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根なし草ライター・安宿緑の「平壌でムーンウォーク」

【米朝会談】両首脳の“ホンネ”を表情から分析「初対面はトランプ氏に軍配、共同声明では正恩氏の勝利」

■共同声明においては一転、正恩氏が「勝利のほほえみ」

  会談を終えた2人は、ホテルの中庭をプレスがいる方向に歩いていきます(【2】の00:00:43)。そこでトランプ氏はいい会談ができたと話し、「我々はこれからサインする」と発言していますが……。

「このときトランプ氏の上唇が引き上げられ、ホウレイ線が釣り鐘型となる表情が一瞬浮かびます。これは嫌悪の微表情。嫌悪は不快な言動・人・モノを遠ざける、拒否する、除去する機能を持つ感情です。サインという言葉と嫌悪の微表情とが同時に生じたため、この嫌悪はサインに関連付けられた感情だと考えられます」

 トランプ氏の本心は、共同声明にサインしたくなかったということでしょうか? 

「いいえ、北朝鮮との持続的な対話の可能性を開く機会である会談と共同声明を歓迎していないことは考えにくい。そうではなく、この場合の嫌悪は、共同声明の内容が自身の期待した水準を満たしていないため、消極的で不快感の伴うサインであるという感情の表れだと推測できます」

 つまり、アメリカ側としては不本意な内容の可能性があるとのこと。一方、正恩氏の表情は、これとは対照的でありました。

「【3】の00:04:54で正恩氏が4冊目の共同声明文にサインをし終える瞬間、右側の口角が引き上げられます。これは軽蔑表情を意味します。軽蔑というと敵対的なイメージが生じてしまいますが、必ずしもそうではなく、軽蔑は優越感と置き換えることができます。優越感とは、他者と比べて自分のほうが勝っているという感情です。正恩氏は、共同声明文を作成および締結する過程で、米国よりも北朝鮮寄りの内容にすることができ、その内容に満足している可能性が高いと考えられるのです」

 よって、表情分析からは「共同声明文の内容は、北朝鮮のほうが満足する形で締結できたことが推測される。一見すると、米国優位な雰囲気を漂わせていた首脳会談だが、本質的には北朝鮮優位に終わった可能性が見て取れる」のだといいます。

 トランプ氏の威嚇を愛想笑いで右から左に受け流す正恩氏、そしてシナリオ通り自国に有利な共同声明文を持ち帰った北朝鮮政府。きっとホテルに帰って、一同ガッツポーズだったことでしょう。

 ただし、米国側も、これで終わらせるつもりはない様子。

「サインし終えてもなお、眉間にしわを寄せた表情を崩さなかったトランプ氏の様子から、『今後のステージは米国主導の流れに』という心の声が聞こえてきそうではあります」

 次回は、互いの国を訪問する計画も持ち上がっているといいますが、そこではどんな顔を見せるのでしょうか? 引き続き、2人の表情には注目していきたいと思います。

●しみず・けんじ

株式会社「空気を読むを科学する研究所」代表取締役・防衛省講師。1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持。ニュースやバラエティー番組での政治家や芸能人の心理分析、刑事ドラマ『科捜研の女 シーズン16』(テレビ朝日系)の監修、メディア出演の実績も多数ある。著書に『ビジネスに効く 表情のつくり方』(イースト・プレス)、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』(フォレスト出版)、『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』(飛鳥新社)。

●やす・やどろく
ライター、編集者。元朝鮮青年同盟中央委員。 政治や民族問題に疲れ、その狭間にある人間模様の観察に主眼を置く。しばしば3重スパイ扱いされるのが悩み。日朝和平、北朝鮮のGDP向上、南北平和統一を願う一市民。ペンネームは実家が経営していたラブホテルの屋号(※とっくに倒産)。<http://blog.livedoor.jp/yasgreen/>

最終更新:2018/06/18 18:00
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