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宍戸留美×小明×Voice Artist【声優 on FINDER!】vol.29

「毎日どこかで歌っていたい」【岩男潤子】タイムリミットだった23歳の夜

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――なかでも、印象に残っているお仕事はありますか?

岩男 やっぱり、デビュー作の『モンタナ・ジョーンズ』は、マイク前に立つのも初めてだったので、当時の主役の大塚明夫さんとか、中尾隆聖さんとか、滝口順平さんたちに、手取り足取り、厳しくも優しく指導していただきながらのアフレコで、すごく印象に残ってます。

――その豪華メンバーに手取り足取り教えてもらうのは、養成所に何十万積んでも無理ですね……!

岩男 『カードキャプターさくら』については、原作本を見て「なんてかわいいんだろう!」って思って開いて見たら、歌が大好きな大道寺知世ちゃんという役がいて、「そこに私も入れたらいいな~」と思っていたときにオーディションをやらせていただいて。歌を歌うキャラクターを演じたいと思っていたので、その夢が叶ったのが『カードキャプターさくら』でした。その後もたくさん出演させていただいて。今も『魔法少女まどか☆マギカ』で担任の先生をやらせていただいて、シリアスなお話なんですけど、先生だけコメディなんです。これまで無口で、おとなしいイメージがついていたんですけど、役を通じて「岩男さんっておもしろい人なんだね!」って声をかけてもらえるようになって、すごく楽しいです。

――つくづく、声を出す仕事を封印しなくてよかったですね~!

岩男 そうですね。声を封印していた時期があったからこそ、反動もありましたし、あるオーディションで「君の声は子どもに喜ばれるよ」って言っていただいたときに、目の前の閉ざしていた扉が開いたような想いがしたので、うれしかったです。いろんなことを封印しながらも、やっぱりあきらめきれてはいなかったんですよね。子どものころの自分に、「あきらめないでね、10年、20年先にはすばらしい出会いが待っているから」って言ってあげたいな。そう思えるぐらい、今がいちばん楽しいと思える人生になっています。

――素敵すぎる! 最近ではフランスや台湾などなど、海外でも活躍されていますね。それはどういう流れで呼ばれるんですか?

岩男 そうですね。私が声優デビューする前から、仮歌のお仕事でチャンスをくださっていたのが、音楽家の田中公平先生(藤子不二雄作品やドラゴンボール、ポケモン、サクラ大戦の音楽を手がける偉人)だったんですね。田中先生が「いつか自分の歌が歌えるチャンスに恵まれたらいいね」って、数々の仮歌のチャンスをいくださって。その後、私が声優デビューして、歌う機会に恵まれはじめたとき、ようやくある作品で再会できたんです。そうしたら、「アニメの世界にようこそ。待ってましたよ」って言ってくださって。

――辻仁成の「やっと会えたね」より惚れるセリフです……!

岩男 その田中先生が「よく歯を食いしばって、がんばってきたね。フランスで開催されるジャパン・エキスポの舞台にシンガーをひとり招くことができるんだけど、僕はあなたを選びます」って言ってくれて……。なので、もともとは田中公平さんのステージで、私が呼ばれて行ったわけじゃないんです。だから、会場では「あの人、誰?」って人も多かったんですけど、公平さんが「この方が『エヴァンゲリオン』『カードキャプターさくら』『パーフェクト・ブルー』に出演されている、岩男潤子さんです」って紹介してくださったら、お客さんが「生の未麻(パーフェクトブルーの主人公)なんだ!」「エヴァンゲリオンの委員長!」「るろうに剣心の巴に会えた!」って感動してくれて、みんな大好きだって言ってくださって。

――アニメは放送時に現地の言葉で訳されているけど、ファンはあえて日本語で聞くんですよね。

岩男 そうなんですよ。日本だけじゃなくて、世界の人たちもアニメを見てくれているんだって思ったら、私も感動してしまって。翌年には、「ソロライブを開きませんか?」っていうお話をいただいて、アニメカフェでソロライブもさせていただいて……! そうやって海外に行くきっかけを作ってくださった田中公平さんには本当に感謝です。その2カ月後には、台湾のファンの方が企画してくださった岩男潤子の公演があって、そこに、公平さんをスペシャルゲストにお迎えさせていただいて、公平さんがジャパン・エキスポのために作ってくれた新曲を披露させてもらったりして。

――美しい師弟愛! 台湾は日本の文化に詳しいから、ライブは盛り上がりそうですね~。

岩男 そうですね。アニメを通して日本語を学ばれる方も多くて、公演中は通訳の方が隣にいてくれるんですけど、みんな私がしゃべったことをリアルタイムで笑ってくれる(笑)。歌のタイトル言うだけで感動してくれたり……熱かったですね、台湾(笑)!

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