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伊藤智彦監督と振り返る21年のアニメ業界

『エヴァ』他抑え伊藤智彦監督の21年BEST1は『少女☆歌劇レヴュースタァライト』!

伊藤監督の21年ベスト作は『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』!?

ーー伊藤さんが今年見た劇場アニメ作品の中でこれがよかったという作品はありますか。

伊藤:今年は比較的劇場作品をしっかり追えたのですが、僕のベストは『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』です。いや、こんな超カルト映画を20年代に見られると思わなかった。もう少しライトな方には「『閃光のハサウェイ』よかったよ」「『映画大好きポンポさん』よかったよ」などと言いますけれど、この場で言うには『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』です。

ーーすみません、全くノーマークでした。そもそも不勉強ながら、テレビシリーズも見られていません……。

伊藤:俺もテレビシリーズを全く見ずに行ったのですが、でもわかる。何がわかるのかはよくわからないんですけれど(笑)。劇場版の少女革命ウテナ、『少女革命ウテナ アドゥレセンス黙示録』に近い話だと聞いて、へえと思って見に行ったら、たしかにそうでした。ミュージカルというか歌いながら戦うんですけど、舞台設定がウテナっぽい。

 劇場版ウテナよりもさらにとんちき、アグレッシブなことをやっていました。いきなりデコトラが出てきてその上に乗って戦ったりするわけですよ。いや、すごいですね。よくこの企画が通ったなと思いました。あるいは、企画を通したブシロードの木谷高明会長も思わなかったでしょう。俺もまさか自分がこの作品を見るとは予想してなかったですけれど、観賞後にすごい満足度を得られ、ありがとうございます!となりました。

 自分的な映画の見方をいいますと、こういう出だしでセットアップされると、こう終わるだろうと予想がついてしまうんです。『アイの歌声を聴かせて』であれば、冒頭で人工衛星が出ると「最後はこの人工衛星を使うんだろうな」と予想してしまうし、実際その通りに終わってしまう。なので120%映画を楽しめるかというと楽しむ前にやや答え合わせをしている気分になるのです。でも『劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト』はそこをすっとばしていて、ボディーブローであったり、フックであったり、いろいろとパンチを食らった気がします。ただ万人向けの作品ではないですよ。

ーー俄然、興味が湧いてきました。劇場アニメにここまで触れてきたので、テレビシリーズについても触れましょう。『鬼滅の刃』の2期がスタートし、視聴率も好調です。

伊藤:9%もとるんだと思いました。『鬼滅の刃』はこれから10年くらいかけて、原作の最後まで描くでしょうね。アニプレックスの岩上敦宏社長いわく、海外ドラマはその時点でできるところまで作品を作り、しばらく空けてまた次のシーズンに続く。アニメでも一気呵成に作らずにやろうと、ああいった作り方になっているとは聞きました。

ーー伊藤さんはテレビアニメだと『ダイの大冒険』をTwitterで評価していました。

伊藤:ポイント、ポイントで作画も良いですし、これだけの長期シリーズの作品は東映アニメ以外では難しい。『からくりサーカス』も『うしおととら』も3クールで終わってますし。その中で、『ダイの大冒険』は原作の最後までアニメ化すると言っているので、こちらも頑張って追っかけようかなと思いますよね。担当演出や作画監督の味も出ているし、力を抜く回では力を抜くところなど、懐かしい感じがしていいです。自分でもちょっと関わってみたい作品ではあります。

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