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『ブラックボックス』旅客機墜落事故の謎を「音」だけで解くサスペンスの魅力

文=ヒナタカ

『ブラックボックス』旅客機墜落事故の謎を「音」だけで解くサスペンスの魅力の画像1
C)2020 / WY Productions – 24 25 FILMS – STUDIOCANAL – FRANCE 2 CINEMA – PANACHE Productions

 1月21日より『ブラックボックス:音声分析捜査』が公開されている。本作は本国フランスで観客動員数100万人を突破した大ヒット作だ。

 タイトルのブラックボックスとは、飛行データと操縦室の会話と音声を記録する、実際に航空機に搭載されているボイスレコーダーのこと。その名前の由来は、墜落時の衝撃と熱に耐えられるよう厳重に密閉されていることなのだそうだ(ただし色は黒ではなく耐熱塗料が塗られた赤やオレンジが一般的)。

 本作はそのブラックボックスというモチーフを用いて、「ほぼ『音』だけで事件の謎を解くサスペンススリラー」に仕立てていることが何よりの魅力。しかも、現実にはびこる問題を示した、誰にとっても他人事ではない社会派の作品でもあったのだ。さらなる魅力を解説していこう。

人生をかけて真実の究明に挑む物語

 あらすじはこうだ。乗客・乗務員316人全員が死亡する旅客機墜落事故が起こった。司法警察の立会いの下、航空事故調査局の音声分析官のマチュー(ピエール・ニネ)はブラックボックスに残された音声を分析し、犯人像と目的は確定したかのように思われた。だが、その後に本格的な捜査に乗り出したマチューは、被害者の1人が残した事故直前の留守番電話の音声との、大きな矛盾に気づく……。

 サスペンスとしてまず特徴的なのは、「凄惨な事故(事件)は既に起きている」ことだろう。初めから「どうにもならない悲劇」が根底にあり、真実が明らかになったところで、その悲劇を覆すことなどできないのだ。それは実際に事故の調査の仕事に携わる方も感じている苦しさであるだろうし、それを後述する「周りからどれだけ孤立しようとも真実を追い求める」主人公を通じて丹念に描いていることに、本作の誠実さがある。

 事故そのものの顛末に至るまでの内容ではないにも関わらず、手に汗握るサスペンスになっているのは、主人公が人生をかけて真実の究明に挑む様を追い続けているからだ。主人公(および映画を観ている観客)は音声の分析を続けるうちに「テロか?」「操縦ミスか?」「はたまたそれ以外のトラブルか?」「まさかの陰謀か?」と様々な憶測が思い浮かぶが、そのどれもが確定的な証拠を掴めないでいる。さらには、不自然すぎる同僚の失踪や、あからさまな妨害、愛する妻との軋轢なども重なって、主人公はさらなる窮地に立たされていく。

 謎を解くほぼ唯一のカギは、ブラックボックスや被害者の留守電に残された「音」だ。主人公がそれらを分析して「何か」に気づくように、観客もまた劇中で流れる音を聞いて「この音はこれなんじゃないか?」「これはこういうことでは?」「あれ?さっきの推測と矛盾しているぞ?」とさまざまな推理を巡らせることができるのだ。

 この「主人公と一緒に真相を推理できる」ということに、探偵ものなどでおなじみのエンターテインメント性が存分にある。集中できる、音響が優れた映画館で観てこそ、最大限に楽しむことができるだろう。

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