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『ダンジョン』地上波復活も匂わせ?

『フリースタイルモンスター』後編・4タテ快進撃CIMAとラスボス般若のプロップス

FORKと呂布を連破して、ついにラスボスへ到達

 CIMAを止めるべく現れたモンスター、“4人目の男”は呂布カルマだ。KOK2021 GRAND CHAMPIONSHIP FINAL優勝者のFORK、準優勝者の呂布と連戦するなんて、『フリースタイルモンスター』はエグすぎる。

 1本目は、いとうせいこうが「ゾーンに入ってる」と認めるCIMAが先取した。はっきりとCIMAのペースだ。そして2本目。例によって、先攻は呂布だ。

呂布 「夢中になるシリアス シニカルなライムがお前を越えていく
    俺の詩になる言葉 ここで吐き捨てる言葉
    種類が違うからよく選別してくれ
    せん別を迎えるぜ お前に
    はなむけだ こっちに鼻の穴を向けるなよ」

 近年、こんなに韻を踏む呂布の姿は見た事がない。呂布は呂布でエグかった。後攻はCIMAだ。

CIMA 「一体どっちが尻軽 こいつがリリカル? それって意味ある?
    睨んでも所詮はサングラス 足はガクガクで勘ぐらす
    パンクラスの階級ではヘビー? 知らねぇ 俺はヘビーなスモーカー」
呂布 「ケツの穴の方じゃなくてシリアス
    意味あるよ リリカル意味あるよ それがなくて何になるの?
    俺がリアル?じゃなくてお前がシリアル
    朝牛乳かけて食う軽いやつ
    俺はディナー 肉 ステーキ 突き立てるのはステーキ
    フォーク ナイフ 全部持ってる」
    お前の内部まで蝕むやつ かかるぞインフルエンス」
CIMA 「溶けてる脳みそ バター ステーキ上 カルマが負ける スゲェ貴重
    スゲェ機長ジャックしに来た ジャックと豆の木 ラップの辞め時
    今 今 暇? ならばビターの味でビタ押しだぜ
    つまりはこれで777 ローカルから腹割ってHolla」
    
 バイブスが最高潮のCIMA。「ステーキ上」「スゲェ貴重」「スゲェ機長」と、はっきり言って踏み方はありきたりだ。「ジャックと豆の木」「ラップの辞め時」なんて、確実に以前どこかで聞いたことのある押韻である。だけどステージ上のアクションといい、彼の見せ方が抜群にうまい。さらに、関西人特有の口喧嘩の強さが感じられ、呂布を圧倒したように見えてしまったのだ。文字通り、会場をジャックしたCIMA。結果、このラウンドはCIMAのクリティカル勝ち!

 ID→FORK→S-kaine→呂布と4タテしたCIMA。これは恐れ入った。特に、FORKと呂布の連破はバケモノである。ちゃんと、全バトルで完勝しているのも文句なし。CIMAはラスボスに到達した。

般若の前で実力を出せなくなるラッパーを何度も見てきた

「はいしんだ」で登場する“ラスボス”般若の姿を見たのは、本当に久しぶりだ。上半身裸の般若は、相変わらずいい筋肉。でも、はっきり言って不安だ。もう、無理ではないのか? この人はMCバトルから離れすぎている。

 般若を前に「ヤベェー! 本物っすね(笑)」と、憧れを隠さないCIMA。でも、今日は憧れを超えていけ。何しろ、今オーディエンスを掌握しているのはCIMAなのだから。先攻は、もちろん般若だ。

般若 「うるせぇ~! 全員声上げろ」

 この一瞬でCIMAのバイブスを蹴散らし、流れを自分のものにした般若。はっきりと会場が般若の空気に変わった。後攻のCIMAも「騒げ~!」と返すのだが、明らかに般若と比べて弱い。

「騒げ」で会場を掴めなかったCIMAは、あからさまにペースを崩していった。と言っても、相変わらずうまいのだが。「上着を脱ぐなら行け格闘技 俺はリリック書く方に」など、普通ならパンチラインだったと思う。でも、般若を前にするとどうしても印象に残らない。

 こんな展開は今まで何度も見てきた。般若の前に来ると、ラッパーたちは軒並みいつもの実力が出せなくなる。これぞ、ラスボス。イメージ的に“4人目の延長”でしかなかったR-指定との違いはここだと思う。害悪のように言われがちなプロップス勝ちだが、今まで築いてきたものこそラッパーにとっての価値であり力である。というわけで、1本目は3-2で般若が先取した。審査員のKEN THE 390がコメントする。

「CIMAがバトルをやるごとによくなってて、会場の空気も味方にしてて、どっちかって言うとホームがCIMAで般若さんがアウェイみたいな空気で始まったバトルだったんですけど、最初の一言目の『うるせぇ~!』で一気にグッと空気を持っていったんですね。CIMAはそれに対して『騒げ~!』で同じように返したんですよ。フロウを真似る時って発声とか声の質を純粋に比べちゃって。そうすると、同じ事をやった時に般若さんの方が明らかに上だったんで、俺は般若さんに入れました」(KEN)

 続く2本目はCIMAが取り返し、ついにラストラウンドへ突入。3本目のビートはANARCHY「Fate」だ。3年前、『ダンジョン』で行われた般若の引退試合(第2ラウンド)と同じ選曲である。番組の最後に相応しい。さすがCELORYだ。

般若 「CELORYありがとう このビートに乗って いや乗らせてくれて
    CIMAありがとう ここに来てくれて 俺とやってくれて」
CIMA 「あの日 Rとアンタのバトル
    家族と見てハードルも上がったぜ
    だけどバトルじゃない 俺はHIP HOP Lifeが過酷と言いたい」
般若 「家族あってありきのHIP HOPだったら
    じゃあ今日HIP HOPじゃねぇ
    家族捨ててだってオメェに勝ってやんぜ
オイ関係ねぇ 1人でやってきたこのマイク握って
太く短く 太く長く もっと行くぜ
これが永遠 この一瞬が俺のやり方 これが勝ちパターン」

 般若が強い。一方、CIMAが意外に弾切れを起こしている。目の前で迫力あるあのバイブスをぶつけられると、喰らってしまうのかもしれない。ましてや、CIMAはヘッズだった。般若とのバトルが始まった途端、襟足までビショビショになったCIMAの汗がすべてを物語っている。結果は4-1で般若の完勝! その瞬間、飛び跳ねて喜びを露わにする般若。彼のこんな姿は本当にめずらしい。1度は引退した初代ラスボスだが、本気で向き合ってくれていたのだ。

「いやぁ~、これがラスボスですね。痛感しました。燃やされました」(CIMA)

「いや、もう恥ずかしいんでちょっと帰りたいです(笑)。真面目に個人的な事を言うと、CIMAとはいつかやりたいなと思ってました。今日、こういう形でできて本当スッキリしました。もう、出る事はないと思います(笑)。ありがとうございました」(般若)

 本当にいいものを見た。チャレンジャーが全クリするよりもハッピーエンドだったと思う。素晴らしい最終回だった。

 当然だけれど、『ティーチャー』と違って『ダンジョン』(モンスター)は本当に熱い。いつか、地上波で『ダンジョン』の復活はないのだろうか? エンディングでマイクを握ったFORKが口を滑らせている。

FORK 「この先どうなるか分かんないですけど、『次の箱を探してる』という情報だけは耳に挟んでるんで」
UZI  「探すのは勝手ですからね」
ZEEBRA 「探したからってやるのかどうかは分かんないからね」

 FORKの匂わせに期待しつつ、前向きに『ダンジョン』復活を願うのみだ。そして、ありがとうSTUDIO COAST!

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/02/12 18:00
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