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ロバート・デ・ニーロ出演作『レッド・ライト』公開記念インタビュー

超常現象を信じる人がいるから超常現象は起きる!? 新鋭ロドリゴ監督が暴くスピリチュアル系の欺瞞

redlight03_murphy.jpg超能力者サイモン・シルバーの秘密を暴くことに
のめり込んでいくトム(キリアン・マーフィー)。
怪しさ漂うサイモンにどうしようもなく惹き付けられてしまう。

ロドリゴ 「超能力や超常現象を使ってサギまがいの行為を働く人たちのエピソードをいろいろと盛り込んでいるけど、それはあくまでも物語のバックグラウンドとして描いたもの。マーガレットやトムたちは科学的に超能力や超常現象の謎を解き明かそうとするわけだけど、ではその謎を追っている自分自身は何者であるのかということがメインテーマなんだ。僕がいちばん興味を持っているのは『人間を突き動かしている原動力は何か?』ということ。僕が今回の脚本を書きながら考えたことは、『矛盾こそが人間を突き動かしているのではないか』ということだったんだ。人間は誰しも『こんな人間になりたい。理想の人間に近づきたい』と思うもの。でも、その一方では、今の自分とは別の自分になることを恐れるという矛盾も抱えている。こういった矛盾は誰もが抱えている問題。そういった人間の持つ矛盾、複雑な内面こそ、僕は面白く感じられる。その命題を、どうすればエンターテインメント作品にすることができるかを考えて作ったのが、この作品なんだ」

 次々と自称超能力者のトリックを見破るマーガレット博士は、タイトルとなっている“レッド・ライト”という言葉の意味を劇中で説明する。超能力ショーなどが開かれる会場では、超能力に救いを求める人たちの群れの中に、違和感を放つ存在が紛れ込んでいる。それがレッド・ライトだと。悩みを抱える人たちや超能力を妄信的に信じている人たちは超能力者が披露する技に夢中で、周囲を気にかける余裕はない。そんな人たちからどれだけお金を搾り取ることができるかを値踏みしている輩が会場には徘徊している。そいつの尻尾をつかめば、超能力者の化けの皮も剥ぐことができるというわけだ。だが、そのレッド・ライトは「危険、ここから先は近づくな」という信号でもある。

ロドリゴ 「“レッド・ライト”という言葉自体は僕が考え出したもの。でも僕は1年半掛けて取材する中で、超能力を科学的に研究するチームに参加して一緒に作業にも加わったし、逆に超能力を売り物にしてお金を稼いでいる人たちも取材したんだ。客席にサクラを用意したり、ステージ上にいる自称超能力とは別に仕掛けを用意している陰のスタッフがいることは、実際に頻繁に使われている手口なんだ。僕自身は70年代の政治サスペンスが大好きで、自動車の中でシガーニー・ウィーバーがエリザベス・オルセンにレッド・ライトについて話すシーンをやりたかった。業界の秘密を大物がビギナーに教えるくだりは、いかにも社会派スリラーっぽいだろ(笑)」

 本作の売りは、ロバート・デ・ニーロの出演。マーガレット博士でさえ恐れをなす伝説の超能力者サイモン・シルバーをデ・ニーロがケレン味たっぷりに演じてみせている。デ・ニーロのカリスマ性を生かした、うまいキャスティングといえる。

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