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『大恋愛』2ケタスタートも、戸田恵梨香の“大暴走”に「和牛の水田が激怒しそう!?」

■ところで、アルツハイマーの描き方は?

 尚さんのアルツハイマーについては、真司くんと共通の好物である「黒酢はちみつドリンク」を重複注文してしまったり、自分の患者の名前を思い出せなかったり、真司くんの家の合鍵を作ったのに忘れて玄関先で待っていたりといったエピソードで、物忘れが始まっていることが示されます。

 そして、いよいよ街中で「ここがどこだかわからない!」とパニックになって駆けだしたところで、猛スピード自転車と衝突。救急車で病院に運ばれ、MRIを撮られることに。偶然、そこは井原先生の日本時代の勤務先でもあり、婚約破棄の連絡を受けて緊急帰国した井原先生がMRIの画像を覗き込むと「もしかしてMCIじゃないのかな? 軽度認知障害のこと」。そして、モニターの隅に患者の名前「キタザワ ナオ」。

「嘘だろ──」(マボ)

 という感じで、次回へ。

 

■恋もまた、それは病というけれど。

 打算的な結婚に向かっていた女性が、あるとき“運命の人”と出会い、何もかもを打ち捨ててその恋へと突っ走っていく。尚さんの行動は熱烈に情熱的で、自分の感情に極めて正直です。結婚式もドレスもキャンセルになるし、各方面にべらぼうな迷惑をかけることになる。

 でもでもだって、それが恋だから。女にとって、恋ってそういうものだから。

 大石さんの脚本がそういう方向なのだとしたら……つまりは、とりあえず物語の導入として、尚さんの大暴走を“素敵な大恋愛”という一辺倒の価値観で描こうとしているのだとしたら、その価値観に乗れるかどうかで大きく評価が分かれそうな作品だな、と感じました。

 何年か前の和牛で、結婚式からドレスのまま飛び出して本当に好きな人の元に走った女形の川西に、水田が「最初からそのつもりやったんか?」「みんなに迷惑やろ!」と、さんざん嫌味ったらしい説教をするという漫才があるんですが、どっちかというと、わたし個人の感想としては、そっちの感じで見ちゃったんです。恋に突っ走る尚さんが、奇妙に見えてしまった。迷惑だし、非常識な女だな、と。

 昔のお嫁さんはある意味で抑圧される立場だったケースも少なくないだろうから「婚約者から逃げて恋に突っ走る」という行動に意味が宿ったかもしれないけど、今はそうでもないし、特に尚さんと井原先生の関係性もそうではなさそうだし、この「恋」の描き方は時代錯誤だと思ったんです。

 ただ、もうひとつの見方もあるよなーとも思うんです。この大暴走もまた、アルツハイマー病の症状のひとつとして描こうとしているのかもしれない。認知障害によって、物忘れだけじゃなくて、尚さんの中での倫理観や道徳観、広く言って常識みたいなことが歪んでいるのかもしれない。恋もまた心の病だなんていいますけど、尚さんの病気による現状に対する認知の歪みが「憧れの小説家と出会った」という一時的なトキメキを増幅させているという、本当の意味での「病気としての恋」を描こうとしているのかもしれない。

 だとすれば、『大恋愛』というタイトルはめっちゃ悲しいものになるよなぁー、とか、そんなことを考えた第1話でした。ちなみにナレーションはムロツヨシが「間宮真司の新作小説を朗読している」という形のようです。これもまた、悲劇の予感を煽る巧みな演出だと感じます。

 ともあれ、まだ始まったばかりですし、とっても出来の良いドラマなので楽しみに結末を追いたいと思います。今夜は第2話。戸田さんのお芝居も、今のところいい感じだと思うよ!
(文=どらまっ子AKIちゃん)

最終更新:2018/10/23 19:59
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