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話題のドラマの続編小説『ムショぼけ2』発売…刑務所と社会とのギャップが生む「ヒューマニズム」

文=沖田臥竜/作家

『ムショぼけ2』amazonで先行発売中

名優・北村有起哉初主演作としても話題となったドラマ『ムショぼけ』。長い懲役生活から社会復帰した元ヤクザの日常をユーモアと感動を交えた描いた同作は、現在、各動画配信サービスでも好評を博している。そんなドラマの続編ともいうべき小説『ムショぼけ2』が発売された。手掛けたのは、もちろんドラマの原作者でもある沖田臥竜氏。ここでは、自らの経験も活かされているという同作品に対する思いを沖田氏に綴ってもらった――。

作品に携わってくれた全員がクラスメイト

 ドラマ『ムショぼけ』(朝日放送)の撮影がオールアップしたとき、私は完全に燃え尽きていた。ムショぼけロスである。

 お陰様で昨年10月から朝日放送で放送された、私の小説を原作としたドラマ『ムショぼけ』は、関西、その中でもロケ地となった尼崎で圧倒的な支持を受け、話題をさらった。その実績を引き提げて、Netflixを始めとした各動画配信サービスへも進出し、今はその知名度や支持層の拡大は全国規模になってきている。

 関西で火をつけ、全国へと羽ばたくというのは、当初から思い描いていた構想だった。その構想を具現化したこのドラマには、それこそ多くの人々の汗や涙が染み込んでいる。この成功に導くにあたって、誰が偉いとか偉くないとか、そんなものはどうでもいい。『ムショぼけ』という夢に携わってくれた人たちすべてが、私にとっては同じクラスメイトなのだ。そうしたそれぞれの想いが込められているからこそ、視聴者からはSNSなどで多くの反響をいただいている。その反響がなければ、ドラマの続編ともいうべき立ち位置の小説『ムショぼけ2』(サイゾー)が出版されていなかったであろう。

 『ムショぼけ』とはどんな話なのか? それは、小説『ムショぼけ』(小学館)やドラマ『ムショぼけ』のプロモーションで、何十紙という媒体の取材で答えてきたことなので、今さら同じことをここで語ってもつまらないだろう。検索してくれれば、そうした記事はいくらでも出てくるはずだ。

 「ムショ」とは、いうまでもなく刑務所のことを指しているのだが、本来、“慣れた人”は刑務所のことをムショという言い方はしない。「懲役」と呼ぶことが多いのだ。なにも知らず「ムショもな……」なんて言えば、「それちょっとダサくねぇ?」と、懲役に行っていた奴らに失笑されるだろう。それくらい「ムショ」という単語は単体で使わないのだが、「ムショぼけ」という拘禁病は実在する現象なのだ。

 懲役を食らった者は、誰もが満期日を迎えると、何年も過ごした静寂が支配した環境から、例外なく喧騒の地、シャバへと帰還するのだ。もちろんリハーサルやリハビリなどない。突然、0からMAXなのである。私もシャバへ出てすぐパチンコ屋へ入ったとき、耳が潰れるのではないかと不安になったほどだ。そのほか、懲役とシャバとのギャップに苦しむケースはあまたある。

 そんなムショぼけ状態の主人公の陣内宗介は、良くも悪くも周囲から愛されている。愛されているという表現に語弊があるとしたら、常に誰かに心配してもらっているといえばいいだろうか。

 同じく道を踏み外したとしても、根底からの悪人や人間としていやらしさをもった人間は、懲役で罪を償ってきたとしても、どこかでやはり信用されない。その点、陣内は滑稽だがひたむきである。このひたむきさがレシやロマンになり、ヒューマンへとつながるのである。

 シリアスなことをシリアスに書くことを私は否定するわけではないが、そこにユーモア、つまり冗談がなければ、読み手の肩が凝ってしまうだろうと考えてしまうのだ。えらく気取った描写よりも、私は常に言葉の組み合わせやテンポあるセリフを意識して、文章全体のリズムを取る書き手だと思っている。それが自分なりの文芸の真骨頂と自負しているのだ。

 『ムショぼけ2』は、ドラマ『ムショぼけ』を思い出しながら、読み進めることが出来る作品に仕上がっている。また、陣内に会いたい、夜勤部長に会いたいと、Netflixなどで見直してもらえることもあるかもしれない。まだの人は、まずはドラマからチェックしてもらいたい。

 ちなみに、ここで情報解禁するが、朝日放送にお願いして、私が作詞したドラマの挿入歌の「せぶんすたー」が来月からカラオケでも歌うことができる。

 「同じいくなら、若いころに懲役に行ってな、歳いってからの懲役はえらいど」

 「短い懲役には短い懲役の、長い懲役には長い懲役の苦労があるからの~」

 刑務所というひとつの文化圏では使い古された言葉たちだ。振り返ると自分自身は、そんな世界から今に至るまで猛スピードで駆け抜けてきたものだ。いつまでも、ムショぼけなんて患っている暇はなかった。

 ただ、陣内宗介には、まだしばし、ムショぼけを患っていてもらおうと思っている。

 余談だが、私はクラスメイトとして、陣内宗介の兄貴分、平松がまた元気な姿で『ムショぼけ』という場所に戻ってきてくれることを願っている。

(文=沖田臥竜/作家)

『ムショぼけ2~陣内宗介まだボケています~』
14年間の獄中生活を経て出所した元ヤクザ・陣内宗介は、社会や文化、そして友人や家族の変化に惑わされる、まさに『ムショぼけ』状態だった――。しかし、宗介は持ち前の侠気と愛される人柄で奮闘。怒りと笑いと涙が飛び交う日々の中、家族も仲間も、そして宗介自身も、どんな時代でも変わらぬ「大事なもの」と向き合いつつ、成長していくのだった。名優・北村有起哉さんの初主演ドラマとしても高い評価を得た『ムショぼけ』(2021年10月~12月/ACBほかで放送)。現在、NetflixやU-NEXTなどの配信での再生も好調で、SNS上にも多くのコメントが寄せられている。
本書は、そんなドラマ『ムショぼけ』の「その後」を、原作者・沖田臥竜が描き下ろした快作。さらに、『ムショぼけ』誕生までの裏側を綴ったエッセイの数々も収録。

定価:本体1200円+税/発売:サイゾー
amazonで先行発売中
3月末より全国書店で発売開始

●沖田臥竜(おきた・がりょう)
2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)を原作にした同名ドラマが現在配信中(ドラマ『ムショぼけ』)。最新作は『ムショぼけ2~陣内宗介まだボケています~』。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

最終更新:2022/03/29 19:42

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