本多圭の『芸能界・古今・裏・レポート』

二宮主演『アナログ』、原作者のビートたけしが自らメガホンを握らなかった理由

二宮主演映画『アナログ』、原作者のたけしが自らメガホンを握らなかった理由の画像1
映画『アナログ』公式サイトより

 現在、全国公開されている二宮和也主演映画『アナログ』。

 ビートたけしによる初の恋愛小説を原作とし、ヒロイン・美春みゆき役を波留が演じているが、実は映画化が決まった当初は、このヒロインを故・竹内結子さん(享年40)が演じる予定だったことが関係者への取材でわかった。

「『アナログ』の映画化が決まった段階で、たけしも、監督のタカハタ秀太氏も“ヒロインは竹内結子でいこう”となったそうですが、3年前に竹内さんが帰らぬ人になってしまったため、波留に代わったそうです」(たけしの元事務所関係者)

 『アナログ』は、デザイナーの悟(二宮和也)が、携帯電話を持たない謎めいた女性・みゆき(波瑠)と、連絡先を交換せず、週に一度“直接会う”というアナログ的価値観を貫いて関係を紡いでいくストーリー。原作は、たけしにとって初の書下ろし恋愛小説となる。

「たけしは、これまでにも数々の本を出してきましたが、お笑いコンビ『ピース』の又吉直樹が芥川賞を受賞すると、『俺も直木賞をもらいたい』と言い出したんです。それを聞いた新潮社の担当編集者から、『直木賞を獲りたいなら、自分で書きなさい』と諭され、初めて自分で執筆したのが『アナログ』だそうです。たけしのそれまでの本は、ゴーストライターが書いていましたから」(出版関係者)

 書き上げられた『アナログ』は17年、新潮社から刊行されたが、その直後の18年3月、たけしは、「オフィス北野」(現・TAP)から独立。その独立をめぐる事務所の内紛を「週刊新潮」にすっぱ抜かれたうえ、当時、愛人関係にあった女性(その後、再婚)に“たけしが洗脳されている”と「週刊新潮」に報じられたため、激怒したたけしが新潮社と袂を分かち、現在に至っているという。

 映画に話を戻そう。

 今回、監督を務めるのは、『ホテルビーナス』でモスクワ国際映画祭コンペティション・パースペクティブ最優秀作品賞を受賞したタカハタ秀太氏。二宮とは2度目のタッグとなるが、なぜ“世界のキタノ“と呼ばれるたけし自身がメガホンを取らなかったのか――。

「それは、小説の主人公が自分自身だということが明らかなので、気恥ずかしかったからでしょう。それに、たけしは、タカハタ監督が『天才!たけしの元気が出るテレビ』のスタッフ時代から可愛がっていました」(日テレ関係者)

 タカハタ氏は、15年にTBS系で放送された二宮和也主演のスペシヤルドラマ『赤めだか』や、19年にテレビ東京で2夜に渡り放送された開局55周年記念ドラマ『二つの祖国』でも監督を務めている。

「『赤めだか』は落語家・立川談春の自伝的エッセイを映像化した作品で、師匠の故・立川談志さんの人となりを弟子の立場から描いたものですが、たけしはこの作品で談志さん役で特別出演しています。同様に、『二つの祖国』も特別出演しています」(前出の元事務所関係者)
 そんなたけし、タカハタ氏とも『アナログ』の映画化に当たっては、ヒロインに竹内結子さんを希望していたという。

「たけしは、14年に放送された松本清張スペシヤルドラマ『黒い福音』(テレビ朝日系)で竹内さんと共演したのをきっかけに好印象を抱いていたそうです。しかしながら、竹内さんは20年に急逝してしまいました」(前同)

 竹内さんに代わってヒロインを演じることになったのは波留だが、いざ公開にこぎ着けた今、問題になっているのは、むしろ主演である二宮が所属するジャニーズ事務所の性加害問題のほうだった。

「スポンサー離れが加速するなど、創業者である故・ジャニー喜多川氏の性加害問題が未だに収まっていないだけに、興行収入に影響しないか、危惧されています」(映画関係者)

 ちなみに、たけしといえば、自身の自伝小説を舞台化した音楽劇『浅草キッド』が10月8日に東京・明治座で初日を迎えたほか、11月23日には、北野武監督としてメガホンを撮った6年ぶりの新作『首』が全国公開される。

 まさに“たけし復活の秋”だが、関係者はこれまでのトラブルの影響を危惧しているという。

「撮影がコロナ渦で延びたことや、制作・配給のKADOKAWAとの契約トラブルのダメージも小さくないですが、それ以上に、この間たけしの独立騒動でブレーンが次々に離れていきました。はたして、これまでの北野映画のように新作映画がヒットするか、疑問です」(前同)

 当初、『首』の主演には、ハリウッド俳優の渡辺謙の名前が上がっていたが、結局、スケジュールの都合で断られたと伝えられていた。

「真相は違います。渡辺サイドは脚本を読んで、満足いくものでなかったので断ったそうです」(元事務所関係者)

 本当に“たけし復活の秋”となるのか、注目だ。

(文=本多 圭)

本多圭(ジャーナリスト)

芸能取材歴40年以上、タブー知らずのベテランジャーナリスト。主な著書に『 スキャンダルにまみれた芸能界のトンデモない奴ら』など。

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最終更新:2023/10/23 14:30
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