日刊サイゾー トップ > 連載・コラム  > 『聖闘士星矢Ω』評価はいかに?
週刊アニメ時評 第11回

「燃え上がれ、俺の小宇宙よ!」前作ファンもニヤリ『聖闘士星矢Ω』

 だが、彼はアニメ『北斗の拳』でエクストリームなキャラクターを多く描いた羽山淳一に憧れて東映動画の門を叩いた、熱血アクション派アニメーターである。

 そんな自身のルーツを証明するかのように、『ハートキャッチプリキュア!』では荒木・姫野イズムを受け継ぐかのような強烈なパースを効かせた決めポーズや大胆なアクションシーン、「両手を後ろに広げての前傾姿勢ダッシュ」などを描き出していたことを覚えているアニメファンも少なくはないだろう。

 筆者としては、古き良き東映動画のセンスを現代風の柔らかな画風にマッチさせるだけの技量を持つ馬越氏以外に現代の『星矢』を描ける人材はいないのでは、とすら思っている。

 現在放送中の『Ω』を見れば、「かつて自分たちが見ていた『星矢』」のイメージと遜色なく、それでいて古臭さを感じさせない洗練された世界観を感じることができるはずだ。

 また、主人公の光牙とライバル関係にある仔獅子座の蒼摩の泥臭さは、旧シリーズでは星矢のライバルになりそこねた残念キャラ・一角獣座の邪武を彷彿とさせるものがある。

 旧シリーズで描ききれなかった初期プロットへのリベンジも感じさせる蒼摩というキャラは、馬越氏をはじめとする『Ω』スタッフの『星矢』という作品に対するリスペクトと、挑戦の証として注目していきたい。

■ファンなら「ニヤリ」のこだわりポイント

 絵作り以外にもこだわりポイントはある。

 『聖闘士星矢』といえば、様式美とすらいえる芝居がかった「車田節」とでもいうべきセリフの応酬を忘れてはならない。

 冒頭にもあるような、大見得を切りつつ繰り広げられるバトルは、歌舞伎にも通じるケレン味満点である。『Ω』でも、このノリは健在。新世代聖闘士たちは、相変わらずド派手な名乗りと技解説を交えつつ、一進一退の攻防を繰り広げる。この勢いで、

「笑止!」
「燕雀いずくんぞ鴻鵠の志を知らんとはまさにこのことだ」
「オレのセブンセンシズよ 燃えろ!」

 などのような、上級の車田節も登場させてほしいものである。

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