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「だから日々、いろんな戦(いくさ)があっても闘っていけるんです」

井手上漠、“ジェンダー問題の発信”をやめる、その日を見つめて

文=日刊サイゾー

井手上漠、ジェンダー問題の発信をやめる、その日を見つめての画像1
井手上漠(撮影=二瓶彩

 2018年第31回『ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト』に出場し、“かわいすぎる男子高校生”として世に登場した井手上漠――2003年生まれの19歳。以後、Instagramではファッションアイコンとして注目を集めるほか、ジェンダーをめぐる問題の発信を続け、ジェンダーレスアイコンとしても活躍している。

 今回のインタビューで、初めて対面した井手上漠の印象は、“自然体”。でも、その凛としたまなざしからは視線を逸らすことができず、ハッキリとした物言いには圧倒されるシーンもあった。そのアティチュードや生き方は、どのように形作られているのだろうか。


井手上漠(いでがみ・ばく)

2003年、島根県・隠岐群海士町生まれ。2018年、ジュノン・スーパーボーイ・コンテストにて「DDセルフプロデュース賞」を受賞したのをきっかけに翌年からモデル、CM、テレビ番組などで活躍。「性別なし」を自認する。2021年には初のフォトエッセイ『normal?』(講談社)を発表。2022年にはジェンダーレスファッションブランド「BAAKU(バーク)」をプロデュース。

だからこそ、日々、いろんな戦があっても闘っていける

井手上漠、ジェンダー問題の発信をやめる、その日を見つめての画像2

──昨年春、生まれ育った島根県海士町(あまちょう)から上京されて、1年がたちました。この1年間でどんな心境の変化がありましたか?

井手上漠(以下、井手上):変わったことだらけです。昨年4月に『normal?』を出して、そこでもジェンダーにまつわるトピックや問題意識について書いたんですけど、ジェンダーのことって知れば知るほど、当事者の私でもわからなくなること、難しいことがたくさんある。それを常に考えている生活なので、今は考え方がより深まっているような気がします。

──それは、井手上さんご自身がSNSなどで発信する立場にいるのも手伝っているのでしょうか。

井手上:そうですね。でも理想だけ言えば、本当はジェンダーのことについてそんなに重く受け止めてはほしくないんですよ。ジェンダー平等が実現した社会っていうのはそのもの自体が通常となり、一人ひとりがそんなに深く考えたり、悩んだりしないはずなんです。でも現実はそうではないから、悩んでいる人を勇気づける存在が求められていて、私にはそれになりたい気持ちがあって。なので私は、自分は常に学んで考える必要があると思っています。

 たとえば、私はSNSで“お悩み募集”をよくやっているんですが、「LGBTQの友達からカミングアウトされたけど、どう言葉を返したらいいかわからない」という相談があったりもします。でも私は、カミングアウトした側は、相手に“理解”をしてほしいわけではないと思うんですよ。“理解”ってそんなに簡単にできる、またするべきものじゃないし、さっきも言ったように、理想はそんなに重く受け止めてほしくないからこそ、ラフに、「そうなんだ~」くらいでいいと思う。ただ、認め合えればいいって思うんです。

──SNSでも、いろいろな声を受け取っているんですね。

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井手上:ただ、自分が何かアクションを起こす中で、「私がやっていることって正しいのかな?」とか、「間違ってないかな?」って、不安になることも多いんですよ。

 SNSのbioにも「性別ないです」って書いているんですが、私のように「性別がない」人として生きていると、「なんだよそれ」って言われることもあるし、もしかしたら誰かに不快な思いをさせているのかもしれないって思うこともあって。でも、いろいろと考えた結果、自分ってこうなんだしなって思うんです。今は自分の生き方に自信を持てているけど、そこに正解っていうのはないから、たまに不安になることもあるんです。人間ですからね。

──19歳にして、すでにいろいろなものを背負っている。もしかしたら、背負いすぎているんじゃないかと、少し心配にもなります。

井手上:でも、母や友達の存在はもちろん、「ジュノンボーイ」が私をファイナリストに選んでくださったり、SNSでも世代を問わずたくさんの方々が私に個人的な悩みを相談してくださって、私の存在が「励みになる」と言っていただけることもあって。私が性別について悩んでいた中学生時代に、こういう人がいたら救われたな、って人物像に近づけたいと常に思っています。だからこそ、日々、いろんな戦(いくさ)があっても闘っていけるんだと思います。自分のためでもあり、誰かのためでもあるから。

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