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「生活に慣れず、生活苦と孤独の果て……」麻薬売春パーティーに溺れた脱北女性たち

mayaku0530.jpgイメージ画像

 韓国には、北朝鮮からやってきた“脱北者”が多く暮らす。中国などを経て韓国に逃げてきた脱北者の数は、韓国の統一部によると2014年末までに2万7,518名。特に2000年代になってからは毎年2,000~3,000人近くの脱北者たちが韓国にやって来るが、その多くが韓国社会になじめないでいる。脱北者は韓国社会になじむための施設「ハナ院」で3カ月間生活でき、そこで職業訓練も受けられるし、ハナ院を退所する際には住宅支援金1,300万ウォン(約143万円)ももらえるが、定職に就けず生活苦に陥るケースも少なくない。


 そんな脱北者の弱みにつけ込んだ麻薬売春パーティーがソウル市内で行われていたことが、一般紙「国民日報」のスクープで明らかになった。

 そのスクープによると、場所はソウル最大の歓楽街・江南(カンナム)の一角にある高級住宅街。カンナム一帯で外食業を手広く展開する40代後半の社長宅だった。そこで脱北女性3人が、40代社長とその友人たちと、共に夜な夜な麻薬売春パーティーを開いていたというのだ。

 そもそも中国を経て14年1月に韓国にやってきた脱北女性Aさんが、麻薬売春パーティーの話を持ちかけられたのは昨年12月だった。韓国に来た当時、韓国政府から支給された定着支援金400万ウォン(約44万円)は脱北ブローカーに吸い取られ、ハナ院での3カ月間の生活中に美容師訓練も受けたが、紹介してもらった職場になじめず退職。住宅支援金1,300万ウォンを使って借りたアパートでひとり住まいをしながら、数カ月に一度支給される基礎生活費100万ウォン(約11万円)だけで暮らしていた。生活は苦しく、貧しかった。

 そんな彼女に「楽に金を稼げる」と声をかけてきたのは、ハナ院で知り合った同じ脱北者の男性だった。その方法は売春。抵抗はあったが、金と寂しさを紛らわすために、同じ境遇にあった脱北女性2人と、前述の社長宅へ向かったが、そこで強要されたのは覚せい剤の使用だったという。社長は「ドラッグ・セックスを楽しめる女性を用意してほしい」とリクエストしていたのだ。

結局、女性たちは覚せい剤を投与され、ドラッグ・セックスに溺れるようになった。報酬は1人1回50万ウォン(約5万5,000円)。女性たちを紹介した脱北男性は仲介料として100万ウォン(約10万1,000円)を手にしていたという。

「脱北女性たちが性売買はもちろん、麻薬にまで溺れてしまう実態の背景にあるのは、生活苦だ。脱北者の女性比率は70%に達するが、娯楽が少ない北を抜け出し韓国に来ると、あまりにも開放的な韓国の性文化に接することで、淫乱な誘惑に溺れてしまうケースが増えている」(国民日報)

 家族や故郷を捨て、自由と富を求めてやってきた韓国で、生活苦と孤独に苦しみ、性と麻薬に溺れてしまった脱北女性たち。生きるためとはいえ、脱北者の悲しい現実がそこにはある。

最終更新:2016/01/28 16:00
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