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根なし草ライター・安宿緑の「平壌でムーンウォーク」

北朝鮮の『聖闘士星矢』ヲタに会ってきた!(前編)

――お会いできて光栄です。趙さんは日本のアニメがお好きだということで、お話を伺いにきました。特に聖闘士星矢がお好きだとか。

趙さん 日本のアニメは全部、中国で見ました。昔から国内外問わずアニメが好きだったんですが、僕は最近のものよりちょっと古いのが好きでして、『聖闘士星矢』もそのうちのひとつです。ギリシャ神話が好きで大学時代もよく研究していたので、『聖闘士星矢』には格別な思い入れがあります。何より、小宇宙(コスモ)という概念が、私にはしっくりきます。私も人体の中には小宇宙があると考えていて、それは中医学でいう「気」の概念と通ずるものがあります。

――今日はお土産に、お好きだとおっしゃっていた乙女座のシャカの神聖衣フィギュアをお持ちしました。

趙さん うわー! うれしい! 中国ではフィギュアが売っていても、なぜかアンドロメダ瞬しか残ってないんですよ。乙女座のシャカはインド人なんですが、仏教をベースにした彼の技は本当に素晴らしい。中国語の吹き替えでは中国語で技の名前を言っているんですが、やはりオリジナルの日本語のほうがしっくりきます。シャカの技の「天舞宝輪」は、中国語の「ティエンムーパオリン」よりも「テンブホーリン」のほうが、かっこよく聞こえますよ。

――この見た目でインド人って、おかしくないですか?

趙さん そんなこと言ったら、ほかのキャラだってそうでしょう!

――昨年出たスピンオフ『聖闘士星矢 黄金魂』も、ご覧になられたとか?

趙さん 黄金魂だけでなく、『THE LOST CANVAS 冥王神話』(※原作の前の時代を描いたスピンオフ。以下、LC)も見ましたよ。「黄金魂」では、シャカの出番があまりに少なかったと思います。しかし、原作での解釈がだいぶ発展、改善されたと思います。シャカは原作では洞察力がそれほどなく、教皇が偽物であることも見抜けず、たいして慈悲深くもないキャラクターでしたが、黄金魂ではようやく正しく描かれていました。対戦相手となった不死身の男が臨終の際、これまで虐げた者の痛みを一身に浴び苦悶するのですが、そこでシャカは彼の痛覚を剥奪することで死後の安寧を与える。これが、本来の慈悲深いシャカの姿です。

――乙女座のシャカが大好きなんですね。


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