ということは、公取委は3980円以上を送料無料とする「共通の送料込みライン」そのものを問題にしていないということだ。

 つまり、“既存の出店事業者”に対して、「共通の送料込みライン」への参加を強制するのは、独禁法違反に該当するおそれがあるが、“新規の出店事業者”に対して「共通の送料込みライン」に同意しないことで契約を行わないことについては、楽天側の自由として認めていることになる。

 となれば、既存の出店事業者と新規の出店事業者の間には、競合店の場合、競争環境の明らかな不公平が存在することになる。これは、独禁法上の「競争者の排除」には該当しないのであろうか。

 あるいは、新規出店事業者に対して、「共通の送料込みライン」への参加を強制し、同意をしない場合には契約を行わないというのは、楽天による“優越的地位の濫用”による独禁法違反に該当しないのか。

 そして、既存の出店事業者に対して「共通の送料込みライン」に参加するように強要した点について公取委は “優越的地位の濫用”の該当を問題としたのであれば、何故、排除措置命令や、課徴金納付命令を出さなかったのであろうか。

 そこには、楽天グループの会長として、また新経済連盟代表理事として政府関係の会議で幅広く民間委員を務める三木谷浩史氏への特別な配慮があったのではないか。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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わしおこういち

最終更新:2021/12/16 17:00
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