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『くりぃむナンタラ』くりぃむしちゅーと中村倫也の考察合戦で見た芸人の思考

『くりぃむナンタラ』くりぃむしちゅーと中村倫也の考察合戦で見た芸人の思考の画像1
テレビ朝日『くりぃむナンタラ』公式ツイッターより

 7月12日放送『くりぃむナンタラ』(テレビ朝日系)で行われたのは、「クイズ! 中村倫也が考えました」なる企画。芸人が披露するネタのなかに混じった“中村が考えたボケ”はどれか、解答者が当てるという趣旨のクイズ企画だ。

 中村倫也に芸人の寄せたボケを考えさせるなんて、一体なにをさせているのか!? 突拍子がなさすぎて、中村と『ナンタラ』の双方にメリットを見出しにくいコラボに思えてしまう。

 いや、しかし、それがメリットがあったのだ。この企画を通じ、双方が巡らせる思考に唸った次第。

中村倫也のボケが、もはや芸人の発想

 1問目に登場した芸人は、COWCOW。彼らが披露してくれたのは、彼らの十八番である「あたりまえ体操」だ。今回登場したネタは以下の5つで、この中に中村の考えたボケが1つだけ混じっている。

①「会社の金を横領すると~、クビ♪」
②「会社をずっとさぼると~、クビ♪」
③「もらった名刺を飛ばすと~、クビ♪」
④「上司をいきなり殴ると~、クビ♪」
⑤「ヨイヨイヨイヨイ、クビ♪」(おそらく、裸踊りをしていてクビに)

 今回は、えらくブラックになっていた「あたりまえ体操」。“クビ縛り”で、5つの選択肢が出揃ったのだ。

 ここから、解答者による考察のフェーズに入っていく。注目は、プロが巡らせる思考だ。つまり、くりぃむしちゅー2人の回答に注目したい。

・上田晋也の考察
「①②は『こういうパターンのネタを今日はやりますよ』という、自己紹介的な導入のボケにあたる。そして、③を中村が考えていた場合、『もらった名刺をその場で破くと、クビ』という文章にするはず。『遠くに飛ばす』は芸人の発想で、『破く』が素人の発想。しかも、③の後に来る④のボケが順番として発展しておらず、③から1段落ちた単純なボケに落ちてしまっている。だから、中村が考えたのは④のボケ」

 たしかに、順番の妙はあるだろう。そうすると、③が浮いてるような気もするのだが……。というか、なによりもこの企画を上田が満喫しまくってるではないか。

中村 「上田さん、1番楽しんでますね」
上田 「ええ。僕、これ大好きなんです(笑)」

・有田哲平の考察
「『あたりまえ体操』は、①から⑤へ進むにしたがってボケが尻上がりになっていかないといけない。そういう意味で、①から②で急にシンプルになってしまっている。だから、②が浮いているように見える……が、そこで②を抜いてみると、犯罪である①の横領→モラルを問う③の名刺、となってしまう。こちらも尻上がりにならない。ということは、②を抜くより①を抜いたほうが全体のボケがきれいに尻上がりとなり、しっくりくる。だから、中村が考えたのは①のボケ」

 これも、順番の妙を重視した考察だ。

「プロお二人の推理、エグいですね(笑)」(中村)

 さて、気になる正解だが、中村が考えたボケは③の「もらった名刺を飛ばすと~、クビ♪」であった。これはまた、トリッキーな! 筆者も「名刺を飛ばす」は芸人の発想だと思っていた。

「動きがあったほうがいいと思って。『クビ!』でこの動き(善しが左手を振り上げる)をするので、前段階(『飛ばす』の瞬間)で同じ動きをやったほうがしっくりくるかなと思いました」(中村)

 動きまで意識してボケを考えていた、中村の思考も素晴らしい。COWCOWの芸をしっかり研究したのだろうし、かねてより“バナナマン好き”を公言する中村の素養も伝わってきた。

 逆に言うと、中村が考えたボケよりCOWCOWが考えたボケのほうがシンプルに思える。まあ、「あたりまえ体操」はシンプルさが売りというか側面もあるのだが。

有田哲平によるプロの考察にしびれる

 2問目に登場した芸人は、クールポコ。。彼らが披露してくれたのは、餅つきしながら“男らしさ”の観点でカッコつけ男にダメ出しする、おなじみのネタだ。以下の中で、1つだけ中村が考えたボケが混じっている。

①「モテようとして新しい携帯が出るたびに買い替えて自慢してくる男がいたんですよ~」「やっちまったな!! 男は黙って手旗」
②「モテようとして部屋にミッキーのぬいぐるみを置いてる男がいたんですよ~」「やっちまったな!! 男は黙ってこけし」
③「カッコつけて駆け寄ってきた女の子を抱きしめてあげてる男がいたんですよ~」「やっちまったな!! 男は黙ってタックル」
④「カッコつけて経済新聞を読んでる男がいたんですよ~」「やっちまったな!! 男は黙って号外」
⑤「カッコつけてドリフト走行してる男がいたんですよ~」「やっちまったな!! 男は黙って二段階右折」

 まず、1つ苦言を呈したい。⑤の「二段階右折」は、クールポコ。にとって本ネタである。わかる人にはわかる、おなじみのネタだ。なのに、こんな趣旨の企画に入れ込んでしまう判断はいかがなものか? ⑤が中村が考えたボケのわけがない。芸人として、持ちネタの種類が少ないせいで5択から4択になってしまったのはいただけなかった。

 それはさておき、この設問では有田の考察のみにフォーカスする。

・有田哲平の考察
「単純に、①があまりウケていなかった。クールポコ。は、1発目のネタにいつも力を入れているし、“ドカン!”とウケを取るはず。なのに、『手旗』と言った瞬間にお客さんは戸惑っていた。芸人ではない人が考えたボケは、きっと弱い。だから、中村が考えたのは①のボケ」

 たしかに、そうだった。文章で「手旗」と書けば意味もわかるだろうが、舞台上でいきなり「てばた」と言われてもお客さんに伝わらなかったのだ。事実、スタジオ内は一瞬ポカーンとしていた。

 さて、気になる正解だが、中村が考えたボケは①の「携帯を買い替える→手旗」であった。有田、大正解! なぜ、中村はこのようなボケを考えるに至ったのだろう?

「短いフレーズで、濁点が入るもので探してたんです。そうして言葉を決めて、古風なもので上の句を作ろうと思って」(中村)

「短いフレーズで濁点が付くもの」から考える動線は、もはやプロの発想だ。「手旗」ありきだったのは、素直にすごいと思う。ただ、今回はワードチョイスが少し良くなかったか?

くりぃむしちゅー2人の思考がにじみ出る貴重な機会

 3問目に登場した芸人は、ですよ。だ。彼が披露したのは、やはりこれしかない。おなじみ、「あ~い とぅいまて~ん」のネタである。以下の中で、1つだけ中村が考えたボケが混じっている。

①「ヤドカリを見つけたから海に帰そうとしたら、チョココロネだった。あ~い とぅいまて~ん」
②「野球やってて振ってるバットがフニャフニャしてるから見たら、チョココロネだった。あ~い とぅいまて~ん」
③「おでこに冷えピタを貼って休んでたが熱が下がらないから見ると、チョココロネだった。あ~い とぅいまて~ん」
④「ホームセンターで小さいカラーコーンが売ってると思ったら、チョココロネだった。あ~い とぅいまて~ん」

 まさかの、オールチョココロネ縛り! “チョココロネ固定”だけに上の句はどうでもよくなっており、こうなるとほとんど予想しようがない。もう、わかるわけがない。ネタの発想も、形式が違うだけのコウメ太夫のように思えてきた。

 ……と、さじを投げかけたのだが、きめ細かく推理すると足がかりはある。まず、①の「ヤドカリかと思ったらチョココロネ」は、ですよ。にとっての定番ネタだ。だから、まず①は選択肢から除外されるだろう。

 というわけで、くりぃむ2人の考察を確認してみたい。

・上田晋也の考察
「①②③は、ですよ。が途中まで『ヤドカリがいる』『冷えピタがある』と信じている。しかし、④だけは『あ、カラーコーンが売ってるんだなあ』くらいで、ですよ。が信じ切っていない。その浅はかさから、中村が考えたのは④のボケ」

・有田哲平の考察
「まず、①はですよ。の有名なネタである。そして、②は『これもチョココロネだったんだ』と①に被せてネタ説明する必要があるので、ここもですよ。が考えたネタにしなければならない。自ずと、③と④の2択に。そうなると、④のカラーコーンは形状として三角形に戻ってしまっており、③から尻上がりになっていない。だから、中村が考えたのは④のボケ」

 さすが、プロの考察だ。特に、有田の“有田P”的な推理に唸った。

さて、気になる正解だが、中村が考えたボケはやはり④の「カラーコーンと思ったらチョココロネ」であった。くりぃむしちゅー、大正解!

 この設問に関しては、ですよ。本人からの解説があった。

「『ヤドカリかと思ったらチョココロネ』は、(ヤドカリとチョココロネが)似てるから可能性あるじゃないですか? で、『バットだと思ったらチョココロネ』も、まだ可能性ありますよね? でも、ホームセンターにチョココロネ売ってないんですよ!」(ですよ。)

 いや、今どきのホームセンターにはパンだって売ってるだろうに……。IKEAのホットドッグは、安くておいしいし。というか、当たり前のように「ヤドカリは可能性ありますよね?」と話を進めようとするですよ。がおかしい。解説がメチャクチャな、ですよ。。

 さらに、ですよ。は話を続けた。

「(このネタの設定は)パン屋です。(①のヤドカリは)『海に帰さないと』と思って、1回お店出ちゃってるんです。それで、店員さんに『あ~い とぅいまて~ん』って言ってるんですよ」(ですよ。)

 知らんがな。まさかのパン屋設定だった、ですよ。のチョココロネネタ。そんなストーリーがあって、だからですよ。は謝ってたのか。

 兎にも角にも、この企画はくりぃむの考察に耳を傾ける見方がおもしろい。正解しているか否かは、はっきり言って二の次だ。芸人のネタ作りにおける思考がにじみ出る貴重な機会だけに、興味深いのだ。

 また、それに相対した中村の脳内、いわば“ハガキ職人力”も良かった。特に、「名刺を飛ばすとクビ」は、かなり芸人の発想だったと思う。

 さて、次回26日放送分では、今回と同じ企画の川口春奈バージョンが行われる模様。さらに、芸人側には待望のコウメ太夫も登場する。期待したい。

 この類のメタ的な企画は、やはり『ナンタラ』がピカイチという気がする。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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最終更新:2023/07/20 09:00
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