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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.738

進化系ヘイトクライムを体感する92分間! 社会派スリラー『ソフト/クワイエット』

不健全な友情や共依存でつながったシスターフッド

進化系ヘイトクライムを体感する92分間! 社会派スリラー『ソフト/クワイエット』の画像5
アジアとブラジルにルーツを持つベス・デ・アラウージョ監督

 憂さ晴らしのつもりで、アジア系姉妹の自宅にエミリーたちは侵入する。すぐに引き上げるはずだったが、刑務所暮らしを経験しているレスリーらの行動はどんどんエスカレートし、エミリーの手には負えなくなってしまう。当初はエミリーがリーダー格だったが、次第にレスリーが主導権を握るようになっていく。

アラウージョ「エミリーは自分にはカリスマ性があるつもりでいましたが、タフな生活を送ってきたレスリーのほうが一枚上手だったわけです。エミリーとレスリーはやがて“ヘイト”によって一心同体化してしまいます。2人の関係性は史実を参考にしたわけではありません。私がこれまでに身近に見てきた、不健全な友情や共依存に陥った人たちをモデルにして描いています」

 おぞましいシスターフッドムービーとして、アラウージョ監督は本作を撮り上げている。92分間にわたって臨場感たっぷりな展開が続くが、アドリブは一切なかったのだろうか。

アラウージョ「リハーサルに4日間、撮影には4日間を費やしました。基本的にはシナリオに従って演じてもらっていますが、台詞は各キャストがしゃべりやすいように変えてもらいました。また、脚本に台詞のない余白部分は、キャストのアドリブで埋めてもらっています。例えば、エミリーが夫のクレイグを責め立てるシーンでは、エミリーとクレイグの台詞は脚本で用意したものですが、それ以外の台詞は他のキャストたちが各キャラクターになりきってしゃべっています。全体的に見れば、7割は脚本どおり、3割はアドリブといった感じです」

 本作で全米の注目を集めたアラウージョ監督。次回作として予算規模の大きな新作の準備を、すでに進めているそうだ。今後の活動予定も語ってもらった。

アラウージョ「次回作はダークコメディを予定しています。もう一本、私の少女時代の体験を基にした『Josephine』もありますが、『ソフト/クワイエット』と同じ低予算映画で、テーマ的に似ているところがあります。なので『Josephine』は私の3本目の長編映画として公開できればと考えています」

 アラウージョ監督が語ったジェンマ・チャン主演作『Josephine』は、8歳のときに暴行事件を目撃し、被害者と共に警察に拘束された監督自身の体験を題材にした実録ドラマになるらしい。現代社会の病巣をえぐり出すアラウージョ監督から、当分は目を離すことができなそうだ。

『ソフト/クワイエット』
監督・脚本/ベス・デ・アラウージョ
出演/ステファニー・エステス、オリヴィア・ルッカルディ、エレノア・ピエンタ、ダナ・ミリキャン、メリッサ・パウロ、シシー・リー
配給/アルバトロス・フィルム 5月19日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
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最終更新:2023/05/18 19:00
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