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瀧本哲史が考える、最強の「マッチメイク」読書術!『読書は格闘技』

 本屋に行けば「ブックガイド本」というジャンルの書籍が並び、雑誌「サイゾー」でも「本特集」は人気企画のひとつ。いったい、どんな本を読めばいいのかという指針を求めている人は少なくないようだ。しかし、ブックガイド本を購読するくらいならば、そこに紹介されている本から手に入れるほうが早いのではないだろうか? いったいなぜ人はまず「ブックガイド本」を選んでしまうのだろうか?

『武器としての決断思考』(星海社新書)、『僕は君たちに武器を配りたい』(講談社)などで知られる瀧本哲史の新著『読書は格闘技』(集英社)は、「組織論」「グローバリゼーション」「教養小説」「児童文学」など、12のテーマごとに読むべき本を紹介するブックガイド本である。本書の中で、瀧本は「読書は格闘技」であり「書籍を読むとは、単に受動的に読むのではなく、著者の語っていることに対して、「本当にそうなのか」と疑い、反証する中で自分の考えを作っていくという知的プロセス」と持論を展開する。瀧本は、いったいどのような形で「格闘」を繰り広げているのだろうか? いくつかの例を見てみよう。

 本書の中で、瀧本はテーマごとに、アプローチの異なる2冊の本を取り上げる。「心をつかむ」というテーマであれば、カーネギーの名著として知られる『人を動かす』(創元社)とロバート・B・チャルディーニの『影響力の武器』(誠信書房)を、「組織論」というテーマであれば、ジム・コリンズ、ジェリー・I・ポラスの『ビジョナリー・カンパニー』(日経BPマーケティング)と、マキャベリの『君主論』(講談社学術文庫)をそれぞれ「マッチメイク」している。では、瀧本の立場はその2つの間に立つレフェリーなのだろうか?

 褒めるところは褒め、批判するべきは批判する瀧本は確かに中立を保つレフェリーに似ている。しかし、彼の役割は、勝ち負けを決めることではなく、2つの書籍にどんな使える「武器」が眠っているかを掘り起こすこと。トーマス・フリードマン『フラット化する世界』(日本経済新聞出版社)と、サミュエル・ハンチントンの『文明の衝突』(集英社)を紹介する「グローバリゼーション」のページでは、2005年に原書が刊行され、もうすでに「古典」と化している前者を「どこが古くてどこが新しいのか、何が一時的なブームで何が大きなトレンドなのかを自分で考えるための素材」として紹介し、アメリカ中心で描かれ、事象を単純化していると批判されることも少なくない後者を「この20年間を冷静に振り返ってみると、各地域で『文明の衝突』とみられる紛争が数多く起きている」と擁護する。

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