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週刊誌スクープ大賞

自公維3分の2超獲得も、改憲に高いハードル「参院選は、安倍時代の終わりの始まり?」

 ポストで、改憲勢力で3分の2以上取ったとしても、改憲までにはさまざまなハードルがあり、難しいのではないかとジャーナリストの山口敬之氏が書いている。

 それによると、参院選中盤、自公候補たちの善戦を伝えるデータを前に、麻生副総理は与党関係者に対してこう述べたという。

「もし3分の2取っちゃったらどうするんだよ」

「麻生が危惧していたのは、二つの準備不足だ。一つは、憲法改正という国の根幹に関わるテーマであれば明確に選挙の争点に設定した上で、国民の信を問うべきだという『選挙前の準備』。そしてもう一つは、3分の2獲得後に憲法改正論議をどう進めていくのかという、公明党との『与党内調整』だ。(中略)憲法のどの部分に何を書き加えていくのか、具体的な内容は示されておらず、自民党との協議も全く進んでいない」(山口氏)

 今回、憲法改正を前面に出さないというのは、安倍の強い意志だったという。初当選以来、一貫して憲法改正の必要性を訴えてきた安倍はなぜ、今回の参院選では憲法改正の議論を封印したのだろう?

「そこには、憲法改正が現実味を帯びるにつれて安倍の前に立ちはだかる、『保守層の不一致』と『国民投票』という二つの壁があった」(同)

 その上、その保守層の多くは衆参で3分の2を握ったあかつきには、安倍が直ちに憲法改正に向けた動きを加速させるものと期待している。戦後70年待たされた末にやってきた、千載一遇のチャンスだからだ。

 先に触れた日本会議のように、明治憲法に戻せという極端な超保守集団もいる。

 第二次安倍政権が、特定秘密保護法、原発再稼働、安全保障法制といった難しい課題を次々と突破できた原動力は、安倍が「サイレント・マジョリティ」と呼ぶ「非リベラル層」によるところが大きいが、一口に改憲勢力といっても、その内容から方法論に至るまで千差万別、百家争鳴である。

「安倍がここまで徹底的に憲法改正論議を封印したのは、今回の参院選が初めてといっていいのである。3分の2という遠かったはずの目標が目の前まで来た安倍にとって、憲法改正はもはや、リベラル護憲派との戦いではなくなりつつある。いわゆる『改憲勢力』内部の不統一にこそ、最も深刻なリスクが内在している。さらに、衆参両院で憲法改正の発議を勝ち得た先には、国民投票という最後の難関が控えている。安倍は消費税先送りと衆議院解散の是非を巡って麻生と対峙した5月30日、こう漏らしたという『憲法改正はもちろん悲願だが、どう実現できるか、心が揺れないと言ったら嘘になる』。もし安倍が憲法改正に向けて逡巡したり、決断を先送りしたりすれば、今度は『非リベラル層』の中の『保守層』が黙っていない。安倍を強く支持してきたコア層の失望は、政権の求心力を大きく毀損するだろう」(同)

 これが、安倍首相の最大のジレンマである。憲法改正を発議できたとしても、国民投票になれば国論を二分することになる。そうなれば、英国のEU離脱のように、投票後にさまざまな恨みが残り、憲法改正どころか自分が総理の座から降りざるを得なくなるかもしれない。

 この参議院選は、安倍時代の終わりの始まりなのだ。喜びも束の間、安倍には残りの任期が一番キツイ時期になることは間違いない。

 ところで、池上彰氏がやったテレ東の選挙特番は私も見たが、聞きにくいことをズバリ聞いたかどうかは別にしても、なかなか面白く見せた番組ではあった。

 だが、見ていて湧いてきたのは、この程度の番組がなぜ選挙前、選挙中にできなかったのかという疑問だった。

 結果が出てしまえば、安倍首相だって多少厳しい質問にも笑顔で答えられる。安倍首相を支える日本会議や公明党の支持母体・創価学会の池田名誉会長の体調についても、もっと突っ込み方はあったはずだが、この程度で「池上はすごい」という評価があるのだから、いかに今のメディアにいる人間たちがダメなのかを浮き彫りにしたのである。

 こうしたマルチな才能を持った池上氏や佐藤優氏を無条件で持ち上げてしまう今の日本の風潮こそ、日本の危機を象徴しているように思えてならない。

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