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一時は公開が危ぶまれるも…ロシアの“一般市民”から見た原発事故映画『チェルノブイリ1986』

文=バフィー吉川(ばふぃー・よしかわ)

一時は公開が危ぶまれるも…ロシアの一般市民から見た原発事故映画『チェルノブイリ1986』の画像1
C)≪Non-stop Production≫ LLC,C)≪Central Partnership≫ LLC,C)≪GPM KIT≫ LLC, 2020. All Rights Reserved.

 ロシアによるウクライナ軍事侵攻によって、再び危険が及ぶ可能性があったチェルノブイリ(※チョルノービリ。本稿では、作品名に準じてチェルノブイリと表記する)。ロシア軍によって占拠されてしまった。

 一時はIAEA(国際原子力機関)の監視データや全ての通信が途絶え、電力の供給も止められていたことで、再び原発事故の悲劇が繰り返されるのではないかという不安が世界中の人々の脳裏をよぎった。

 さすがにロシアとしても、チェルノブイリが危険な状態になることは避けたかったのだろう。電力供給は再会され、今は安定しているともいわれているが、予断を許さない状況であることは間違いない。

一時は公開が危ぶまれるも…ロシアの一般市民から見た原発事故映画『チェルノブイリ1986』の画像2
C)≪Non-stop Production≫ LLC,C)≪Central Partnership≫ LLC,C)≪GPM KIT≫ LLC, 2020. All Rights Reserved.

 そんなチェルノブイリを直接的に描いた映画『チェルノブイリ1986』が、2022年5月6日から公開されている。

 最悪の事態が発生した場合、公開中止になる可能性もあった。さらに今作がロシア映画だということも公開が危ぶまれる要素だったが、予定通り公開されることに。

 勘違いすべきでないのは、ロシアがいくら非道な行為を行なっているとはいえ、ロシアの一般市民が虐殺をしているわけではないということだ。今回の軍事侵攻で、ロシアの人々自体が悪のように扱われる風潮はよくない。

一時は公開が危ぶまれるも…ロシアの一般市民から見た原発事故映画『チェルノブイリ1986』の画像3
C)≪Non-stop Production≫ LLC,C)≪Central Partnership≫ LLC,C)≪GPM KIT≫ LLC, 2020. All Rights Reserved.

 今作を観てもわかるように、悲劇を繰り返したくない、平和な世界にしたいという願いは、ロシアの人々も同じであるはず。

 それなのに、国のリーダーや体制が邪魔をしている。一部の非道なロシア軍や政治家が“ロシアの人々の象徴”となってしまうのは、間違っていないだろうか……。なんの罪もないロシア人が迫害を受けることだけは、避けなければならない。

 本作は、ロシアの人々の平和意識や正義感を再確認できる作品である。ロシア映画だからと先入観をもって観てもらいたくはない。伝えようとしているメッセージは、紛れもなく本物であるからだ。

【ストーリー】
1986年、ウクライナ/ソビエト連邦のプリピャチ。若き消防士アレクセイが、10年前に別れた元恋人オリガと久しぶりの再会を果たす。この町の美容院で働くオリガは、女手ひとつで10歳の息子を育てていた。その父親が自分だと察したアレクセイは、今も愛しているオリガとともに新たな人生を踏み出すことを夢見て、消防署へ勤務地の移動を申し出る。ところがアレクセイの送別会が催された翌日の4月26日未明、チェルノブイリ原子力発電所で爆発事故が発生した。明け方、アレクセイは現場に向かう途中で、凄まじい黒煙と青白い炎が立ちのぼる光景を目撃。まもなく発電所に到着すると、通常の防火服を着たまま消火作業にあたる大勢の消防士たちが放射性の火傷を負い、あちこちで嘔吐していた……。

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