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週刊誌スクープ大賞

現役最高騎手・藤田伸二が、騎手生命をかけてJRAに物申す!

 渡邉会長から社員へのメッセージがまとめられた「理念集」には、次のような言葉が掲載されている。

「365日24時間死ぬまで働け」

 さらに、森さんの自殺の翌09年から昨年までに、時間外労働の上限時間を超えて従業員を働かせていたとして、労働基準監督所から10件の是正勧告を受けているというのである。ワタミの元社員がこう語っている。

「勤務時間は夕方から明け方まで12時間以上なのに休憩はとれても30分。ワタミの場合、その日の売り上げ目標から逆算して人件費の額が決められている。そのため、売り上げが少ない日は、人件費を抑えるため、社員がただ働きすることもある。私は3年いましたが、午前7時からの『早朝研修』やミーティングの後も営業し、36時間寝ないのがザラだった」

 ワタミの08年のCSR報告書によれば、社員の平均勤続年数3.3年(09年以降は平均勤続年数を公表せず)だそうだ。まさに典型的なブラック企業ではないか、と文春は書く。

「社会問題化しているブラック企業は、解決が急がれる政策課題の一つだ。にもかかわらず、Mr.ブラック企業の渡辺氏に出馬要請した安倍首相、公認した自民党の責任はあまりに重い」

 と結んでいる。従業員6000名を抱える飲食業大手だが、実体は過酷な労働条件と搾取の構造では、威張れたものではない。参院選が近づけばもっと内情が出てくるに違いない。渡辺氏は、出なければよかったと後悔するかもしれない。

 先週も触れたと思うが、騎手・藤田伸二が書いた『騎手の一分』(講談社現代新書)が面白い。それを現代が取り上げ、藤田にインタビューしている。

 藤田は23年に及ぶ騎手人生で、1万4000回を超える騎乗回数を誇り、重賞勝利数93は歴代8位。現役最高の騎手のひとりである。その藤田が、騎手生活を懸けてJRA批判をしている。騎手は免許制である。多くの騎手が引退後に望む調教師の道もJRAの許認可がなければ開業すらできないが、藤田は引退したら競馬界から離れると言っている。

 最近、突然引退した安藤勝巳も調教師にはならないという。競馬界はそれほど魅力ないものになってしまったのだろう。

 最近、武豊が終わったという声がよく聞かれる。05年には212勝を飾り、天才の名を欲しいままにしていたトップジョッキーが昨年わずか56勝だから、限界説が流れても仕方がない状況だった。

「でも決して豊さんの腕が落ちたわけではなかった。じゃなぜか? 答えは“いい馬に乗れなくなった”から。いくら豊さんでも、有力馬に恵まれなければ勝てませんよ。すべてはJRAにエージェント制度が導入されたことが理由です」(藤田)

 かつては騎手はさまざまな厩舎を訪ね、自らが乗りたい馬を探し、調教師に騎乗したい旨を伝えるのが常だった。その活動の中で信頼関係を深めてゆくことができたのだが、10年ほど前から厩舎に顔の利く競馬記者などが、騎手に代わって乗りたい馬の調教師などにコンタクトを取り始めた。この交渉代行者をエージェントと呼ぶ。エージェントは調教師のみならず、より実権を持つ馬主にまで接触を図るようになった。

「大手馬主に強いコネを持つエージェントと契約した選手にばかり、騎乗依頼が集中する事態を生んだんだ。騎手と馬主・厩舎との信頼関係は希薄になり、馬主の“天の声”で安易に外国人ジョッキーへの乗り換わりが行われるようになった」(藤田)

 30年前に250人以上いた騎手が今は130人になっている。競馬学校の受験者も97年には761人いたのが、2010年にはたった148人。2割以下になっている。「競馬に魅力がなくなっているんだ」と藤田はこう話す。

「今の競馬界があまりにもつまらなくなっているから。その原因は閉塞的な今のシステムを作り上げたJRAにあるとオレは思っている。いや、みんな思っているんやろうけど、やっぱりいろいろあって言えないんだろうね」

 騎手の技術の低下にも警鐘を鳴らす。

「はっきり言って、うまくもないのにリーディング上位に入ってるやつが多くなってる。そうするとレースが面白くないから競馬ファンが減る。でもJRAは一部の大手クラブや有力馬主の顔色しか窺わない」

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