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激変する出版業界の中で、また衝撃……伝統の業界誌「出版ニュース」が休刊へ

「出版ニュース 2018年10/11号」(出版ニュース社)

 出版業界誌「出版ニュース」が来年3月下旬号で休刊することが定期購読者や連載執筆陣に告知され、業界内に驚きの声が広がっている。

「出版ニュース」の歴史は日本の出版業界の歴史ともいえる。同誌の前身は、戦時統合で生まれた日本出版配給株式会社(日配)のもとで1941年に創刊された機関誌。終戦後、日配はGHQに閉鎖機関に指定され解散したことで、トーハン・日販・大阪屋などの出版取次が生まれた際に、出版ニュース社が設立されたという経緯がある。以来、月3回刊行の「出版ニュース」のほか『出版年鑑』も発行してきた。

「出版ニュース」は、新刊書籍など出版業界のさまざまなデータ。さらには、動向や問題などを取り上げる独特な業界誌である。とりわけ、毎号の冒頭に掲載される報告やオピニオン系の記事は、どれもが「すぐには役に立たぬかもしれないが、知っておかなければならない」といえるトピックを取り上げていた。

 そうした積み重ねの結果として、出版業界に関するさまざまな問題を調べる時は、まず「出版ニュース」に掲載されている記事をあたる。その上で、執筆者に会いにいって話を聞くというのは定番のスタイルであった。

 今回の休刊で、出版業界は貴重な情報源を失うことになるのは間違いない。

 休刊を知った直後、同社の社長でもある清田義昭編集長と電話で話をした。清田編集長は「すでに自分も後期高齢者。4人いる社員も高齢になった」と休刊を決断した理由を語った。「出版ニュース」は決して大部数が売れる雑誌ではない。主な読者は出版社や図書館などの固定客。新聞報道では発行部数は4,300部とも報じられてる。

 確かに部数は少ない。でも休刊の決断には、単に「売れないからやめる」ではない理由があるように思えてならない。

「出版ニュース」の独特の誌面は、清田編集長のセンスによって培われてきたといえる。前述した冒頭の長めの巻頭記事は、必ず表紙に記事タイトルが記される。それによって、読者は今ある業界にまつわる問題や議論のトピックを知ることになる。

 そこになにを選ぶかは、清田編集長のセンスによるものだった。筆者も、ここ10年ほど年に一度か二度のペースで巻頭記事の依頼を受けてきた。改めてこれまでの自分の記事を見てみると、毎年必ずコミックマーケットを軸にしてオタク文化の動向や論点を一度は書いている。旧態依然とした業界誌として振る舞うのではなく常に新しい流れを追ってきたのも、清田編集長ならではといえるだろう。

 そして、原稿を書くたびに思ったのは、書いてる筆者が恐ろしく思うほどに内容には注文をつけないということであった。

 今年も夏のコミックマーケットの時期に、コミックマーケットを軸に最近の動向を書くよう依頼を受けたのだが「こういう要素を入れて」みたいな注文はまったくなかった。

 筆者も「出版ニュース」なら主張が強めでもよかろうと、前号の執筆者への批判から始めてみたり、体制の補完勢力に過ぎない「リベラル」の粉砕を記事中に含めたりしてみたが、特に内容になにもいわれたことはない。

 時期とテーマとを選び、あとは自分の依頼した執筆者に全幅の信頼で委ねる……そんな、勇気とセンスを持ち合わせる編集者は、そうそういるものではない。

 雑誌をひとつの生命と考えれば、いずれは終焉もあるもの。だが「出版ニュース」の休刊は、単なる雑誌の休刊とは違う何かの時代の変化なのではないだろうか……。

(文=昼間たかし)

最終更新:2018/10/17 23:00
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