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『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』第2話 横浜無法地帯、見てて悲しくなってくる

第2話 12月24日7時29分~8時36分 | TVer

 16日放送のフジテレビ月9『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』。クリスマスイブのたった1日を1クールかけて描くこのドラマ。第2話は7時29分~8時36分でした。

 いやぁー、厳しいなぁ。という感じですねえ。プロットはわかるんですが、このシナリオで見せられるのは厳しい。段取りが、ご都合主義すぎる。しかも演出が鈴木御大だけあって、画面がいいのがさらに厳しい。演出もよくなければ「がんばれー、がんばって完走してー」という気分にもなりそうなものですが、ここまでクオリティが乖離してると、鈴木雅之がずっと視聴者を騙そうとしているような、そんな気分になってくる。

 うーん、気を取り直して振り返りましょう。

■この包囲網の中を!?

 記憶を失い、逃亡犯となったセイジ(二宮和也)は、謎の女にそそのかされて警視庁の管理官・蜜谷(江口洋介)に会いに行くことに。なんでも、蜜谷がセイジの正体を知っているのだそうです。

 しかし、蜜谷は警察の人なので、警察にいます。セイジは逃亡犯ですし、前回も未明から朝方にかけて警察に見つかっては逃亡しまくってますので、外を歩くのはもちろん危険。この日も、謎の女と2人で歩いているところに、警官2人が通りかかります。

 さあ、逃亡劇の始まりだ! と思ったら、謎の女がガバッとセイジに抱き着き、そのすぐそばを警官が素通り。女いわく「逃亡犯が楽しくデートしてると思わないでしょ?」だって。平素ならそうかもしれませんが、いまの横浜は単なるデートスポットではなく、昨夜から殺人犯が街をうろついているという警戒区域ですよ。キー局でもローカルでもそう盛んに報道されていると、ドラマも明言してます。そんな街で朝の7時台から楽しくデートしてるほうが、むしろ不審者でしょう。職質せえよ。

 その後、セイジと謎の女は徒歩で蜜谷のいる警察署に。記憶を戻したい、自分が何者かを知りたい、そのセイジの願いは理解できるんですが、何度も言うけどあなた逃亡犯だし、背格好は警察も情報共有してるはずだし、朝方の逃亡時と同じライトグレーのコート着てるし、捕まるよ。と思ったら、謎の女が「逃亡犯が自ら警察に来るとは思わないでしょ?」って。思うでしょ。警察に顔も見られてるし、逃亡犯が自ら出頭してくる可能性を警察が考慮してないわけないでしょ。

 でも、ドラマの中ではなぜか考慮してないんだよなぁ。職質もしないし、署の立哨なんて存在すらしてない。もしかしてこの謎の女は世界を司る上位存在で、この女が言う通りに現実があるべき姿を変えていっているという、そういう岩波から出てそうな古いハードSFの世界なのかなと思っちゃう。

 集まったマスコミに紛れて署内に侵入したセイジは、エレベーターで上階へ。そのエレベーターには、ついさっきセイジを追い詰めながら取り逃がした警部補・狩宮(松本若菜)とその上司も同乗しています。上司は「これだけの包囲網の中を逃げ切れるわけない」とか言ってる。すぐ後ろにセイジがいることも知らずに!

 これ、ここまでセイジがドラマチックな知略縦横を尽くして署内に侵入していれば「ククク、実はここにいるのに」みたいな爽快感があるシーンなんですが、普通に歩いてきて普通に乗ってるので、「もしや誰もセイジが見えていないのでは?」「もしやセイジって……?」という、今度は『シックス・センス』(1999)的な90年代のハリウッドオシャレ設定SFなのかなと勘違いしちゃう。

 逃亡劇で積み重ねるべきは、「これなら逃げ切れるかも!」「ダメだ!」「じゃあこれなら逃げられる!」「やっぱダメだった!」という、逃亡側の希望が追跡側の現実によって叩き潰されていくことで絶望を煽り、最後にそれを「じゃあこれなら! よっしゃ! 逃げ切れた!」という爽快でひっくり返す展開なはずですが、『ONE DAY』は真逆なんです。「そんなことしたら捕まっちゃうよ」「あれ? 大丈夫だった。そうか大丈夫なのか」を繰り返している。緩和、緩和、緩和。緊張感がまるでない。厳しい。仕事じゃなかったら見てらんない。

 結局、セイジは目論見通り、蜜谷と捜査本部でご対面。しかも都合のいいことに2人きり。なんで捜査本部内で2人きりになれたかは、もうそういうドラマだからとしか言いようがない。

 かろうじて、江口洋介の顔面と、彼がセイジを積極的に逃がそうとしているという謎だけが、こちらの興味をつなぎとめてくれている。ありがとう、あんちゃん。そこに愛はある。

■シェフのパートは前回と同じでした

 洋食屋はもう、デミグラスソースの鍋を倒して台無しにしたシェフとスタッフが「今日のディナーはやらない」「今日のディナーはやる」と、まるでメトロノームのように一定のリズムで繰り返すだけでした。

 あと、キャスターのパートのほうでセイジの正体に迫っていく感じは、いいプロットだなーと思います。プロットは悪くないんだよなぁ。

 脚本のところでいうと、誰かが何かを明らかにしようとする段で急にカットが切り替わったり、ほかの誰かがセリフをかぶせたりして謎を引っ張るシーンがけっこうあるんですが、これももう、なんというか、そういうところじゃないでしょと思っちゃうんですよ。そんな小手先のオシャレじゃなくて、ハートを磨けよハートを。そういう感想でした。

 はい、次回もがんばります。

(文=どらまっ子AKIちゃん)

どらまっ子AKIちゃん

どらまっ子です。

最終更新:2024/01/31 12:14
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