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ももクロのCMはAKB48への牽制!? 電通が狙う”京楽&東京都のカネ”

 こうして、当時サービス開始直後だったFOMAの映像ストリーミングサービスのプロモーションのために、AKBの第二期オーディションにはテレビ電話が使用されることとなる。同時に、AKBとして初のCM出演(06年)も、このテレビ電話サービスのものだった。さらには、ドコモがラジオ番組『本谷有希子のオールナイトニッポン』のスポンサーになり、その番組内でAKBの電話デートコーナーを展開。その頃のAKBのメディア露出はほぼすべて、このドコモと電通が取り仕切っていたのだ。そしてこれらのプロジェクトが、現在のひかりTVにまでつながる、電通とNTTが組んだ新コンテンツ事業とAKBとの関係を結ぶ基盤となった。さらにこの頃には、先のコンテンツ部の中に、数名で結成された担当チームも設けられるようになったという。

 その後、06年にソニー・ミュージックエンタテインメント傘下のデフスターレコーズからAKBがメジャーデビューを果たすと、映画『伝染歌』の製作をはじめ、今度はAKBとソニーと電通の3社による、太いパイプも構築される。しかし、AKBは08年2月にリリースされた『桜の花びらたち2008』の独占禁止法問題がきっかけとなり、デフスターレコーズから契約を解除されてしまう。結果的に、この件が電通とAKBの結束をさらに強めることとなる。

「AKBのレコード会社契約が宙に浮いてしまった時、ちょうどドコモで『MUSIC CHANNEL』を始めたり、ナップスターで音楽配信を本格化させるというタイミングでした。そこで、電通が全面バックアップしてリリースされたのが、配信限定シングル『Baby! Baby! Baby!』なんです。この曲のPVは電通のクリエイティブ子会社である電通テックのチームが制作をし、完全電通主導作品となりました。この頃は社内に、『AKBは電通の持ち物』みたいな認識がありましたね」(前出・C氏)

 しかし、この年の10月にキングレコードへの移籍が決定すると、電通はまた、アドバイザー的な本来の代理店ポジションにシフトさせられてしまう。同月に発売された『大声ダイヤモンド』のヒットを機に、AKBは爆発的にブレイク。徐々にAKBの運営サイドの力が大きくなっていく。

「07年に放送されていた『ファイテンション☆デパート』(テレビ東京)という子ども向け番組にメンバーの篠田や峯岸みなみらが出演していたのですが、この番組は博報堂傘下の読売広告の制作によるものでした。また、08年にスタートした冠番組『AKB48のネ申テレビ』(ファミリー劇場)の制作は広告制作会社の大手、東北新社。こうして徐々に電通の”AKB独占”状態にヒビが入り始めていたところ、キングへの移籍とブレイクが重なって、AKBサイドも電通の言いなりにはならなくなってきたんですよ」(広告代理店社員D氏)

1301_momokuro_cm.jpgAKB案件で動いていたペプシブラックのCM。「も
もクロがカッコイイ!」と話題になった。

 そのため電通も、当初AKBで企画していたCMに”競合”アイドルたちをキャスティングし始める。例えばアイドリング!!!には「HP」、ももいろクローバーZには「ペプシブラック」のCMと、AKB陣営に対し、牽制を行ったのだ。

「もちろん、電通的にはAKBが売れなくなった時のために、同じく実売力の高いアイドルを使ってリスクヘッジをしている部分もあるんでしょうが……AKBを担当しているチームがそのまま担当しているのは、さすがに露骨ですよね(苦笑)」(同)

■公式ライバル・乃木坂46と電通プロデュースアイドル

 そんな”競合”アイドルの中でも特に注目したいのが、AKBの公式ライバル、乃木坂46だ。乃木坂というと、「結局AKBグループだろ」と思われがちだが、その内実は大きく異なっている。「乃木坂はもともと、電通とソニーによって企画されていた、AKB関連のある映像プロジェクトのために、オーディションで集められた子たちだった」(音楽業界関係者)のだという。

「当初予定していたプロジェクトは頓挫したものの、もうすでにスポンサーも決まっていた。それで、秋元さんプロデュースの”公式ライバル”という体裁でアイドルグループにしてしまおう! という話になり、ソニーと電通の主導で作られたらしいですよ」(同)

 しかし、早々に冠番組『乃木坂って、どこ?』(テレビ東京)の放送枠は確保したものの、アイドルグループとしての楽曲デビューには時間を要した。それは、そもそもの成り立ちに”スポンサーありき”の電通が関係していたこともあり、タイアップがなければCDのリリースが許されなかったからなのだ。

「事実、電通が明治チョコレートのタイアップを獲得してやっと、デビューシングル『ぐるぐるカーテン』のリリースが可能になったんですよ。その後のシングルに関しても、海外の携帯端末メーカー『HTC』のタイアップが3枚連続であったから出せているんです」(運営関係者)

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(文/青木 忠)

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最終更新:2013/01/06 15:25
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