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「自己啓発書にツバを吐きたくなる人にこそ読んでほしい」

水野敬也『夢をかなえるゾウ』最新作の主人公は夢がない!

自己啓発書やスピ系のウソと対立

――日刊サイゾーは意識高い系や夢をまっすぐ追いかけている人をナナメに見ている読者が多いメディアですが、そういう人が読んで得るところがあると思いますか?

水野 僕もナナメに見ている人間ですからね(笑)。ありがたいことにたくさんの読者に愛されているシリーズではありますが、まだまだ読んでもらえていないとも思っていて。斜に構えている人、自己啓発書にツバを吐きたくなる人にこそ『夢ゾウ』を読んでもらいたいんです。でも、気づけば「自己啓発書の金字塔」みたいな空気になっていて、「あれ? 伝わってないな……」と(笑)。僕はそれが悲しくて。いろんな切り口でシリーズを出していくことによって、どこかで気づいてくれるんじゃないかと思ってはきたんですが。

――『夢ゾウ』のファンはどういう人が多い印象ですか?

水野 「書いてあったことを実践してみます」みたいな人もいれば、「ガネーシャの教えは無視して物語を楽しんでます」という人もいますし、いろんな方が読んでくれています。自己啓発書の読者というより、実は「『夢をかなえるゾウ』ではじめて活字の本を読み通した」という人が多い。もちろん、続篇に関しては前の巻を読んだ人が読むケースは多いですけど。

――ガネーシャや釈迦、シヴァ神などが出てきますが、スピ系の読者もいる?

水野 1巻時点ではいたと思いますよ。でも、3ではパワーストーンを持っている主人公の女性が20万円以上するガネーシャ像を買うところから始まり、「想像しただけで夢がかなうわけない。努力が必要だ」というテーマと向き合うことで自己啓発書界隈、スピリチュアル業界のウソと対立する内容になっています。確かに、自己啓発書にはウソの心地良さがあって、だからこそ希望になっている部分もあるわけです。そして、希望を求めたい人は良いことしか書いていない本を買う。だけど、そこで偏ったままだと長期的にはうまくいくことが難しくなる。だから、3では「飲み込むのが厳しい真実の中に真の希望がある」というテーマを書いたんです――ただ、3は予想以上に高評価をいただいて、3が一番好き、という読者の方もいらっしゃいますね。3の読者の人は……どういう人なのか僕自身もよくわかっていない部分がありますね(笑)。

 僕は、人の悩みはいろいろな角度から見ることができて、それに対していろいろな希望を示すことができるということを、『夢をかなえるゾウ』のシリーズで円をなすように書いていきたいんです。そういうことがわかるのが人間として成熟した状態でもあると思いますから。その円をなす点のうちの一部だけでも興味をもってもらえればよくて、スピ系が好きな人は1巻を読み、絶対イヤだという人が4巻を読むとか、そうなっていくのがシリーズとして理想的なのかなと。

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