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『オールドファッションカップケーキ』 心地よい会話劇で描かれる大人のラブストーリー

文=亜胡(あこ)

『オールドファッションカップケーキ』 心地よい会話劇で描かれる大人のラブストーリーの画像1
フジテレビ公式サイトより

 日本でも世界的なブームに乗って途切れることなくBLドラマが放送・配信されるようになってきました。その中でも、最近特に話題になったのがドラマ『オールドファッションカップケーキ』。動画配信サービスFOD楽天TVでのみ配信されたドラマだったにもかかわらず、配信されるたびにTwitterのトレンド入りを果たすなど、大きな反響を呼びました。

 そんな話題のドラマが8月16日からフジテレビ(※関東ローカル)で放送されることになり、ますますファンが増えそうな予感! 私もこのドラマにハマった1人として、その魅力を紐解いていきたいと思います。

心に響く言葉が多く、会話のキャッチボールが魅力

 40歳を目前に控えた、会社では頼れる上司の野末(武田航平)。やりたい仕事をして淡々と過ごす日常に満足はしているけど、どこかで焦りも感じている。野末にひそかに想いを寄せている部下の外川(木村達成)は、昇進を拒んで現状に甘んじている野末を心配し、「アンチエイジング」と称してスイーツ巡りに連れ出す。“女の子ごっこ”をしながら仲を深めていく2人に、いつしか外川の想いが溢れ出して……というラブストーリー。

 原作はシリーズ累計発行部数50万部を記録している佐岸左岸先生の同名BL漫画。独特のセリフが胸に刺さる作風で、「このBLがやばい!」(JIVE)2021年度の2位になるなど ファンの多い作品です。

 制作の方たちが「原作の世界を壊さないように作った」と言っていたのもうなずけるほど、ドラマでも原作の素敵なセリフがほぼ変わることなく入っています。特にアラフォー世代には耳が痛くなるようなセリフが多い! 「もう四十路だし恋なんかする年じゃない」と言った野末に外川がかけた「めんどくさいんじゃなくて怖いんでしょう、野末さん」 この言葉にはドキリ。変化を恐れて動けないことを年齢のせいにして逃げてしまう野末の気持ちに共感しつつも、外川が野末を連れ出したように、野末と一緒に自分も新しいことにチャレンジしてみようか、という前向きな気持ちにもさせてくれます。

 派手な胸キュンシーンはなく、ただ日常の2人をのぞき見しているような会話の流れが心地よく、気がついたら1話見終わっていた!となる不思議なドラマです。特に第3話のすれ違いからの会話の掛け合いは、ドラマでしか感じられない絶妙な間合いと空気感が抜群で、面白さが倍増していました。

 また、原作の1話分がドラマ1話ずつ描かれ、全5話で完結するというのもポイント。無理に話を広げず、原作と同じようにストーリーが展開していきます。短いのが残念という声もありますが、無理に引き伸ばして、当て馬が出てくるなどドラマオリジナルの設定“特盛”になって原作の世界観が壊されたりしなくてよかった……と私は心底思いました。 このあたりも、原作を尊重してつくられたのだと好感が持てます。

会話劇を引っ張る実力派の2人

 実写化ドラマは、どのドラマでも配役に対していろんな意見が出てくるもの。このドラマも例に漏れず、キャスティング発表時はさまざまな意見がありました。

 ところが第1話が始まってみたら、どんどん世界観に引き込まれ、原作が思い起こされるシーンの数々も相まって、キャスティングを心配してたことはすっかり頭から抜け落ち、夢中でドラマに見入っていました。

 ドラマ前半でとにかく魅了されたのは、40歳を目前に控えている、一般的には“おじさん”と称される年齢にある野末の可愛さ! こんなに部下思いで可愛い、癒しのアラフォー上司は絶対現実にいないんだけど、いや、どこかにいるかもしれない!と思わせてくれる普通さも持ち合わせている野末を、武田航平さんが演じ切ってくださいました。野末は、「外川が惚れる」「女子社員に人気がある」「男性の部下からも慕われる」愛嬌のある上司じゃなければならない。武田航平さんが醸し出す物腰の柔らかさと柔和な笑み、ドラマを見ていると、きっと画面の向こうの野末に癒されることでしょう。

 後半からは外川役の木村達成さんから目が離せませんでした。野末への気持ちが抑えきれなくなったあたりから、見ているほうも愛しさと切なさがこみ上げてきて、心をわしづかみにされてしまいます。しかし、最終話を見たあとにまた最初から見直すと、野末の言葉に一喜一憂している外川を発見! 初見では野末の可愛さに目を奪われがちだった物語の前半も、外川役の木村達成さんがそんな繊細なお芝居をされていることに気がついたのです。気持ちを抑えている外川からちょっとずつ漏れ出す野末への想いを感じられて、こんなに小さな仕草を散りばめていたんだ!と感動しました。

 

『オールドファッションカップケーキ』 心地よい会話劇で描かれる大人のラブストーリーの画像2
フジテレビ公式サイトより

 このドラマは、派手な展開はなく、落ち着いた雰囲気の会話で引っ張るラブストーリーです。しかし、それを実力のある俳優さんが演じることで、野末と外川の気持ちにどっぷりと共感し、2人の恋を応援したくなってしまうのです。もちろん演技だということは理解していますが、画面の中の2人の気持ちに嘘がない、そう感じられたのも、武田さんと木村さんが演じた野末と外川だったからだと思います。想いが乗っているからこそ、私たちは夢中になってしまうんです。

 日本のBLドラマはラブコメが多いなか、39歳と29歳という成熟した大人の、大人だからこそ一筋縄ではいかないラブストーリーを「今」見ることができた、ということが嬉しくてたまりません。純粋なラブストーリーとして楽しめるのはもちろん、日々の生活の中で身近にある、なんてことない幸せを見つめ直すこともできる作品であるというのも、『オールドファッションカップケーキ』の魅力です。

 いよいよ待望の地上波放送が始まります! 放送は関東ローカルではありますが、TVerでの見逃し配信もあるそうなので、これまで気になるけど見れていなかった人たちを巻き込んで、ファンがもっと増えていきそう。原作漫画には続編があるので、ドラマの“続き”があることも期待しつつ、まずは地上波放送も楽しみたいと思います!

>> 【期間限定】ドラマ『オールドファッションカップケーキ』第1話公開【公式】(YouTube)

■番組情報
『オールドファッションカップケーキ』
放送:8月16日(火)24:25~ フジテレビで放送開始(関東ローカル)
配信(全5話):FOD / Rakuten TV
※配信は記事公開時点の状況です。配信終了している可能性があります。ご了承ください

出演:武田航平、木村達成、水石亜飛夢、斎藤さらら、鮎川桃果、吉井怜
原作:佐岸左岸『オールドファッションカップケーキ』(大洋図書「H&C Comics ihr HertZ Series」刊)
脚本:宮本武史
監督:加藤綾佳
音楽:西村大介 / DUNK
主題歌:Ryu Matsuyama「blue blur feat. mabanua」(バップ)
プロデューサー:根本裕美(バップ)、鹿内植(フジテレビ)、片山武志、松浦朋子
制作プロダクション:日本出版販売
製作:「オールドファッションカップケーキ」製作委員会
公式サイト:fujitv.co.jp/ofc

亜胡(あこ)

亜胡(あこ)

BL作品を読んだり見たりするのが大好きなライター。
noteで主にタイ、台湾、韓国、日本のBLドラマの感想を書いてます。
https://note.com/akoako_yu

最終更新:2022/08/16 12:00

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