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『クロサギ』平野紫耀“黒崎”と御木本の初対決は前座? 宿敵との闘いは第2Rへ

『クロサギ』平野紫耀“黒崎”と御木本の初対決は前座? 宿敵との闘いは第2Rへの画像
Paravi配信ページより

 King & Prince・平野紫耀が主演を務めるTBS系金曜ドラマ『クロサギ』の第4話が11月11日に放送された。

 本作は、詐欺によって家族を失った主人公・黒崎高志郎(平野紫耀)が、「人を騙し、金銭を奪うシロサギ」「色恋を餌にするアカサギ」といった詐欺師だけをターゲットとする「詐欺師を騙す詐欺師=クロサギ」となって、本当の「敵」を探し出し打倒していく物語。第4話では、黒崎一家崩壊の元凶である大物詐欺師・御木本(坂東彌十郎)との対決が早くも描かれ、因縁の相手との騙し合いには不安が募りつつ、胸躍る回となった。

 前話で共闘した、腐った大企業だけを喰う“特別なシロサギ”白石陽一(山本耕史)の情報提供により、黒崎は御木本に接近していく。一方、フィクサー的存在である桂木敏夫(三浦友和)から持ち込まれた「ヘッドハンティング詐欺」の露木洋明(庄野崎謙)を喰う仕事をあっさりとこなしてみせた黒崎は、露木の“ボス”が御木本であることを知る。逃亡資金を渡す代わりに御木本の情報をよこせと露木に迫る黒崎。露木がやっていたヘッドハンティング詐欺は、御木本が仕掛けているM&A詐欺のために行われているものだとわかる。

 御木本が自ら小田倉商事のヘッドハンティング詐欺に動いていることを知った黒崎は、御木本を喰うチャンスだと動き出す。まだ第4話ということで、ラスボス候補の御木本への急接近に筆者は一抹の不安を感じた。百戦錬磨のクロサギといえ、今回ばかりは焦りが見えたからだ。家族を失うきっかけをつくった宿敵を目前にすれば、その心情は理解できるが、予告動画の黒崎が何者かに取り押さえられながら「御木本!」と絶叫するシーンもあっただけに、黒崎が逆に喰われるエンディングも少なからず頭に浮かんだ。

 話が進むにつれてその不安は晴れていくが、それは、黒崎の綿密な策略はもちろん、周りの人間のあたたかみによるものだ。巨悪を前に精神的に入れ込む様子の黒崎に、隣人のヒロイン・氷柱(黒島結菜)やその父・辰樹(船越英一郎)は詐欺行為を咎めることなく、より笑顔で生きられる道を提案する。初回から黒崎と接する一家だからこそ、その根底にある“善”の人間性を見抜いてのことなのかもしれない。煙たがる黒崎だが、本心はいかに……。ポーカーフェイスからはうかがえないが、孤独な闘いの数少ない味方として認識している可能性はある。事実、桂木の忠告を無視して氷柱を自らが経営するアパートに住ませ続け、今回のラストで上海に旅立つ際には愛猫を氷柱に預けている。第4話で氷柱が黒崎に想いを寄せているのも明白になり、今後の恋模様にも注目だ。

 肝心の“黒崎VS御木本”は、意外にも黒崎のワンサイドゲームだった。M&A詐欺の準備段階としてすでにヘッドハンティング詐欺を仕掛けられた小田倉商事の人間に、御木本の計画を明かし、味方に引き込んだ黒崎。白石の協力で切り札となる「まほうのどうぐ」=御木本が狙っている小田倉商事の資産と社員を事前にすべて別会社に移しておくという防御策を手にした黒崎は見事、御木本を騙すことに成功。M&A詐欺を手広くやっているために寂しくなっている御木本のふところ事情を見抜き、御木本が小田倉商事のM&A詐欺の完遂を急ぐという黒崎の目論見どおりだった。さらに御木本のM&A詐欺の全貌を、ターゲットにされた会社すべてに暴露し、御木本を破滅に追い込もうとする。

 だが、御木本は黒崎の目の前で警察に逮捕される。何者かが警察に御木本のM&A詐欺の情報を流していたのだ。そして被害を受けた会社からの被害届がなぜか取り下げられ、御木本はあっさりと解放される。すべては桂木の計画だった。桂木は黒崎を泳がせることで、自分の忠告を無視した御木本に“罰”を与えたかったのだ。

 さらにスリリングな駆け引きを見せたのはこの後だ。黒崎は、桂木が御木本を逃したのだと気づき、桂木も認める。だが黒崎は、桂木に内緒で御木本を完全に喰うことはできないと始めから理解しており、これも黒崎の筋書きどおりだと話す。黒崎の真の狙いは、御木本に桂木を裏切らせることにあった。M&A詐欺による収入を絶たれ、「物騒な連中」から巨額の借金を負っている御木本が、いずれ桂木の金に手を付けるだろうと黒崎は踏んでいた。だが、桂木もただ黒崎の思惑に乗せられたわけではなかった。黒崎を泳がせ、さらに御木本を釈放させたのは、すべて御木本を試したかったからだという桂木。そして御木本は桂木を裏切ってしまい、黒崎の予想どおり“桂木の金”に手を付けてしまった。桂木は黒崎に「御木本を潰せ」と命じる。互いの狙いを理解した上で相手を利用し合う構図にはハラハラさせられた。

 第5話は御木本の逃亡先となる上海が舞台となる。桂木の了承を得たことで、ついに黒崎は御木本を完全に喰うことになるのだろうか。2006年放送の山下智久版『クロサギ』では、最後まで御木本を追い詰めることすらできないまま終わったが、今回の令和版は第4話で早くも御木本に一矢報いており、ますますどういう結末を迎えるのか気になるところだ。

 第5話の予告動画では、御木本を前に銃を手にするような黒崎の姿があった。そして最後に鳴り響く銃声。東京中央署の警部補・神志名(井之脇海)も登場するらしく、銃声の主は黒崎とは限らないが、誰による発砲なのか、そして誰に向けられたものなのか……。単なる詐欺バトルでは終わりそうにない“クロサギVS御木本”のラウンド2は見逃せない。

■番組情報
金曜ドラマ『クロサギ
TBS系毎週金曜22時~
出演:平野紫耀、黒島結菜、井之脇海、中村ゆり、宇野祥平、時任勇気、山本耕史、坂東彌十郎、船越英一郎、三浦友和 ほか
原作:黒丸・夏原武(原案)『クロサギ』シリーズ(小学館刊)
脚本:篠﨑絵里子
音楽:木村秀彬
主題歌:King & Prince「ツキヨミ」
プロデューサー:武田梓、那須田淳
演出:田中健太、石井康晴、平野俊一
製作著作:TBS
公式サイト:tbs.co.jp/kurosagi_tbs

東海林かな(ドラマライター)

福岡生まれ、福岡育ちのライター。純文学小説から少年マンガまで、とにかく二次元の物語が好き。趣味は、休日にドラマを一気見して原作と実写化を比べること。感情移入がひどく、ドラマ鑑賞中は登場人物以上に怒ったり泣いたりする。

しょうじかな

最終更新:2022/11/18 12:00
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