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『夏の終り』公開記念インタビュー

「満島ひかりは一筋縄ではいかない女優」熊切和嘉監督が描く、自由奔放な女の生きざま

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――ちなみに、試写を見た男性の反応はどうですか?

熊切 分かれますね。年齢がいっている人は、身につまされるみたいなことをおっしゃってたり。若い人ほど、拒絶反応を示す傾向があるかな。音楽をやってもらったジム・オルークも、「こういう女性は許せない」って言ってましたし(笑)。でも実際はこういう人って身の周りにはいると思うのに、今までの映画の中では、意外と描かれていないキャラクターな気がする。実は、新しいキャラクター像に挑戦したつもりなんです。

――この時代にあって、なぜ知子がここまで奔放な性格になったかというのを、特に説明もしていませんね。

熊切 それは極力しないようにしました。理解できないぐらいにしたかったので。

――満島ひかりさん演じる主人公の知子は、原作では30代後半の設定ですが。

熊切 満島さんって独特というか、年齢不詳な感じがいいと思ったんです。やつれた感じに見えるときもあるし。回想シーンで若い時期を演じる必要もあったので、年上の人が若作りするよりは、もともとかわいらしい人がよかったんです。

――熊切監督から見て、満島さんはどんな女優ですか?

熊切 予想はしてましたけど、一筋縄ではいかない人でした。台本に書いてあるからと、心なくパッとやるような、そんなテレビ的なお芝居をする人ではないし、僕もそういうのはハナから求めてはいなかったですし。自分の核となる部分に、役を落とし込んで演じようとする役者。満島さん自身、知子という役に関しては、「すごく共感できる部分と、まったくわからないところがある」と正直に言っていました。大変な役だったと思います。

――熊切監督が特に好きな満島さんの表情は?

熊切 ポスターにもなっている、この顔は好きですね。一晩寝ないでくれって頼んだんですよ。寝ずに呆然としていたというシーンだったので。一瞬だけ寝ちゃったらしいですけど、いい顔をしてましたね。

――前作『莫逆家族 バクギャクファミーリア』とは真逆の作風となりましたね。

熊切 ああいうのをやると、真逆の作品を作りたくなるんです(笑)。そのほうが精神衛生上、いいんですよ。『海炭市叙景』の後だったら、こうはならなかった気がします。僕の作品は大きく二分できて、「白熊切」「黒熊切」なんて言われるんですけど(笑)。『夏の終り』は「白熊切」じゃないですかね。

――過去の作品においても今作も、マイノリティなキャラクターが多いのはなぜですか?

熊切 あまり光が当たらない人たちに肩入れしてしまうんです。報われない人のほうが好き。映画の企画を考えるとき、いつも思い出す光景があるんですよ。小学2年生ぐらいのとき、地元の帯広にあるイトーヨーカドーの1階のフードコートで、本気モードで昼飯を食べてるおじさんを見て、なぜか切なくなったんですよね。今回も、たとえば小林薫さんが演じるシーンを考えるときなんかに、ふとそれを思い出してました。『莫逆家族』でも、カップラーメンをもそもそ食べてたりとか。実は毎回そういう、哀愁漂う人間のシーンを入れてるんです。

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