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『関ジャム』秋元康特集 「秋元さんはカッコつける節がある」とディスる齋藤飛鳥に痺れる

坂道グループファンの間で有名な“秋元あるある”

 ファンの間には、有名な“秋元あるある”がある。それは、歌詞をコロコロ変えること。秋元が詞を完成し、乃木坂や日向坂が歌入れする。そこでまた、彼には気になる箇所が出てきてしまうのだ。

「彼女たちが歌うと、『ちょっと違うな』とか『彼女たちがこんな難しい歌い回しするかな?』とか、『あえて“ら抜き言葉”にしたほうが彼女たちのリアルな言葉になるかな……』とか、また直すわけです。だから僕の完成は詞ができたところではなく、そこからレコーディングをしてからでも、ミュージックビデオを撮影済みでも、気になったら直してしまう」(秋元)

 こだわりを表す美談のように語っているが、彼の“あるある”のおかげで歌詞とMVの世界観がチグハグになった件は少なくない。おそらく、現場は大混乱だ。ゲストの乃木坂46・齋藤飛鳥が実体験を語った。

「(MV撮り直しは)あります。毎度毎度。電車のテーマの仮歌が来てたから電車みたいな振り付けを作ったのに、今度はまったく違う曲に」(齋藤)

 MV撮り直しといえば、乃木坂46「Actually…」中西アルノセンターバージョンのMVが公開されたものの、齋藤&山下美月のダブルセンターバージョンに撮り直しされた件が話題になったばかりだ。中西は現在、活動自粛中である。

 ところで、秋元は48グループ、坂道グループ全体の作詞を担当している。膨大な楽曲の数だろう。彼は1曲の歌詞をどの程度のスピードで仕上げているのか?

「だいたい、常に10曲くらいの締切に追われています。毎日、2曲くらいは新しいのを書いて、それと同時に1度書いた歌詞の直しをしている……ということですね」(秋元)

 1日に2曲なんて、信じられないスピードだ。ここまで多作だと、やはり出来不出来は激しくなる。おそらく歌詞にやたらと「wow wow」を多用するとき、きっと彼は多忙なのだろう。ただ、本人曰く「スランプはない」そうだ。

「スランプっていうのを感じたことがないんですね。たぶん、スランプを感じる人は自分の中に基準があったりするんだろうけど、僕の場合は面白がって書いているというか……。だから、逆に1つのメロディーでも、オーバーに言えば100パターンくらい書けるなと思っていて、その中でどれにしようかなと迷うことはあります」(秋元)

 秋元の回答を見て肩をガックリ落としたのはスガだった。

「1年間で200~300曲? 僕、今年でデビュー25年目なんですけど、ようやく200何十曲で(苦笑)。(秋元は)『スランプない』って言ってるんですよ? 俺、スランプだらけっすよ!」(スガ)

 スガといえば、作詞を依頼されものの書けないまま締切日を迎え、ギリギリの状態で飛行機内で「夜空ノムコウ」を一気に書き上げたエピソードが有名だ。やはり、彼は職業作詞家の秋元とは違いアーティストだという気がする。

「秋元康はちょいちょいカッコつける節がある」と毒舌を放つ齋藤飛鳥

 いしわたりは秋元の「流行り言葉を使える強み」を指摘した。「普通のアーティストなら、『この言葉は近い将来死語になっているかもな』と躊躇して使えないワードも使えてしまう“強み”を感じる」と評したのだ。例として挙がったのは以下の曲だ。

・欅坂46「BAN」(2021年)
・AKB48「フライングゲット」(2011年)
・乃木坂46「インフルエンサー」(2017年)
・日向坂46「アザトカワイイ」(2020年)
・日向坂46「君しか勝たん」(2021年)

 特に日向坂の楽曲に多い印象。しかし、気になる点がある。流行り言葉なのに、取り入れる時期が遅いと思うのだ。どれも流行のピークから1年くらい経っている。どうやら、これは意図的らしい。

「女子高生なんかを集めてグループインタビューをすると、確かに面白い言葉はいっぱいあると思うんです。でも、インタビューしなきゃ出てこないような言葉は、たぶん使ってもわからない。40、50、60代のおっさんとして生活の中で耳に入ってくるぐらいの言葉がちょうどいいんじゃないか、と思っています」(秋元)

 この回答を見た関ジャニ∞の安田章大は、「アンテナの感度えぐいな」と驚いた。いや、逆だ。あえて、アンテナの感度を下げるという話である。秋元はわざわざリサーチをしない。JK的には少し下火になった頃、おっさんがやっと耳にしたタイミングで歌詞に取り入れる。当然、そこには「誰が歌うか?」の視点も並走中だ。日向坂46になら流行り言葉を取り入れやすい。しかし、美空ひばりに「君しか勝たん」は歌わせられない。

 流行を取り入れるといえば、秋元には代表的な曲がある。

「基本的によく言われるのは、『流行り言葉はすぐ古くなるから使わないほうがいい』ということ。でも、それをあえて面白いと思ったのが(国武万里の)『ポケベルが鳴らなくて』。ポケベルは絶対なくなるとは思ったけども、面白いなあと思ってあえて使いました」(秋元)

 この辺が、いしわたりの言う“強み”なのだろう。ただ、そんな作詞術のおかけで、今もAKBは「キャンディー」という曲で「お気に入りのカエラ」なんて歌詞を歌わされているわけだが……。

「流行のリサーチはしない」と明言した秋元。そして、作詞のためのメモも取らないそうだ。

「メモはしないけど、まぶたのシャッターを切るというのか頭の中のリュックサックの中には入れているんだと思うんですよね。面白い言葉のシーンを歌で使うのか、ドラマのワンシーンで使うのかわからないけど、『これ面白いな』ってものが頭の中に残っているんです」(秋元)

 パワーワードを設定し、そこから曲全体に尾ひれを広げて詞を書く。秋元の作詞術には、そんな特徴がある気がする。

 それにしても、インプットを「まぶたのシャッター」と表現したり、言葉のストックを「頭の中のリュックサック」と言ったり、いちいち引っかかるフレーズだ。これが作詞家たる所以か? 眉間にシワを寄せながら、齋藤が口を開いた。

「基本的に秋元さん、さっきの『まぶたでシャッターがどう』とか『リュックサックがどう』とか、なんかちょいちょいカッコつける節がありますよね」(齋藤)

 よく言ってくれた。いしわたりら作家陣では言えないことだけに、バッサリ斬った彼女に痺れる。事実、少し鼻につく言い回しだった。3月2日放送『佐久間宣行のオールナイトニッポン』(ニッポン放送)にゲスト出演した秋元は齋藤について「あの子は忖度しない」と評したが、それも言い得て妙の飛鳥節。彼女はいい言語感覚をしている。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2022/03/27 20:00
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