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2022年のホラー映画を丸ごと振り返る!清水崇監督インタビュー<前編>

『ミッドサマー』のA24作品は質が高いは常識―清水崇推薦のホラー

文=ヒナタカ

『ミッドサマー』のA24作品は質が高いは常識―清水崇推薦のホラーの画像1
写真|宇佐美 亮

 NetflixなどVODが盛り上がる中で近年、ホラー映画が多く話題にあがっている。2022年は映画館でもR-18指定の作品『女神の継承』や『哭悲(こくひ)/THE SADNESS』がヒットを飛ばすなど、ひたひたとブームの足音が聞こえてきている。本稿では昨年『牛首村』が公開され、2023年には最新作『忌怪島/きかいじま』の公開が控える清水崇監督に、思い出深い作品や、注目の若手監督、日本ホラー映画の現状、今後への期待などをたっぷりと聞いたロングインタビューをお届けしよう。ぜひ、今観るべきホラー映画の参考にもしてみてほしい。

『X エックス』『MEN』など「A24」のホラーが続々公開

ーー2022年もホラー映画が多数公開されましたが、印象に残った作品を教えてください。例えば、現在も公開中の『MEN 同じ顔の男たち』には公式にコメントもされていましたね。

清水崇監督(以下、清水) 『MEN』は数回観るほど気に入っています。映画製作・配給会社の「A24」は本当にすごいですよね。世界的にブランド化されて、映画業界では「A24の作品なら質が高い」という共通認識が確立しつつあります。ただ、1年に1~2回しか映画館で映画を観ない日本のお客さんにはまだ、そのブランドは浸透していないしエンターテインメントが大好きな日本観客層には、一般受けし難い面もあるかもしれません。

ーー2022年公開作では『X エックス』や『LAMB/ラム』、ホラーではないですが『グリーンナイト』もA24の作品でしたね。

清水 『X エックス』なんて、極端に言えば老人が若者たちを殺していくだけですからね(笑)。内容は昔からある低予算のスラッシャーホラーを踏襲するものですが、画作りが古臭くなくてオシャレでした。バイオレンスやスプラッター的な描写が苦手な人もいると思うんですけど、その領域を美学が超えています。A24は監督も題材も国もジャンルもバラバラなのに、何より画作りがすごいです。おそらく美術的な観点とセンスを見出すプロデューサーがいるのでしょう。世界的に評価される理由は、絶対にあると思います。

ーー日本では2020年に公開された『ミッドサマー』が、過激な内容ながら若者を中心にバズった、一般層にも浸透した印象もあります。

清水 『ミッドサマー』が日本で当たること自体が意外でした。おそらく、ホラーとか怖い映画だって知らずに「話題だしオシャレらしいよ」っていう雰囲気が一般層に伝わったんだと思います。というのも、国内宣伝のオルタナティブポスターもよくできていた、画家のヒグチユウコさんが描いていたんですよ。

 ポスターのオシャレさが話題になり、観に行ったら、とんでもなく気持ち悪い、わけのわからない映画を観させられたという人も多かったんじゃないでしょうか。そういえば、『MEN』のオルタナティブポスターも、同じくヒグチさんが手がけていましたね。

R18+指定のホラーも話題に

『ミッドサマー』のA24作品は質が高いは常識―清水崇推薦のホラーの画像2
写真|宇佐美 亮

ーー外国のホラー映画では、R18+指定の作品が話題になりました。例えば、台湾の『哭悲(こくひ)/THE SADNESS』は小規模公開ですが、満席が相次いだりもしました。

清水 僕は正直、『哭悲』には感心しなかったです。登場人物の誰かや関係性に共感や同調をする前から事件が起こって、次々に残酷な事が起きます。ゴアな描写が好きな人にはいいと思いますが、僕は痛いのが苦手ですし、それは怖さとは違います。その路線を徹底していたことはすごいのですが、でも、ドラマチックなポスターに騙されちゃいけないですよ。実は、ものすごく観る人を選ぶ作品だと思います。

ーー同じくR18+指定の、タイ・韓国合作の『女神の継承』はいかがでしたか。

清水 『女神の継承』はすごかった、気持ち悪かったですね。アジアの辺境を舞台にした映画で「どこまで本当なんだろうか?」と思わせることが、まだまだ通用するんだなと思いました。Netflixの『呪詛』もそうですし、俳優の演技はもちろん、編集も演出も実に上手いですね。

ーーR18+指定の映画が注目されることをどう思いますか。

清水 高いレーティングは観るお客さんの層を狭めてしまうのですが、注目されること自体はいい傾向だと思います。子どもを持つ親の身としては当然、レーティングはあるべきだと思いますけど。でも、あったとしても中学生くらいになったら、飛び越えて観ちゃったりもしますよね。それは人間のサガですから。

ーーもしも監督がR18の映画を撮るとしたら、どんな作品を撮りたいですか。

清水 僕は痛いとか、エロいとか、子どもが虐待されてしまうとか、エグすぎるのは苦手なんですよ。自分の映画はそうはしすぎないとは思いますね。ただ、そういうのを毛嫌いしているわけでもなく、ゴアな映画を観ること自体は好きで、この間は新文芸坐で「ゴアフェス(インディペンデントのスプラッター映画を徹夜で上映するイベント)」を観に行ってましたよ。年末の『死霊のはらわた』『悪魔のいけにえ』名作二本立ても観ましたし。

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