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「プロレスは格闘技の2.5次元」きつねとDDTが考える“プロレスブーム”の行方

ファン層から“チャーム”をあぶり出す──きつね流キャラクター造形の真髄

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写真=オノツトム

淡路 往年のプロレスファンの方がいるわけじゃないですか。そこと、そういうポートレート買うようなビジュアル含めて楽しむ方との差ってかなりあるんですか? 

ササ ちゃんと両方好きになってくれる人がずっと見続けてくれてる気がします。

淡路 なるほど。となると、最初にどうやって入ってきてもらうかの問題なんや。なんか行きづらい理由があるんですかねぇ。

上野 格闘技って、人を殴って痛い思いをしたりさせたりして、でも頑張るものなんですよね。好きになってくれる人は「でも頑張る」まで見て好きになるんですけど、やっぱり暴力だからなのか……?

ササ 『まっする』では殺陣にいっぱい効果音つけるんだけど、この人たち(プロレスラー)はちゃんと(攻撃を)当ててるんですよ。なんで当てちゃうんだ(笑)。やっぱり、迫力があるんで近くで観ると意外と怖いんですよね。この人たちは好きでやってるから良いんだけど。

大津 (元)K-1で皇治さんってキックボクサーいるじゃないですか。あの人、めっちゃ人気ですよね。そういう感じにはならないんですか?

ササ K-1のポップさにはいかないんですよねぇ。僕らはこねくり回して2.9次元謳って『まっする』やってますけど、やっぱりベースの部分でプロレスがなぜちゃんと来ないのかは真剣に考えちゃうよね。

上野 はい。

──お悩み相談みたいになってきました。いまさらな質問なんですが、興行として『マッスル』(2004~2010年)、そして『まっする』を仕掛けてきたササダンゴさんの中で、何をしていても「これはプロレスだ」という担保になっているのはどんな部分なんですか?

ササ それはねぇ、漫才やってもコントやっても試合やっても、選手たちがリングで一生懸命汗をかいていればプロレスだと思うんで。その姿を見せればお客さんはわかるし、そこで嘘はつけないのかなって思ってますね。

大津 総合格闘技で、マジで殺しに行くくらいの感じで戦ってボコボコにされるとするじゃないですか。そしたらめっちゃ人気出たりする?

ササ すると思います。

大津 皇治さん、女性人気も高いですよね。あれはやっぱりボコボコにされてるからやと思うねんな。それでも立ち向かう様子が刺さってんのかな。いや、上野さんなんかビジュアル良くてかっこええし、強いわけやんか。その層取り込めたらすごい盛り上がるんちゃうかな。

上野 K-1もプロレスも勝ち負けはつくし強さを競うものではあるんですけど、ササダンゴさんが言う「格闘技の2.5次元」って話と近くて、プロレスはめっちゃ強くて勝っても盛り上がらないんですよね。

ササ 最短距離で勝ちに行っても嫌われるんです。

きつね あ~、なるほど。

上野 強いとか弱いとかだけじゃないところで応援したい人が応援していく仕組みなんで。人気が出たらそれも広がると思うんですけど、「皇治さん強い!」みたいなところにはなかなかなりづらい。それこそ「どうせプロレスでしょ」って言われたりすることもあるし、そういう語弊もあって、伝わりづらいフィルターがどうしてもあるんだと思います。

大津 そのへんが難しいんですね。僕が『まっする』の話を聞いて考えてたのは、お笑いのブームは今地下芸人まで降りてきてるってところなんですよ。EXITからブームが始まってランジャタイまで来た。

淡路 そうそう。今、お笑い界は地下芸人ブームなんです。

大津 それって「硬派なのがいい」みたいなところだと思うんですよね。だからもしかしたら、ササダンゴさんみたいな「漢(おとこ)」って感じの人が2.5次元的なことをやる時期が来てるのかもしれないですよ。40~50代の人がこういう仮装して出てくる遊びしろがあるといいのかも。

ササ 私はつくる側に回ってるんですけど、自分も出たほうがいい、と。

淡路 もしくは、やりたくないであろうレスラーの方を呼んだらめっちゃ面白いやろうな。『KOUGU』が成立したのは「きつねにやらされてる」ってところがあったからだと思ってるんですよ。だから、そういうタイプじゃないレスラーの方が出たら、ファンの人も「嫌やけどちょっと見てみたい」ってなりそう。

上野 実際、僕らもちょっとそういう感じはあります。

大津 あるんや(笑)。

上野 真摯にやってはいるけど「ササダンゴ・マシンがコントロールしてる」という部分は出てると思います。

ササ 全員真面目だからちゃんとやってくれるけど、訝しんではいる中で僕だけがキャッキャキャッキャ言いながらやってます。いや、それにしても2人共すごいですね。アイディアがぽんぽん出てくる。

上野 今も話してるだけでいっぱい出てきましたもんね。

ササ コンビ揃って軍師タイプなんですね。え、おいくつなんですか?

きつね 32です。

ササ オカダ・カズチカ世代だ。武道館(※)の景色を見てる人たちはすごいですよ、やっぱり。

大津 武道館は『壁』のおかげですけどね。

(※)21年11月11日「『有吉の壁』Break Artist Live’21 BUDOKAN」

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──最後にひとつ聞きたいことが。上野選手をKOUGUに入れるとしたらどんなキャラにしますか?

淡路 マジで人気出そうやなぁ。

大津 女性ファンはどんな雰囲気の方が多いですか? 

上野 どうなんでしょう……僕は基本的にファンの人に優しいことを言わないというか、嫌なものは嫌って言うんですね。そうしないと僕の心がどんどん苦しくなっていくんで。だからファンの方は「嫌」って言われても喜んでくれますね。そういうシステムだと理解してくれてます。

大津 服装的には? ブランドものとか着てる?

上野 そういうタイプではないかも。

大津 露出度は?

上野 すぐに来なくなる方は高めで、ずっと応援してくれる方はそうじゃないですね。

大津 年齢層は?

上野 僕より年上の方が多いと思います。

大津 可愛がりたい系なんや。生意気さがかわいい、と。

──ファン像からキャラクターをつくっていくんですね。

大津 まず、どこがチャームなのかってところなんですよね。上野さんの場合、要はチャームが生意気さみたいな部分にフォーカスされてるってことでしょう。

ササ 「チャームが生意気さにフォーカスされている」……!(思わずPCを開きメモする) 

淡路 あと照れ屋さんぽいですよね、多分。

大津 でも静かなキャラよりは、猿っぽい、野性味ある感じがええかも。

ササ プロレス界だと静かなほうですけど、そっちにいったらそうなのかもしれないですね。

大津 「ウキー!」とか言うくらいの猿っぽさのほうが映えるんやろうな。

淡路 悟空感な、ええな。

ササ なるほど、わんぱく!

大津 猿っぽい……モンキー。

ササ・上野 モンキーレンチ!

上野 たしかに、普段バイク乗ってます。(編註:モンキーレンチ=整備用)

大津 KOUGUで考えたら、ほかの芸人がボケてないのにプロレスラーが果敢にボケまくる構図ができたほうが面白いと思う。ボケまくってるのを芸人がどう処理していいかわかれへんって顔を抜いての、俯瞰の笑いでしょうね。上野さんがボケてるときに誰かがちょっと嫌そうな顔してるところが面白くなったりすると思います。

──カメラのスイッチングまですでに見えている……。

上野 僕のファンの特徴を聞いただけで、僕が普段やっていないことが全部出てきた。そこで「やらされてる」って見方ができあがるんですね。

大津 見てるファンが「恥ずかしいのに頑張ってるんだろうな~!」ってなりますもん。普段こういう人じゃないのにやってるんだ、って。

ササ 試合は勝ったほうがいいですか? 負けたほうがいいですか?

大津 やっぱり主人公っぽいから、半年くらいかけてギリギリ負けるかどうかみたいな展開があってからの、最後の最後に勝つのがいいんじゃないですかね。上野さん、主役顔ですよね。華あるし。

ササ いやー、マジで超勉強になるな……。ほんとにきつねの2人にうちの会社にいてほしいです(笑)。

・プロフィール

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大津広次(おおつ・ひろつぐ)
1989年7月24日、大阪府出身。きつねのツッコミ・ウクレレ担当。相方の淡路とは小学1年生からの幼なじみだが、きつねを結成したのは2014年。大津がウクレレ、淡路がDJとしてサンプラーを駆使する「音ネタ」漫才で一躍ブレイクした。「KOUGU維新」では、ナルシストなキャラクター・プラスドライバ(演・乙ルイ)に扮しており、2.7次元ミュージカルの世界観を先頭で体現している。

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淡路幸誠(あわじ・こうせい)
1990年2月14日、大阪府出身。きつねのボケ・DJ担当。現在は新庄剛志のモノマネでもブレイク中で、新庄本人と共演した際に公認をもらっている。「KOUGU維新」では、べらんめえ口調でおなじみ・平やっとこ(演・淡川幸一郎)を好演。もともとダンスとアクションが得意ということもあり、パフォーマンス部分を牽引する存在である。

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スーパー・ササダンゴ・マシン(マッスル坂井)
1977年11月5日、新潟県出身。DDT所属のプロレスラー兼、タレント兼、坂井精機の代表取締役社長。早稲田大学在学中に、DDTの興行に参加。レスラーとして活動しながら、映像班を兼務し、2004年には演劇系プロレス興行『マッスル』をスタートさせた。一度は実家の金型工場・坂井精機を継ぐために引退を発表。現在は社長業の傍らレスラーとタレント業でも活躍中。

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上野勇希(うえの・ゆうき)
1995年9月1日、大阪府出身。DDT所属のプロレスラー。学生時代に経験した器械体操を生かした、高く美しい空中技に定評がある。現在はDDT内の人気ユニット・The37KAMIINAに所属。2021年には、テレビドラマ『警視庁ゼロ係~生活安全課なんでも相談室~』(テレビ東京)にゲスト出演するなど、プロレス以外でも活躍中。

<インフォメーション>
「まっする6 -下北ONE PLUS ONE-」
日時:3/29(火)~3/31(木)/会場:北沢タウンホール
「2.9次元ミュージカル」を生んだ「まっする」が今年もいよいよスタート。マッスル坂井が総合演出を務めるほか、音楽監督をRAM RIDERが担当。レスラーたちが踊って演じて戦う!エンタメの新しいカタチを目撃せよ!

チケット発売中!
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ローチケ bit.ly/3HfVGGq
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斎藤岬(ライター)

1986年、神奈川県生まれ。編集者、ライター。

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最終更新:2022/03/29 12:00
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