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『ドリフ』はそれでも続いていく―お笑いと喜劇の質の違い

お笑い芸人とコメディアンの違い

 柴田さんが志村さん役のツッコミ。劇団ひとりさんが加藤さん役のボケ。内容は過去のコントのそのままに、CM撮影に来たひとりさんが何かしらの失敗があり、何度も牛乳を飲まされるというもの。このコントを見て感じたのは、ひとりさんがボケる前半部分より、苦しくなって牛乳を吐き出す後半部分の方が笑えた気がした。しかし過去のコントは加藤茶さんがボケる前半部分から十分笑えたのだ。これはひとりさんのテクニック云々の話では無い。ひとりさんは十分単独で笑いを起こせる芸人だ。一体何が違うというのか。

 僕が思うに「ザ・ドリフターズ」は、全員がコメディアンなのではないだろうか。「そりゃそうだろ」と思うかもしれないが、ポイントは”お笑い芸人”ではなく”コメディアン”と称したところ。お笑い芸人はお笑いを専門に芸をする演芸人を指し、コメディアンはコメディ、すなわち喜劇を演じる俳優なのだ。

 笑いを目的とするお笑い芸人と演じることを目的とするコメディアンとでは、そもそもコントの作り方や演じ方もだいぶ違う。お笑い芸人のコントは世界観の不条理さや芸人自体の面白さ、セリフなどを面白くして笑いを起こすが、コメディアンのコントは、如何にその世界観や役柄に入り込み違和感を無くすか、そしてその世界の住人が面白いことに巻き込まれていくのかを演じて笑いを起こす。

 思い返してほしい。コント中、志村けんが志村けんとして笑いを起こしているのを見たことがあるだろうか。たぶん無いはずだ。志村けんはすべて役柄に入り込み、その役として笑いを起こす。それは加藤茶やほかのメンバーも同じである。

 芸人はある程度年を取ると、実年齢にあった役を演じるようになる。それは自分の素の面白さや、雰囲気に役を寄せるからである。逆に憑依型の演技をするコメディアンは、実年齢がいくつでも子供からお年寄りの役を難なくこなす。極めた人になると性別を変えも違和感を感じない。逆に芸人の場合違和感を感じさせて笑いを取る。

『ドリフに大挑戦スペシャル』を見て、新作と名作の違いを感じたのは、この辺りが要因だったのではないだろうか

 そういえば昨年放送された『志村けんとドリフの大爆笑物語』(フジテレビ系)で遠藤憲一さんや勝地涼さんが完全コピーした名作コントは感動すら覚えた。文字通り喜劇を演じることが出来る俳優さんの方が、ドリフのメンバーに近いのかもしれない。

 ただそれは元芸人としてはとても悔しい。子供の頃に憧れお笑いの道へ進ませてくれた「ザ・ドリフターズ」は、僕の中では紛れもなくお笑い芸人だ。はやく喜劇を演じることが出来る”芸人”が出現し、ドリフに大挑戦してまたあの頃のドリフを見せてほしい。

 …シソンヌ辺りどうだろうか?

檜山 豊(元お笑いコンビ・ホームチーム)

1996年お笑いコンビ「ホーム・チーム」を結成。NHK『爆笑オンエアバトル』には、ゴールドバトラーに認定された。 また、役者として『人にやさしく』(フジテレビ系)や映画『雨あがる』などに出演。2010年にコンビを解散しその後、 演劇集団「チームギンクラ」を結成。現在は舞台の脚本や番組の企画などのほか、お笑い芸人のネタ見せなども行っている。 また、企業向けセミナーで講師なども務めている。

Twitter:@@hiyama_yutaka

【劇団チーム・ギンクラ】

ひやまゆたか

最終更新:2022/05/22 13:00
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