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文化横断系進化論

『アネット』スパークス×レオス・カラックスが生み出したミュージカル映画の“異端児”

文=宮谷 行美(みやたに いくみ)

『アネット』スパークス×レオス・カラックスが生み出したミュージカル映画の異端児の画像1
© 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / RtbfTélévisions belge) / Piano

 非日常的なストーリーや浮世離れした演出がミュージカル映画のお約束とするならば、『アネット』はミュージカル映画界における“異端児”である。朗々と歌い踊るシーンもなければ、大勢が集い歓喜に包まれる華々しい演出もない。セリフの代わりに音楽を用いるのではなく、音楽そのものがストーリーとなり、美しい映像と共に、美談だけでは語れない心の深淵を生々しく暴いていく。音楽家スパークスと映画監督レオス・カラックスによる真新しいコラボレーションが生み出したのは、王道にも流行にも属さない異質なミュージカル映画だった。

“奇才”と“鬼才”の邂逅が叶えたミュージカル映画

『アネット』スパークス×レオス・カラックスが生み出したミュージカル映画の異端児の画像2
© 2020 CG Cinéma International / Théo Films / Tribus P Films International / ARTE France Cinéma / UGC Images / DETAiLFILM / Eurospace / Scope Pictures / Wrong men / RtbfTélévisions belge) / Piano

 ことの始まりは2013年のカンヌ国際映画祭。カラックスの前作『ホリー・モーターズ(’12)』にてスパークスの楽曲(「How Are You Getting Home ?」)を使用されたことが接点となり、スパークスは『アネット』の構想をカラックスに持ち掛けたという。

 スパークスは、兄のロンと弟のラッセルのメイル兄弟からなるポップ・デュオだ。風刺とユーモアを織り交ぜたストーリーテリングに、グラム・ロック、テクノ、クラシック、サイケ、エレクトロといったエッセンスを取り入れた独創的なポップ・ミュージックを世に放ってきた彼らは、作品や時代ごとに異なるサウンドを開拓し、常に変化とフレッシュさを追求してきた。

 一方レオス・カラックスといえば、23歳で撮影した初長編『ボーイ・ミーツ・ガール』(’83)で鮮烈なデビューを飾り、『汚れた血』(’86)、フランス映画史上最大の予算をかけて制作された『ポンヌフの恋人』(‘91)と革命的映画を撮り続けてきた“神童”である。

 過去にはジャック・タチやティム・バートンといった映画界の大御所との共作の話が持ち上がるも、ことごとく企画は頓挫され、映画制作に携わるという夢が果たせずにいたスパークス(※1)と、“次作はミュージカル映画”と噂されてはいたものの、完璧主義かつ音楽へのこだわりも人一倍強いことから実現化に足踏みしていたカラックス(※2)。まるで運命の引力に引き寄せられるようにポップス界の“奇才”とフランス映画界の“鬼才”が邂逅することで、双方の長年の夢がようやく叶う時が来たのだ。

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