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“パワードスーツ”との出会いが人生を変えた!? 

『スターシップ・トゥルーパーズ』最新作で積年の到達を見せた荒牧伸志監督インタビュー

――バグに乗っ取られた宇宙戦艦が地球へ突撃していく後半は、異様な盛り上がり。『スター・ウォーズ』や『エイリアン2』(86)といったハリウッドSF大作、『機動戦士ガンダム』をはじめとする日本の人気アニメのエッセンスを総結集させたような迫力です。

荒牧 そういう風に楽しんでもらえるのが、ボクとしては一番うれしい。極論すると、自分の好きなものしか作れないってことですね(笑)。後半はやりすぎだったかも知れません(苦笑)。正直なところ、製作中は大変なことになりました。宇宙戦艦が地球の大気圏を突破していくシーンは、海外の幾つかのプロダクションに発注していたんですが、ギリギリの段階になって「やっぱりできない」と言われてしまった。「おいおい!」ですよ。それでもう仕方ないんで、社内でやることになったんです。世界を1周して、自分たちのところに戻ってきてしまった(笑)。現場では、みんなブチ切れながら作業していました。自分たちの追い込まれた状況が、作品に反映されているかも知れません(笑)。

■荒牧監督がCGに手を伸ばしたその理由

――バグと人類の壮絶な戦いは、日本のアニメ業界がどうやってこれから生き残っていくのかということも連想させます。言葉を換えれば、アナログ的なものとデジタル的なものとのサバイバル戦争のようにも感じます。

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荒牧 なるほど。ボクはかれこれ30年ほどアニメの世界に身を置いています。今でこそ「アニメは日本の誇る人気コンテンツ」なんてもてはやされていますが、ボクがこの世界に入った頃は全然違いました。「いい年して、アニメを見て」と嘲笑されていた時代に、この業界に入ったわけです。これから自分はどうなるんだろうという不安を抱えながら仕事を始めました。それが、今でもこの仕事を続けることができている。それだけで充分に幸せなんです。本当はもっと後進のことも考えないといけないんでしょう。でも、ボクとしては「好きな絵を描いて、お金までもらえるなんて」という感謝の気持ちが今でもあるんですよ(笑)。これからのアニメはこうあるべきとか、大層なことはボクは考えていません。CGアニメを始めたのも、同世代のアニメ作家である河森正治さんや庵野秀明さんには同じ土俵では敵わないと思ったから。他のデザイナーたちより2~3年だけ早くCGアニメに着手しただけ。デジタルかアナログかという意識はなかったですね。ボクの場合はメカデザインを描くことが多かったので、メカは手で描くよりもCGを使ったほうが細かく描けるし、1度モデルを作れば、細かいメカを何十枚も描いてもらう苦労も省けるはず、というシンプルな考えからです。楽できる部分は楽しようと。ガンダムはメカだけどキャラクターでもあるから、あんまりカチッと描くと嫌がるファンもいるので、そういう場合は手描きでもいいと思うんです。要は観てくれる人を楽しませることができるかどうかの問題でしょうね。

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