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『せっかくグルメ』で好感度の高さを見せたバナナマン 日村の素人いじりの絶妙さ

バナナマンの他者へのリスペクト

 芸人が素人をイジるとツッコミがキツすぎたりするなど、とかく度が過ぎてしまいがち。時に視聴者を不快にさせてしまうこともある。だが、日村にはそれがない。話が通じにくく、テレビ的なお約束や段取りを理解しないお年寄りや子どもにも丁寧に接して、それでいながら素人の“変なおかしさ”を引き出し、笑いに転化する。居丈高でもなく、かといって慇懃無礼でもない、今までになかった素人イジりとも言える。

「日村の素人イジリには、何か強烈な振る舞いをして、何が何でも番組で爪痕を残そうとする芸人にありがちなエゴが感じられません。周囲を上手く生かして、番組を成立させることを最優先しているようにも見え、このことは設楽のMCにも共通しています。何よりも、他者へのリスペクトが感じられるのがいいですよね。現在の風潮にも合っているようにも思えます。改編時に各テレビ局で、バナナマンの冠番組が途切れずに企画されるのがわかるような気がします。そして、日村の素人との掛け合いの妙や面白さは、彼の“芸人寿命”を確実に延ばしたと言えます」(同)

 日村の芸風は顔の表情やダンスなど身体の動きの面白さで笑わせるのが特徴だが、彼も今年で50歳。いつまでも続けられるものでもあるまい。しかし、『せっかくグルメ』で見せる素人イジリが芸のレパートリーに加われば、向こう20年はグルメや旅番組のロケで活躍できるだろう。

「加えて、朝の情報番組からアイドル番組までジャンルを問わない設楽の“MC力”は、芸能界でも屈指。今後、需要が増えることがあっても、減ることは考えづらい。つまり余程のことがない限り、バナナマンの将来は安泰ということです。また、『せっかくグルメ』は2014年に単発特番として始まり、深夜、夕方、夜とレギュラー放送といった具合に形を変えながら、放送が続けられてきた老舗番組。視聴率が悪ければすぐに番組が打ち切られる昨今ですが、内容さえしっかりしていれば番組を続けていくうちに、視聴率は後から付いてくることを同番組は証明しました。TBSとしても心強いでしょう」(同)

 『せっかくグルメ』の成功は、バナナマンとTBSの双方に想像以上の恩恵をもたらしたと言える。

マキタカフミ(ライター)

大分県出身。大学卒業後、金融専門紙記者や経済誌編集者を経てフリーライターに。「週刊SPA!」(扶桑社)、「実話ナックルズ」(大洋図書)、「一個人」(KKベストセラーズ)などに執筆。その分野は経済からエンタメ、グルメまで多岐にわたる。 著書に『神奈川あるある ご当地あるある』(TOブックス)など。

まきたかふみ

最終更新:2022/01/11 13:00
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