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「あの」とにかく明るい安村がイギリスで大ブレイク…に見る新しさ

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とにかく明るい安村Twitter(@yasudebu)より

 テレビウォッチャーの飲用てれびさんが、先週(4月30日~5月6日)に見たテレビの気になる発言をピックアップします。

バカリズム「チャーハンの歴史、変わったんじゃないですかね」

 “寄り”で見ると個人の主体的な営為に見えても、“引き”で見ると何かに動かされているように見えることがある。

 たとえば、大勢が行き交う横断歩道のなかを歩く人。自分がそのなかを歩いているときは、通行人を避けながら自由に歩いているように思えても、上空から全体を眺めると周囲の人のと同じ流れに沿って歩いていたりする。あるいはセクシー系タレントの一発芸。清水あいりの「関西弁あいうえお」といった芸を私は面白く見ているけれど、引きで見ると、清水の登場前から延々と開催されてきたセクシー系タレントの椅子取りゲームの続きを見ているような気もする。

 さて、4日の『私のバカせまい史』(フジテレビ系)が面白かった。同番組は、誰も調べたことのない、特に役に立つこともない狭い歴史を研究するバラエティである。扱うテーマは多岐にわたるが、テレビや芸能界にまつわる話題が探究されることが多い。今回は、前半で「パラパラチャーハン裏技史」が取り上げられていた。

 パラパラのチャーハンをいかにつくるか。テレビや雑誌などで、そのことは繰り返し問われてきた。『私のバカせまい史』の調べによると、これまで紹介されてきたパラパラチャーハンの裏技は52種類だそうだ。ご飯を先に混ぜておく、といった有名なものから、ご飯にカリフラワーを混ぜる、ゼラチンを混ぜる、冷やご飯を水洗いする、ご飯を2日間寝かせる、といった裏技まで。はては、牛乳パックにご飯・卵・具材を入れて振って混ぜてから炒めるなど、”珍技”と呼べるようなものまであったようだ。

 と、ここでプレゼンターの水田信二(和牛)が問いかける。

「みなさん、ここで改めて考えてみてください。そもそもチャーハンって、本当にパラパラがいいんだっけ? チャーハン=パラパラがいいというメディアの幻想に、みなさん踊らされてませんか?」

 我々は本当にパラパラのチャーハンを好んでいたのか。その欲望は、チャーハンはパラパラがいいというメディアが作り出した幻想ではないか。我々はパラパラ幻想に踊らされてきたのではないか。

 そう問い返す番組は、パラパラ幻想のルーツとしてある漫画と料理人の存在にたどり着く。さらに、番組はパラパラチャーハンの裏技史を突き動かしてきた下部構造を指摘する。日本の粘り気のあるお米はそもそもパラパラのチャーハンに不向きだ。にもかかわらず、というか不向きだったからこそ、幻想に取り憑かれてきた我々は不可能を可能にするため永遠にアイデアを出し続けてきたのではないか――。

 なるほど、“寄り”で見ると個人の主体的な営為に見えても、“引き”で見るとなにかに動かされているように見えることがある。パラパラチャーハンも、“寄り”で見るとオリジナルな新しいアイデアが次々と生み出されているように見える一方で、“引き”で見ると、粘り気のある米をパラパラにするという矛盾、さらにいえば、常時新しい情報を求めるメディアの特性に一貫して突き動かされてきたと言えるかもしれない。

 また、そういった“寄り”と“引き”を行き来しながら現象の新たな側面を提示し、見方を更新するのがある種の”批評”なのだとしたら、『私のバカせまい史』はテレビを批評するテレビなのだろう。その意味で、今回の「パラパラチャーハン裏技史」に対するバカリズムの総括コメントは的確だ。

「チャーハンの歴史、変わったんじゃないですかね」

 テレビを批評し、テレビの見方を更新する『私のバカせまい史』。いつか、セクシー系タレントの一発芸史についての報告も聞いてみたい。

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