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「モラハラのトリセツ」第7回

モラハラ妻は被害者!? モラハラ問題をこじらせる「ジェンダーバイアス」(後編)

文=中村カズノリ(なかむら・かずのり)

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※これまでの話はこちらから

 モラハラの加害者には、男性だけでなく女性もなってしまう可能性は十分にありえますし、「加害者=男性」/「被害者=女性」というのは一種のジェンダーバイアス(性的な偏見)に当たります。

 僕のところへ相談に訪れたNさんは女性ですが、自身のモラハラ行動に悩み、それをなんとかしたいと願っています。

 Nさんの抱えている問題は、夫のSさんに対して怒鳴ったり、ものを投げたりといった行動が出てしまうというもの。カウンセリングで対話を進める中でわかったのは「話を聞いてもらえていない」と感じた時に激しい怒りが沸き、加害行動に出てしまうということでした。

 そこで次に「この怒りの根っこには何があるのか」を探る方向へ舵を切ることになりました。

 カウンセリングを進めていく中で、Nさんは徐々に自分の問題に気づいていくことになります。Nさん自身、自分のしゃべる量がとても多いこと、どれだけ話して聞いてもらっても満足ができないことに、実は違和感を覚え始めているといいます。

 そんな背景を僕と一緒に振り返り、当時抱いた感情を棚卸ししていきました。過去の体験を無理やりこちらから掘り出してしまうとNさんが傷ついてしまうので、Nさんとの共同作業で慎重にひも解いていきます。

 モラハラの加害者に対して「その行為は相手を傷つけるので、してはいけない」などと言うのは簡単ですが、それでは問題は解決しません。加害者の持つ傷を慎重に見つけ出し、そこに対してのケアを深めることで加害の原因や、加害に至ってしまう原因となる複数の要因にアプローチしていくことこそが肝要です。その要因も複雑に絡み合っているため、慎重にひも解いていく作業が必須となります。

 そんな作業の中で、Nさんは少しずつ、友人ができても徐々に距離を置かれてしまう経験が多かったことや、幼少期に両親があまり家におらず、一人っ子で、いわゆる「鍵っ子」だったことが寂しかったなど、少しずつ過去のエピソードと、当時の感情も語られるようになっていきました。

 過去のエピソードを語るうちに、Nさんは過去に満たされなかった「寂しい」感情が、今でも無意識に自分自身を縛り付けているのかもしれない、と語ります。

 DVやモラハラを直接的に起こす感情は「怒り」ですが、怒りとはそれ単体では起こり得ない二次感情であり、怒りにつながる元となる一次感情が必ず存在しています

 Nさんの場合は「寂しい」という感情に自分が壊されてしまうのを防ぐため、「寂しい」という感情を怒りに変化させ、相手を攻撃することで自身を守っていたのではと推測されます。攻撃は最大の防御なのです。

 どれだけ話しても満たされないというNさんは、自分のことを知ってほしいという思いから、今はSNSに依存的になってしまっているようです。最初のカウンセリングでは、インスタグラムの投稿について熱く語るNさんが印象的でした。

 自分の問題や感情に気づきかけたNさんには、自分のことを自由に語れ、それが受け入れられる場が必要だと感じた僕は、Nさんに第3回でも紹介した「脱暴力グループワーク」への参加を促しました。

 グループワークでは、DVやモラハラ等の家族間問題を抱える当事者が、老若男女関係なく毎回20~30名ほど集まって対話するという試みで、東京や大阪、京都で月に数回開催されています。

 僕とだけ話をするよりは、同じか近い問題を抱えた、または乗り越えた複数の当事者との対話が過去の感情に対する癒やしや、問題の解決を促します。

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