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ロバート・デ・ニーロ出演作『レッド・ライト』公開記念インタビュー

超常現象を信じる人がいるから超常現象は起きる!? 新鋭ロドリゴ監督が暴くスピリチュアル系の欺瞞

redlight01_deniro.jpgロバート・デ・ニーロが盲目の超能力者を演じた
新感覚サスペンス『レッド・ライト』。堤幸彦監督の『トリック』が好きな人には
見逃せない内容なのだ。

 超能力は存在するのか? 超常現象は実在するのか? スペイン出身の俊英ロドリゴ・コルテス監督の新作サスペンス『レッド・ライト』は非常に興味深い題材を扱っている。オカルト雑誌「ムー」愛読者ならずとも気になる内容だ。しかもキャスティングがすごい。空中浮遊に透視能力、さらには心霊手術まで披露する伝説の超能力者に名優ロバート・デ・ニーロ。超能力者のトリックを見破る超常現象バスターズに『エイリアン』シリーズのシガーニー・ウィーバーと『バットマン ビギンズ』(05)などクリストファー・ノーラン作品の常連俳優キリアン・マーフィー。さらに『マーサ、あるいはマーシー・メイ』(2月23日公開)でカルト宗教団体から逃げ出した少女役を熱演し、ブレイク確実視されている若手女優エリザベス・オルセンも出演。邪悪な超能力者サイモン・シルバーと超常現象バスターズの間で熾烈な心理戦が繰り広げられる。異色サスペンス『[リミット]』(10)の成功でハリウッド進出を果たしたロドリゴ監督が来日。企画意図やロバート・デ・ニーロへの想いについて語った。

 『レッド・ライト』のオープニングエピソードがとてもシンボリックだ。超常現象バスターズである物理学者のマーガレット博士(シガーニー・ウィーバー)と助手のトム(キリアン・マーフィー)は、ポルターガイスト現象で騒がれる一軒家を訪ねる。家の中に招かれた2人は降霊術の最中にテーブルが宙に浮き、部屋中の家具が揺れ動くのを目の当たりにする。おろおろする家の住人を尻目に、バスターズの2人は落ち着いたもの。見事な洞察力でポルターガイスト現象の謎を解き明かす。「超常現象は、超常現象を信じる人の前で起きる」。それがバスターズ2人の共通する考えだ。

redlight02_director.jpgスペイン出身のロドリゴ・コルテス監督。
「スペインでも70~80年代にユリ・ゲラーブームがあって、みんなでスプーン曲げやったよ(笑)。
でも、デ・ニーロが演じるサイモンはユリ・ゲラーと違って、とても邪悪な存在なんだ」。

ロドリゴ・コルテス監督(以後、ロドリゴ) 「今回の脚本を書き上げるために、僕は1年半の時間を掛けてリサーチしたんだ。超能力や超常現象を肯定する派と否定する派の両方の立場について取材したよ。対立する2つの立場を取材して分かったことは、どちらも同じだということ。自分の都合のいい理由や証拠だけを持ち出して、自分たちは正しいと信じている。肯定派は肯定できる部分だけを見て、否定派は否定できる部分だけを見て、自分たちを正当化しているわけなんだ。要は、人間とはまず最初に結論を用意して、そのために都合のいい事象だけを自分の中に取り込んでいく生き物だということ。もちろん起きた現象が人間に影響を与えることはあると思うよ。でも、逆に人間の心理が現象に影響を与えている場合もあると僕は思うんだ」

 本作はパッと見はサイキックホラーものと思いがちだが、実は超能力や超常現象といったものに惑わされる人間の心理について描いている。単なるジャンル映画で済ませないロドリゴ監督の意欲が感じられる。

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