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「飲みニケーション」の“元祖”?「やぐら茶屋」の懐かしCMに見る「Let’s 飲みにケーション」30年史

潮目が変わったのは、団塊世代のリタイアとスマホの普及

 隆盛を極めた居酒屋業界の潮目が変わったのは、携帯電話、スマートフォンが普及したタイミングだったという。

「それまでお店を探す手段といえば、紙の情報誌が主でした。しかし、2000年代に入ってからウェブ化が進んでグルメサイトを閲覧するなど情報の伝わり方が大きく変わり、専門性や多様性が問われる時代に入っていきます。ただお酒が飲めればいいというのではなく、個性に特化したお店でないとお客様に選ばれないようになっていきました。その頃から、大人数のお客様は少なくなっていった印象です」(同)

 加えて、世代の移り変わりも飲みニケーションに大きく影響している。

「2010年代になり、団塊の世代の方々がリタイアしていきました。街で一番元気があった人たちが定年退職を迎えることで、『俺について来い!』と若い社員を連れ出す強烈なリーダーシップを持つ上司が少なくなっていった印象です。大人数ではなく気の合う少人数の仲間でお酒を飲まれるお客様が多くなり、自ずと居酒屋も規模を縮小し、小グループに対応すべく個店経営化、個室化していきます」(同)

 関西圏を中心に店舗を拡大していた「やぐら茶屋」も、2011年には大阪・梅田にあった最後の一店を閉店(同店のCMもすでに放送を終えている)。現在は、おでんに特化した居酒屋「ごだいご」に業態を変更して営業中だ。つまり、大箱の居酒屋はその役割を終えたともいえる。

 沼田さんは、コロナ禍以前から「飲みニケーション」文化の移り変わりを肌で感じていたという。

「少子化が進み、若い世代が減ったことも理由にあると思います。職場の人々とのコミュニケーションの取り方も変わり、上司が後輩を飲みに誘いづらいという事情もあるでしょう。あと、バブル以前はたくさん使えていた接待交際費が、税法改正などの影響によってだいぶ締め付けられるようになりました。そこも1つの転換期だったと思います」(同)

●職場内「飲みニケーション」のNG行動とは?
 
 冒頭のアンケート結果で明らかなように、すっかりネガティブに受け止められるようになってしまった「飲みニケーション」。デメリットはもちろんあったが、振り返ると有意義な面だって少なくなかったはずだ。そこで、往年の「飲みニケーション」の功罪を以下に挙げてみた。

■メリット……「先輩が後輩を教育する場だった」
「携帯やスマホがない頃は、リアルなコミュニケーションを取らないと相手に気持ちや考えが伝わらないという時代背景がありました。先輩と酒席を共にして目上の人への気配りを教わるだけでなく、アルコールが入った状態で、職場ではできないハメを外した会話を交わしたり。しかも、そこに貴重な情報が含まれていることも多かった。若手の成長の場だったんですね。先輩と後輩の間で絆が深まる効果もありました」(同)

■デメリット……「パワハラ、セクハラ」
「お酒が飲めない方は当時もいましたし、無理にお酒を飲まされて苦しむケースは少なくなかったと思います。上司や先輩に逆らえず、嫌でも飲み会に行かないと大変な目に遭うという圧もあったかもしれません。ハラスメントに今ほど敏感ではなく、声も上げにくい時代だったので、パワハラやセクハラの犠牲になった方もいらっしゃったはずです」(同)

 一定以上の年齢の方からすると、メリットとデメリット両方に身に覚えがあるだろう。でも、時代は変わった。今後、職場の「飲みニケーション」で気をつけたい“NG行動”はなんだろうか?

(1)飲み会への強制参加はNG
「職場内では、飲み会へ“絶対に行きたくない人”と“積極的に参加したい人”、そして中間の“状況によっては行くかもしれない人”の3タイプに分かれると思います。まずは全員に『飲み会をやるよ』と声をかけつつ、“絶対行きたくない人”には『不参加でもOKだよ』『参加しなくても責められないよ』という旨をちゃんと伝えること。強制参加はNGです。残りの2タイプの人だけでも飲み会は開催できますし、その会が楽しいものであれば、結果的に参加する人は自然と増えていくと思います」(同)

(2)アルコールを強要するのはNG
「『飲み』の定義をアルコールにしなくてもいいのでは。体質的にお酒を飲めない人もいらっしゃいますから、『来てくれただけでいい』という意識でいてください。ドリンクの種類に広い選択肢がある店なら、みんなも参加しやすいです」(同)

(3)終了時間が決まっていない飲み会はNG
「飲み会の終了時間を事前にきっちり決めておくこと。もしその後に店を変えるにしても、必ず自由参加にしてください。あと、支払い方法は経費なのか会費制なのかも、あらかじめちゃんと決めておいたほうがベターでしょう」(同)

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