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アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~3

チョコプラ「悪い顔選手権」大ヒットの要因は“芸能人を犯罪者に仕立てる”背徳感

悪意の演習の裏にある“背徳感”のおもしろさ

 私の思考が辿り着いたのは「犯罪者に仕立てる」という背徳感が面白さに繋がっているのではないか、ということ。人気番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)とその演出家を評する時に「悪意の演出」という言葉が使われることがあります。

 この「悪い顔選手権」は出演者が自ら企画に挑戦しているというスタンスではありますが、企画の類としては“悪意の演出”に近いのかもしれません。

 ではなぜ、悪意の演出が面白く感じてしまうのか? キーワードは先述した「背徳感」だと睨んでいます。人間は性的な部分において背徳感によって興奮が高まることは周知の事実。

「やってはいけないことをやると気持ちいい」。この本能の根底に何があるのかは分かりません。ただそれ以上にバラエティで「やってはいけないことをやっているのを見るのが面白い」というのは不可思議な感情です。これは心理学の先生に聞いてみよう案件です。

 今、ふと思ったのですが、幼児は大人の顔をつねったりして、大人が痛がっているのを見ると嬉しそうに笑います。これはサディズム的な笑いの性質が大きいと思いますが「やってはいけないことをやっている」という背徳感も含まれているのかもしれません。あとは毒舌もこの背徳感が関係している気がしてきました。「そんなこと言っちゃダメだろ」と思いながらも笑ってしまう、あれは背徳感も若干含まれている気がします。例えば、有吉弘行さんがアンジャッシュ渡部さんをイジっているのは笑ってしまいますし、ダウンタウン松本さんが前園真聖さんの過去のお酒の失敗をイジっているのも笑ってしまいます。

 ただし、毒舌も行き過ぎると引いてしまい笑えなくなってしまうので背徳感にもさじ加減は必要なのかもしれません。東京五輪の開会式前に問題になった、小林賢太郎さんが過去にホロコーストをネタにしていた件は、少なくとも現代の感覚で言うと笑えるモノではありません。“行き過ぎない背徳感”、これがエンタメの笑いにおいてカギを握る1つの要素ではある気がする、というのが今回の分析の結論です。

 これ以上は私の想像力・分析力では突き詰められませんでした。中途半端で申し訳ありません。将来、大学とかでこういう学術的な研究をやりたいです。それでは今日はこのへんで。

放送作家。松本人志・高須光聖がパーソナリティを務めた東京FMのラジオ「放送室」で行われたオーディションをきっかけに放送作家の高須光聖に師事。以降、テレビやYouTubeでさまざまな番組を担当。主な歴代担当番組は『くりぃむナントカ』『シルシルミシル』『めちゃ×2イケてるッ‼』『ガキの使い 笑ってはいけないシリーズ』『得する人損する人』『激レアさんを連れてきた。』『新しい波24』『1周回って知らない話』『ゴン中山&ザキヤマのキリトルTV』『GET SPORTS』『ヨロシクご検討ください』『青春高校3年C組』『今田×東野のカリギュラ』など。

Twitter:@kikakusouko

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最終更新:2023/02/28 06:42
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