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アレのどこが面白いの?~企画倉庫管理人のエンタメ自由研究~

『ゴチになります!』ゴールデン帯はなぜクイズ番組ばかりなのかが分かる企画力

『ゴチになります!』ゴールデン帯はなぜクイズ番組ばかりなのかが分かる企画力の画像1
日本テレビ『ぐるナイ』公式サイトより

 放送作家の深田憲作です。

企画倉庫」というサイトを運営している私が「あの企画はどこが面白いのか?」を分析し、「面白さの正体」を突き止めるための勉強の場としてこの連載をやらせてもらっています。

今回のテーマは「『グルメチキンレース・ゴチになります!』について」です。

『ゴチになります!』は日本テレビ系でレギュラー放送されている番組『ぐるナイ』の看板コーナー。レストランで出演者たちが各々料理を注文し、その合計金額を番組が設定した金額に近づけるという企画です。毎週のように放送されている人気企画で「ぐるナイ=ゴチ」というイメージが定着しています。調べてみたところ、『ゴチ』が初めて放送されたのは1998年10月(ちなみに『ぐるナイ』は1994年にレギュラー放送を開始)。つまり、約24年もゴールデンタイムで高視聴率を獲り続けているわけです。

 一定期間、爆発的な人気を博して世にブームを起こした企画は数多ありますが、20年以上もゴールデンタイムで人気を保ち続けてきた企画はほぼ皆無。これは偉業と言っていいです。まさに化け物企画です。

 テレビマンの間で「テレビでスゴイ企画といえば?」という話になったら、必ず『ゴチ』の話は出てきます。企画の構造はシンプルですし、長年に亘って放送されているという慣れもあり、テレビ業界以外の方にとっては『ゴチ』がスゴイ企画と言われてもピンと来ないかもしれません。

 では、『ゴチになります!』のどこが凄いのか?

「アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせ」と言われますが、『ゴチ』の企画の構造を分解すると「グルメ×値段当てクイズ」という掛け合わせになっています。「料理を食べて値段を予想する」。これは老若男女問わず、多くの視聴者が何をやっているかを容易に理解でき、自分もテレビを見ながら予想して楽しむことが出来ます。

 1000万人の客を相手にするゴールデンタイムの番組では「その内容を楽しんで見てくれる視聴者の分母の大きさ」が重要になってきます。どんなに面白い企画でも、それを楽しめる人の数が少なければテレビ番組で視聴率を獲ることは出来ません。

 たとえば、YouTubeで人気の『人狼ゲーム』は、子どもや年配者にとってはルールを理解するのが難しく、そのまんまゴールデンタイムで放送したら高視聴率は獲れないはずです。テレビのように不特定多数の老若男女がふらっとチャンネルを合わせて視聴するスタイルでは、チャンネルをつけてわずかな時間で、企画の概要やルールがすぐに理解できるものでないといけません。だからこそ、テレビ番組の企画はシンプルでなければいけません。

 もちろん、ただシンプルなだけでは他の番組との差別化は出来ませんから、シンプル、かつ、面白い、かつ、他では見ることが出来ない、企画がテレビのゴールデンタイムでは求められるわけです。『ゴチ』はその条件を満たしていると思います。

 そして、「グルメ×値段当てクイズ」「老若男女問わず楽しめる」と先述しましたが、家族が一緒に楽しく見ることが出来るというのも、ゴールデンタイムで視聴率を獲るうえではポイントになってきます(必須条件とまでは言えませんが)。特番として人気の『芸能人格付けチェック』(テレビ朝日系)も、日本全国のリビングで家族がワイワイしながら予想を楽しんでいるはず。当然、「グルメの値段当てクイズ」である『ゴチ』は、家族で楽しんで見られる番組です。

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