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世界は映画を見てればだいたいわかる#34

少女性的虐待の元大富豪エプスタインの共犯者「なぜ彼女はこんな犯罪に加担した?」

司法や警察とガッチリにぎっていた?権力が味方…

 1995年、あるアーティストの美術展の会場に姿を見せたエプスタインとギレーヌが絵を一枚買い、そのアーティストに仕事を紹介したいと持ち掛ける。当時の2人は芸術家などに支援を行う慈善活動家として知られていた。ニューヨークのタウンハウスに呼ばれた彼女の仕事は、ハウスに来る来場者の受付というものだった。あなたの絵を知り合いの有力者に紹介してあげようというエプスタインの言葉を信じたアーティストは、監視カメラがやたらと多いハウスが気にはなったが、要人や大統領(!)が訪れるのを目の当たりにしてそのためだと思った。

 それでも妙なことが何度かあった。階段から少女が泣きながら降りてくるのを観て驚いたが、ギレーヌは「モデルの面接に落ちたのよ」と説明した。

 翌96年。約束通りパトロンを紹介されたアーティストは、オハイオ州の屋敷にいく。そこでエプスタインとギレーヌに暴行される。裏切られた彼女はニューヨークに戻り、警察に相談。警察からFBIの連絡先を渡され事情を説明したが、まったくとりあってもらえず、06年にエプスタインが別の被害者の告発により逮捕されるまでこの告発は完全に握りつぶされた。その上ギレーヌにFBIに相談したことがばれて脅されたという。

 この手口で犠牲者の告発を封じてきたのだろう。二人の狩りはその後も止むことなく、犠牲者は増え続けた。しかし冒頭に記したように06年、アルバイトをさせられた少女の父親からの通報により、エプスタインは逮捕された。家宅捜査が行われると監視カメラに接続されたパソコンからはなぜかHDDが外されていた。捜査情報が漏れていたのか。しかしギレーヌの手書きのメモだけは大量に残されていた。そっちも焼き捨てろよ!

 メモから未成年の少女を性的虐待していたという事は実証できる。エプスタインは罪状から15年以上の懲役を食らうはずだった。

 ところが下されたのは懲役15カ月という判決でしかも「通勤刑」というもので、朝の10時から夜の10時までエプスタインは塀の外へ出て「会社に通勤」できる。それじゃ何の意味もない。

 当時の裁判所判事であるアレクサンダー・アコスタとエプスタインは司法取引したとされ、アコスタは後に労働長官に出世した(トランプが指名)。性犯罪者と取引の見返りに出世する人って、日本でも聞いたことある話ですね。各国の有力者やアメリカ歴代大統領との付き合いがあるエプスタインに、権力が味方したとされている。

 刑期を終えて出獄したエプスタインはフロリダ州を逃れニューヨークに戻った。「ニューヨーカーは過去なんか気にしない」の言葉通り、社交界は性犯罪者カップルを問題なく受け入れた。

 この幕引きに当然のことながら被害者は怒り狂った。被害者の声なき声に耳を閉ざしていた二人に爆弾が投下される。ヴァージニア・ジュフリーという名前の。

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