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映画『ノイズ』藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介が見事にハマった傑作の理由

文=ヒナタカ(映画ライター)

映画『ノイズ』藤原竜也、松山ケンイチ、神木隆之介が見事にハマった傑作の理由の画像1
C) 筒井哲也/集英社C) 2022 映画「ノイズ」製作委員会

 2022年1月28日より、映画『ノイズ』が公開されている。本作で打ち出されているのは、藤原竜也と松山ケンイチのダブル主演、さらに神木隆之介や黒木華や永瀬正敏などの豪華俳優陣の出演だ。

 それぞれがこれ以上のない熱演をしていることはもちろん、映画そのものが「まさかここまで面白いとは!」と感嘆できるほどの内容になっていることが嬉しかった。後述する賛否両論を呼びそうなポイントはあるものの、個人的に早くも2022年のベスト候補のサスペンス映画になった理由を解説していこう。

殺人の隠蔽の擬似体験をさせてくれる地獄エンタメ

 あらすじはこうだ。農家の泉圭太(藤原竜也)は生産中の黒イチジクが高く評価され、過疎化が進む島に特別交付金の支給もほぼ決まり、島民たちには希望の兆しが見えていた。しかし、不審な男(渡辺大知)が島に現れたことで、平和な日常は一変する。圭太は自身の娘が失踪したことをきっかけに、ビニールハウスの中で男を誤って殺してしまったのだ。圭太は、幼馴染で親友の猟師の田辺純(松山ケンイチ)と、新米警官の守屋真一郎(神木隆之介)と共に、その死体を隠し通すことを決意するのだが……。

 端的に言えば「殺人を隠蔽する側の視点に立ったサスペンス」だ。それは『サイコ』(1960)をはじめとする古典的な映画にもよくある設定で、その時点で一定以上の面白さは保証済みと言ってもいいだろう。映画は時に「現実では絶対に味わいたくない出来事や心理を擬似体験させてくれる」ことにも意義がある媒体であり、「殺人の隠蔽」はその中でも良い意味で最悪の事象なのだから。

 その発端はもとより、「あの手この手」で主人公たちを容赦無く追い込んでいく物語運びも良い意味でとても意地が悪い。死体をうまく隠せずに焦りまくる3人の元へ疑い深い刑事が最悪のタイミングでやってきた上に、他にもトラブルが多発し事態は混沌めいていくのだから。「もうだめだ、おしまいだ」と一時的に絶望したとしても、彼らは次々に悪魔的なアイデアを思いついてしまい、さらに罪を重ねていく。 そんな「深淵」へと連れていかれるような「地獄エンタメ」として抜群に面白い映画なのだ。

 なお、​​廣木隆一監督はどちらかと言えば恋愛青春映画をよく手がけている方であり、本格的なサスペンス映画は本作が初となる。その作家性とも言える「引きの画」は登場人物の立ち位置をうまく表現しており、登場人物の動きを追うカメラワークもスリリングな演出として見事だった。意外な人選ながら、存分に監督の特性を生かした映画作りができていたのだ。特に「その場面をずっと観続けるしかない」演出の恐ろしさは、映画でしかなし得ないものだろう。

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