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コミック発売記念対談

【沖田臥竜×北村有起哉】『ムショぼけ』が変えてくれた自分たちの景色

「主演は本当に休めないんだな」って身をもって知りました

アウトロー時代の経験を活かし、『インフォーマ』『ブラザース』など、次々に話題作を送り出している沖田氏。

――原作者の沖田さんはどう見ていましたか?

沖田 やっぱり小説と映像(ドラマ)って、基本的には別物だと思うんです。ところが、『ムショぼけ』だけは一体化してましたね。他ではちょっと味わえないドラマで、我ながら何遍でも見ることができてます。この作品を超えることができないんちゃうかって思ってます。
 ほかのドラマや映画で監修の経験もあるんですが、決定的に違うことがあるんです。誰も知らない「ムショぼけ」を実体験していて、その気持ちや戸惑いがわかるのって、僕だけなんです。また、刑務所内での布団の畳み方1つにしても、スタッフさんたちが僕に確認してくれました。そんな風にどのシーンにも、僕の感覚や思いが絡んでいたというのも、大きかったのかもしれません。
 あと、自分の地元の兵庫県尼崎市を舞台に撮影したことも、個人的には大きなポイントでした。

――北村さんは連続ドラマ初主演でした。

北村 物理的に「主演は本当に休めないんだな」って身をもって知りました(苦笑)。いつもなら飲みにも出歩くタイプですが、主演だと息抜きをする余裕もなくて、コロナ禍でお店も夜8時以降は営業もしていなかったので、毎晩ホテルでお弁当の生活。缶詰状態でしたね。
 しかも、苦手な関西弁だったので、そこも苦労しました。ただ、この作品で浴びるほどに関西弁を叩き込まれたので、今後はこの経験を生かすことができそうです。まぁ、元ヤクザ役でちょっと言葉が汚い関西弁だったので、そこだけは注意しなきゃいけないですけど(笑)。

――毎日わびしい夜だったのですね

北村 あっ、でも、オカン役の末成(映薫)姉さんから、手作り弁当をいただいたことはありました。

沖田 漬物とか入ってましたね。

北村 僕が疲れ切っていたら、「これ、食べ」って普通のプラスチック容器に入ったお弁当をもらって。どっかで買ってきてもらったものかと思って、ホテルの部屋に持ち帰って食べたんです。そこで初めて、「あれ? これって手作りじゃないの?」って気づいて、そうしたら、食べているうちにダァーって涙が流れてきまして(笑)。

――えーっ、ドラマでは、出所を迎えに来てくれたオカンに唐揚げなどの手料理を振る舞ってもらっていました。作品の親子関係のようなエピソードですね。

沖田 やっぱりいまだに見直すと、母と息子のシーンで泣けるんですが、それらの芝居もお二人のそんな関係性があってこそなんですね。

北村 思えば、撮影現場の食事シーンも、毎回楽しみでした。なにせコロナ禍で店が閉まっているので、オカンとの食卓のハムカツとか、兄弟分のサトシとの焼肉屋、居酒屋での刺身とか、撮影しながらも、ちゃんと味わって食べておいしかったですわ。

――出所して、久しぶりにおいしいものを味わうシーンは、そんなふうに実際に噛みしめて食べた思いも合わさって、お芝居にいい影響を与えられていたのですね。沖田さんは、そんな撮影現場を、毎日どんな心境で見ていたのですか?

沖田 個人的には、自分が小学生のころにラジオ体操をしていた公園が、思春期にはヤンキーの溜まり場になったり……(苦笑)。そして、40を超えてから有名な俳優さんたちのドラマ現場として見守る現場になった。「まさかこんな人生が待ってたとは……」と、不思議な気持ちでした(笑)。

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