「Jホラーとは違う『恐怖』を伝えたかったんです」『世界の闇図鑑』総監督・井口昇インタビュー
■ゼロから始めたアニメ制作は、部活の合宿のようなノリ!? アイドルの手作りフードも
井口 今回普通のアニメと何が一番違うかっていうと、ぜんぶ監督が自分で動かしてるんですよ。編集ソフトを使って。去年の12月まで一切使ったことなかったですよ、プレミアなんて。
―― Adobe製の有名な動画編集ソフトですね。
井口 事務所の20歳の詳しい子にちょっとずつ教わって、学んだことを作品に反映しましたね。「ここをこうやるんだ!」「ここの数値を動かすんだ!」みたいな(笑)。だから回を重ねるごとに技術がアップしているという(笑)。
―― いわゆるアニメ制作会社の技術者は参加していない?
井口 ゼロです(笑)。「分かんないどうしよう」って言いながら自分たちでやりました。
―― どういう環境で製作されてたんですか?
井口 ほとんど寮みたいな環境で作ってたんです、部活の合宿というか(笑)。事務所で何日も泊まって寝ないでパソコンで作業して、スタッフがご飯作って。やってるうちにおかずがちょっとずつ増えていくんですよ。塩辛とか鮭フレークとか。あと季節感が出てきたりとか(笑)。
―― 図らずもスタッフさんの料理の腕前が上がったと(笑)。
井口 あと、僕は「ノーメイクス」っていうアイドルのプロデュースもしてるんですけど、そのうちの1人が手伝ってくれました、色塗りとか。その子も時々ご飯を作ってくれて「今日はアイドルフードデーだ!」みたいなノリで喜んだりして、その子もオムライスにハートマークを入れてくれたり。そういうのだけが楽しくてやってましたね。
――ノーメイクスのメンバーは出演もされてますよね。
井口 ええ、第7話「無邪気な道化師」に。
――この回、本当にビックリしました。「アニメ作品で実写をやるとは!」って。
井口 前からやってみたかったんですよね。写真でホラーを作ったら怖いんじゃないかって思ってて。止まっているモノが少しずつ近付いてくる怖さ。あと「ピエロ恐怖症」って日本ではそうでもないですけど、アメリカでは有名らしくて。その映像をやるには実写、写真の方がいいんじゃないかなと。
――ピエロは役者さんですか?
井口 実はスタッフで役者も出来るおじさんです(笑)。普段からすごく大人しい人なんですけど、その人にピエロをやらせたら面白いだろうなって。自分がプロデュースしてるアイドルを、スタッフのピエロに襲わせてっていうすごい自給自足の少人数のやり方ですけどね(笑)。
ちなみにオープニング映像に出てくる悪魔の手、あれも同じスタッフのおじさんがやってます。
―― あの不気味で引き込まれる映像ですよね。まさかスタッフの方だとは……。
井口 あの撮影が終わってすぐ、近所のうどん屋さんにあの手のまま行ったんですけど、店員のオバサンに物凄い不審そうに見られてて(笑)。説明したら「ああよかった」ってホッとされるっていうね。
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