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アクセルホッパー永井佑一郎の勇気ある告白で考える 芸人にとっての「うつ病」

「うつ症状」診断「障がい者支援」…「良かった。病気だったんだ」

 僕自身がうつ病かもしれないと思ったきっかけは、あるときほとんど眠れなくなったからだ。体は疲れていて眠気を感じ布団に入る。なかなか寝付けず、眠るのをやめてそのまま起きるときもあれば、体が気絶するように眠ってしまうときもある。ただし眠ったときも10分から15分くらい経つと自然に目が覚めてしまう。

 明らかにいつもの自分とは違うと感じていた。

 その不眠症が発症したくらいの時期に、今まで挑戦したことのないジャンルの脚本依頼が舞い込んだ。自分としてはとてもやり甲斐を感じ、ぜひやらせてくださいと二つ返事でオファーを受けた。

 ある程度この日までに書いてほしいという締切日があったのだが、なかなか脚本を書き始めることが出来なかった。そして刻一刻と締め切りの日が近づいているというのに、一向にパソコンを開くことが出来ない。やっとの思いでパソコンを開いたとしても集中力が持たず、すぐに書くのをやめてしまう。やりたい仕事で、自分のキャリアとしてもプラスになることは間違いない仕事なのに、どうしても脚本を書くことが出来なかったのだ。

 結果として脚本を完成させることが出来ず、とてつもない迷惑をかけてしまった。今でも後悔している。

 その頃は明らかに自分が自分でない気がしていた。もちろん今までもやる気が出ない時や不眠になってしまうときはあったが、どう考えても今までのものとは違い、自身をコントロール出来ていないのは明確だった。

 あまりにもそんな日が続いたので、さすがにおかしいと思い、思い切って病院の診察を受けることにした。診断結果は中度の「うつ症状」。これが続くとうつ病になるという状態だった。僕は薬をもらい、役所にいき「障がい者支援」の手続きをした。

 そのときの僕は何を思っていたか。それは「良かった。病気だったんだ」と。

 自分のやる気が出ない事、仕事で迷惑をかけてしまった事、人としてダラしない生活を送っている事、全てにおいて自己嫌悪を抱いて日々過ごしていたのだ。しかし病気という診断を受けて「病気のせい」という言い訳が出来るようになったことにより、それまで圧し掛かっていた自己嫌悪の塊がとても軽くなったのだ。

 もちろん今でもこれは病気のせいなのか、ただ単にやる気がでないだけなのかはわからない時がある。しかし確実に診断を受けたことにより前に進むことができた。

 今現在、やる気が起きないとか体がだるいとか寝付けないとか寝てもすぐに起きてしまい、日中やけに眠くなるとかそういう症状をもっている人がいたらすぐに診察を受けることをオススメする。

 もちろん自分がうつ病であるということは誇れることではないし、中には恥ずかしいとさえ思う人がいるかもしれない。でも適切な診断を受けて、今の自分がどんな状態にいるのかを分からなければ、取り返しのつかないことになる場合があるのだ。

 そして病気である以上、自分一人で回復するということはほぼ、出来ないと思っていい。誰かの助けが必要だし、誰かに支えてもらうべきなのだ。もちろん知り合い全員に公表する必要はない。しかし身近な人や大切な人には伝えておいて間違いない。

 そのせいで離れていく人がいるならば、最初から一緒にいるべき人では無いのだ。

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