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長渕剛「外国人に土地売るな」発言、中国人問題と掻き立てるメディアの過ち

懸念される行政の負担増…不安を覚える住民も

 問題があるとするならば税金の徴収や使い道となるかもしれない。倶知安町で生まれて育った住人のひとりからはこんな話を聞いた。

「町の人は外資の流入に対し賛否両論です。賛成の方は言わずもがな。町に活気が出るのあれば歓迎すべきという立場です。否定の方は少し複雑。そもそも、外国人には土地を売りたくないという地主さんもわずかながらいる。ただそれ以上に懸念されているのは、町の財政です。現在、ホテルリゾートの開発の際のインフラ整備、例えば水道の敷設などは自治体が負担することになっている。高層ホテルなどもバンバン建設中なので、上階まで水道を通すとなると自治体の負担は非常に大きい。結果、町にとってはデメリットが大きいのではないかという不安の声があります」

 このニセコの例はひとつの例に過ぎないが、過疎化する町を振興し、日本人にとって住みやすくするためには、何より現地の声や実情を知る必要がある。その上で政治の力がモノを言う。規制やルールを一方的に強めれば、外資誘致は難しくなる。町の負担を最小限に抑えつつ、外資から“良いとこ取り”をする綱渡りのような交渉が必要だ。

 ニセコに限らず、北海道には外国人がビジネスの種を持ち寄ることで、小さな町や産業が活性化した事例が複数ある。現地に移住することなど露ほども考えていない東京のエリート層が声高に叫ぶ地方創生を、外国人がやってのけているのだ。

 そしてその流れは、北海道だけでなく、日本各地に波及しつつある。なぜか。仕掛ける側の外国人たちにはひとつの確信と前提があるからだ。それは「日本には日本人が知らない魅力がたくさんある」というものだ。

「土地を売るな!」「日本が奪われる!」というシュプレヒコールに賛同しても、何も解決に繋がらない。本当にこの国を心配するのなら、日本の価値を再発見する目や、マーケティング能力、メリットを最大化するしたたかな政治的交渉術を磨くべきではないだろうか。愛国を実践したいアーテイストには、言いたいことだけ言うのではなく、ライブ以外の日に北海道にやってきて、町の人たちの話にゆっくりと耳を傾けてほしいものである。

与良天悟(芸能ライター)

1984年、千葉県出身のウェブメディア編集者。某カルチャー系メディアで音楽や演劇を中心にインタビューなどを担当するほか、フリーで地元千葉県の企業の記事なども請け負っている。

よらてんご

最終更新:2022/10/27 08:00
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