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ダウンタウン松本「スベる」だけじゃない−芸人の言葉はなぜ一般に浸透したのか?

文=檜山 豊(ひやま・ゆたか)

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ダウンタウン・松本人志

 少し前の話になってしまうが、日本テレビ系で放送された『ダウンタウンVSZ世代 ヤバイ昭和あり?なし?』という番組内で、「松本人志がルーツの言葉」というコーナーがあった。

 これは今では一般的に使われている言葉だが、実はダウンタウン松本人志さんが広めたという言葉を集めて紹介するというもの。紹介された言葉は「空気を読む」「ドン引き」「スベる」「ネタの引き出し」「イラっとする」「ネタがかぶる」「グダグダ」「ブルーになる」「ハードルを上げる」「けがする」「事故る」「サムい」「へこむ」「逆に」等々。

 この言葉の中には、普通に使割れる言葉をお笑い用語として使用したものだったり、別の専門用語として使われていたものもあるが、テレビを通して発信し世間一般でも認知されるような言葉にしたのは、間違いなく松本さんだろう。

 松本さんだけではなく、ほかにも芸能人が広めた言葉は多々ある。

 有名なところでいうと伊集院光さんが作った「中二病」という言葉。これは伊集院さんのラジオ中に生まれた造語である。意味は「中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動や思春期にありがちな自己愛に満ちた空想や嗜好などを揶揄したネットスラング」とのことだが、この何とも言えない時期の何とも言えない感覚で、大人が見るとほっこりしてしまうような状況をたった一言「中二病」という言葉でまとめ、さらに意味が何となく分かるというのはさすがである。

 他にも欽ちゃんこと萩本欽一さんが広めた「天然ボケ」、とんねるずさんが作った「彼氏いない歴」「元サヤ」、タモリさんが作った「根暗(ネクラ)」、所ジョージさんの「あけおめ」、そして明石家さんまさんが発祥の「バツイチ」など数え上げたらキリがない。言葉だけではなく子供から大人まで知っている「最初はグー」も元々は、ザ・ドリフターズの志村けんさんが番組中に偶然作り上げたものだ。

 もちろんお笑い芸人以外の芸能人や著名人が広めた言葉も多々あるが、総じて言えることは当時のテレビの影響力は凄かったということだ。

 今と違って流行や情報を得る為にテレビを見ることは必須だった。ある意味テレビに出ている芸能人たちは流行の最先端を走っている存在だった。それは何もファッションやコスメに限った事ではなく、子供たちが真似したくなるギャグだったり、大人たちが思わず影響を受けてしまうドラマやCMだったり。とにかく我々視聴者はテレビから発信されたものを自然と生活の一部にしていたのだ。

 もちろん流行というのは流行り廃りがあり、淘汰されていくもの。だがお笑い芸人が作った言葉はなぜ、長く使われて残っていくのか。

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