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パチンコ業界の“終わりの始まり”か…「ガイア」の大型倒産で斜陽産業化する業界に激震

※イメージ画像:GettyImagesより

 パチンコチェーン大手の「ガイア」が東京地裁に民事再生法の適用を申請したことが30日に分かった。帝国データバンクによると、負債額は約850億円で、パチンコ店としては過去最大規模の倒産だという。同時に倒産となるグループ会社6社を含めると負債総額は約1133億円にのぼり、業界関係者からは「パチンコ業界の終わりの始まり」だと指摘する声が上がっている。

 ガイアは1984年に設立され、中核となる「GAIA(ガイア)」のほか、エリア戦略や店舗規模によって「メガガイア」「サイバーパチンコ」「アイオン」「ガイアネクスト」などの店名で出店。ピーク時の2006年5月期には年収入高が5850億円を超えていたが、2020年以降は新型コロナウイルス感染拡大による臨時休業や電気代の高騰、新台の導入コストなどが経営を圧迫し、2023年5月期の年収入高はピーク時の3分の1以下となる約1895億円にまで減少していた。

 なお、同社は金融関連業のJトラストの支援を受けて再建を目指す予定で、ホールの営業は変わらず継続する意向。貯玉・貯メダルサービスも引き続き利用可能だという。

 近年はパチンコ店の倒産が相次いでいたが、史上最大規模といえるガイアの倒産はパチンコ業界の「斜陽産業」化の決定打になる恐れがありそうだ。

 帝国データバンクが発表した「パチンコホール経営法人の実態調査(2022年)」によると、パチンコ業界はピーク時の市場規模が30兆円超に達していたが、現在は14兆円台にまで縮小。ここ数年の落ち込みが特にひどく、2019年から2022年までで約5.2兆円の減少となり、2020年から2021年にかけては1年で約3.6兆円のダウンとなった。

 2022年のパチンコホール経営の法人数は1508社で、2019年の2000社より492社も少なく、コロナ禍3年間で25%の大幅減少に。2019年には黒字企業が75%となっていたが、2021年に赤字企業が59.2%となって逆転し、2022年も赤字企業が52.6%に。2年連続で「半数以上が赤字」という業界になっている。

 パチンコ市場が冷え込んだ最大の原因は、相次ぐ規制によって起きたファン離れだ。90年代後半に射幸性の高さが社会問題になったことをきっかけに規制が始まり、いわゆる「連チャン機」などがホールから消えたことでファン離れが徐々に進行。一時は、2000年代にパチンコで「CR新海物語」、パチスロで「北斗の拳」といったメガヒット台が登場して持ち直したこともあったが、それも長くは続かなかった。

 2018年には風営法の強化によって大幅な規制が入り、パチンコはファンが慣れ親しんだCR機から新基準のP機が中心となり、大当りラウンド数が最大16ラウンドから最大10ラウンドに、大当り1回で獲得できる最大出玉数は2400個(9600円相当)から1500個(6000円相当)に抑制された。パチスロも同様で、大当り1回で獲得できるメダルが最大300枚(6000円相当)に抑えられるなどの規制が実施された。

 あまりに射幸心を煽るのは問題だが、ギャンブル性が低くなればファン離れは顕著になる。さらに、近年はパチンコ広告の規制が強まって「出玉放出イベント」などの告知ができなくなり、それもファン離れを加速させたとみられる。広告の規制によって新台を導入しないと集客が難しくなったが、そのせいで導入コストが増大したことも経営を圧迫しているようだ。最近は玉やメダルを使わないスマートパチンコ・スマートパチスロが導入されているが、こちらは従来機よりも導入コストが高いといわれている。さらに、若者層は身近な娯楽としてスマホゲームなどで遊んでいる人が多く、パチンコ・パチスロがかつてのような「娯楽の王様」でなくなったことも業界の苦境に影響しているだろう。

 今年3月には老舗パチンコメーカーの「西陣」がパチンコ事業の“廃業”を発表したことで業界に衝撃が走った。さらに、今回のガイア倒産が起きたことで、業界内では「パチンコ業界の終わりの始まり」と指摘され、これを機に業界が本格的に凋落していくのではと危惧されている。さらなる大型倒産が連鎖する可能性もあるといわれているが、このままパチンコ業界は斜陽産業となってしまうのだろうか。

SNSや動画サイト、芸能、時事問題、事件など幅広いジャンルを手がけるフリーライター。雑誌へのレギュラー執筆から始まり、活動歴は15年以上にわたる。

さとうゆうま

最終更新:2023/10/31 18:00
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