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『トリリオンゲーム』、ジャニーズ俳優が「メディアの力でつぶす」言及という“皮肉”展開

『トリリオンゲーム』、ジャニーズ俳優が「メディアの力でつぶす」言及という“皮肉”展開の画像
TBS公式サイトより

 Snow Manの目黒蓮が連続ドラマ単独初主演を務めるTBS系金曜ドラマ『トリリオンゲーム』が苦戦気味だ。

 『アイシールド21』『Dr.STONE』(集英社)などを手がけた稲垣理一郎氏が原作を務める同名マンガ(小学館)の実写化となる本作。初回は世帯視聴率の平均が7.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区/以下同)を記録し、夏ドラマの初回視聴率としては5位発進と好スタートを切ったものの、第2話で5.6%にダウン。第3話では5.2%と自己ワーストを記録した。第4話では5.5%と微増したが、今のところ全話平均は5.925%で、初回6.6%だった同局の『18/40~ふたりなら夢も恋も~』(全話平均6.46%)に追い抜かれた格好だ。

「もともとこの金曜22時枠は、テレ朝の『報道ステーション』と日テレの『金曜ロードショー』がリアルタイムの視聴率を取りやすいうえに、2021年から始まったフジテレビのトークバラエティ『人志松本の酒のツマミになる話』が特にF2(女性35~49歳)層の視聴率が高く、完全に金曜ドラマの競合となっており、2ケタ発進などとても期待できなくなった」(テレビ誌記者)

 そのぶん、『最愛』や『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』 などのように配信でのヒットを目指したいところ。

「見逃し配信のTVerではお気に入り登録者数が89.8万人(11日0時時点)で、73.9万人の『18/40』よりはるかに好調。TVerで大成功を収めた『最愛』や『石子と羽男』と比べると見劣りする数字ではありますが、『トリリオンゲーム』の場合、Netflixでも同時配信されており、国内テレビ番組ランキングではデイリーで2位まで上昇。週間でもトップ10に入るなど視聴者を得ていますし、U-NEXTのドラマランキングでも日曜劇場『VIVANT』に次ぐ2位となっています」(同前)

 ドラマの評判も、回を追うごとに上がってきているという。

「“天性の人間たらし”であるハル役の目黒の演技が初回では『無理してハイテンションを演じているように見える』などと物議を醸しましたが、演出の影響も大きかったと思われ、今ではハル役がなじんでいる。ライバル役の桐姫を演じる今田美桜も序盤は衣装やヘアメイクが合っておらず、やや浮いた感じになっていましたが、第3話あたりから『かわいい』『綺麗』と好評です。また、初回は15分拡大だったこともあってテンポがいまひとつでしたが、第2話からはテンポよく話が進んでいる印象で、特に第4話ではハルのダークな一面が見え始めるなどストーリーが盛り上がってきています。もとよりストーリーの面白さは原作で保証済ですから、初回で脱落者を生んだのがもったいなかったですね。

 第4話は、かつて目黒と同じグループだった親友の原嘉孝がハルに協力する役で登場し、“はらめぐ”の共演にファンが胸を熱くしていましたし、ここからのストーリーはハルたちに出資している祁答院がカギとなるということで、次回予告映像ではハルと祁答院の“ワルすぎるタッグ”の絵が出ていましたが、祁答院を演じるのは吉川晃司。朝ドラ『舞いあがれ!』の大河内教官と柏木学生による共闘展開にドラマファンも反応しています」(同前)

 ここから上昇気配を見せたい転機の回となりそうな第4話だったが、現実の“ジャニーズ問題”を思わず想起させてしまうシーンもあったという。

「第4話からは第2章『ソーシャルゲーム&芸能事務所編』。自分たちが開発したAIオンラインショップを日本最大のIT企業であるドラゴンバンクにパクられたうえ、ドラゴンバンクが仕掛けた宣伝攻勢により完全に劣勢に立たされたことを受け、ハルは『メディアの力に勝てないなら、俺らがメディアの力を手に入れりゃいい。ドラゴンバンクがメディアの力でつぶしてくんなら、逆に俺らがメディア帝国をつくりゃいい』と宣言。この“メディアの力でつぶしてくる”という部分が、大手メディアが長らく創業者の性加害問題を報じてこなかったなどのジャニーズ事務所の“メディア支配”を想起させると一部でざわつきました。特に第4話が放送された8月4日は、国際連合人権理事会の専門家による記者会見が開かれ、ジャニーズ性加害問題について『日本のメディア企業は数十年にもわたり、この不祥事のもみ消しに加担したと伝えられている』と言及したばかりでしたから、ジャニーズの俳優が自分たちをつぶそうとする“メディアの力”に抗う展開はなんとも皮肉に映りましたね。また第4話終盤では、ハルが祁答院に『あんたと俺で、芸能界を乗っ取る』なんて発言も飛び出しました」(芸能ライター)

 もっとも、思わぬ現実との“リンク”は『トリリオンゲーム』だけではない。

「同じ金曜ドラマ枠で昨年10月期に放送された平野紫耀主演の『クロサギ』第2話では、アイドルの推し活にハマるあまり詐欺に遭う女性が登場。平野演じる主人公に、ファンの思いはアイドル側に『一生伝わらない』と断言させたり、一方でアイドルはファンの『幸せのために頑張ってる』など“アイドル論”を語らせる展開があり、その1週間後に平野のキンプリ脱退・ジャニーズ退所予定が発表されたため、意味深だと反響を呼びました。また第3話では音楽出版社の代表を装って詐欺師を成敗する話が描かれる中で、平野演じる主人公が『配信やサブスクで、海外も含めて展開しようと思ってるんです』と説明する場面があり、これもまた、音楽配信にきわめて消極的なジャニーズ事務所の状況に対する皮肉のように響いてしまった。原作者も、こうした流れに『物凄いシンクロ率』と驚いていたほどです」(同前)

 『トリリオンゲーム』では、ハルが自身の野望を語る初回のシーンで、原作では「局アナ抱いて」と語るところをドラマでは「局アナと付き合って」に変更されるなど、ハルを演じる目黒がアイドルであることに配慮していることがうかがえる。「芸能事務所編」では一体どんなセリフが飛び出すだろうか。

宇原翼(ライター)

雑誌、ウェブメディアの編集を経て、現在はエンタメ系ライター。

うはらつばさ

最終更新:2023/08/11 12:00
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