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男子マラソンで異次元の世界記録誕生――2時間切りは目前も駅伝大国・日本との絶望的な差

男子マラソンで異次元の世界記録誕生――2時間切りは目前も駅伝大国・日本との絶望的な差の画像1
写真/Getty Imagesより

 日本の陸上界はこれから駅伝とマラソンのシーズンを迎える。来年の箱根駅伝は全国の大学が参加可能となり、例年以上に注目が集まっているが、世界に目を向ければ、男子マラソンでとんでもない世界記録が誕生した。

 8日に行われたシカゴマラソンで、ケルビン・キプタム(ケニア)が2時間0分35秒の世界新記録で優勝。いよいよ“2時間切り”が視野に入ってきたのだ。

 優勝したキプタムは、ほぼ無名で出場したデビュー戦で世界歴代3位(当時)の2時間1分53秒で優勝すると、今年4月のロンドンマラソンで世界歴代2位の記録を叩き出し、再び優勝。そして3戦目では記録更新に成功し、2時間0分台突入を果たした。

 キプタムの世界記録のラップタイムは驚異的で、後半のハーフのタイムは、ハーフマラソンの日本記録より上。30kmから40kmのタイムは27分52秒で、昨年の日本選手権10000mの優勝タイムとほとんど変わりません。キプタムはまだ23歳で、3戦全勝。走るごとに記録を伸ばしており、次のレースでは夢の2時間切りも視野に入っているという。

 さて、東京駅を起点とすると、フルマラソン42.195kmのゴールの距離にある街は八王子、大船、佐倉、桶川といったあたり。そこまで2時間以内に走ろうというのだから、人間が持つ能力の可能性には驚かされるが、笑っていられないのは日本の長距離選手たちだ。

「東京五輪で大迫傑が6位に入ったので、日本勢はマラソンで世界と戦える印象があるかもしれませんが、それは五輪には『1カ国3人まで』というルールがあるから。ケニアやエチオピアには、日本記録より速く走る選手が30人ぐらいいるので、出場制限ルールを取っ払ったら、まるで勝負になりません。

 2000年前後までは日本勢も世界と伍していましたが、15年近く日本記録が更新されない停滞期があり、世界から完全に離されてしまった。シューズの進化でレースが超高速化しているのに、近年の国内主要レースの日本人上位の記録は、まだ昭和の時代に瀬古利彦や中山竹通が出したタイムとさして変わらないのですから、世界に置いていかれると言わざるを得ない。

 ちなみに女子はもっと深刻で、日本最高記録は2005年に野口みずきが出したタイムがいまだに破られておらず、世界記録とは7分以上も離されています。この差を詰めるのは並大抵の努力では及びませんし、関係者の中には、日本の男子選手が女子の世界トップに負ける日が来ると予想する者さえいます」(スポーツ紙運動担当記者)

 こうなると待ち受けているのは、外国出身選手が日本の陸上界を席巻する未来だ。

「箱根駅伝が30%前後の視聴率を取ることからわかるように、日本人は駅伝やマラソンが大好き。日本は練習環境だけなら世界でもトップクラスで、給与などの条件も良いので、実業団には世界のトップクラスの選手がゴロゴロいます。すでに箱根駅伝や高校駅伝では留学生が活躍していますが、日本に帰化して日本代表として五輪を目指す選手が出てくるのは時間の問題でしょう。

 箱根で活躍した留学生選手の中には、そのまま日本に残って指導者になり、日本国籍を取得した人が何人もいます。そういった“元・留学生”たちが受け皿になって高いレベルで競い合えば、日本のレベルも上がるはず。批判的な声も上がるでしょうが、このまま世界から置いてけぼりになるなら、そのぐらいの荒療治が必要ではないでしょうか」(スポーツライター)

 ラグビーW杯の日本代表チームを見れば、生まれた場所など些細なこと。箱根駅伝を走る選手がカタカナだらけになる日も遠くないかもしれない。

石井洋男(スポーツライター)

1974年生まれ、東京都出身。10年近いサラリーマン生活を経て、ライターに転身。野球、サッカー、ラグビー、相撲、陸上、水泳、ボクシング、自転車ロードレース、競馬・競輪・ボートレースなど、幅広くスポーツを愛する。趣味は登山、将棋、麻雀。

いしいひろお

最終更新:2023/10/18 08:00
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